表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
88/120

第89話 エルフさんは領主さんが大好き

 見つけてくれてありがとうございます


 Twitterから来てくれた皆さん、ようこそお越しくださいました

 エルフさん。近頃難民の中に混ざってやって来た種族だ。

 半神という扱いなので領主さんですら扱いを丁寧にしていたのだが、あまりにも奇抜なその服装に領主さんがバシバシツッコミを入れたところ、エルフさん達はそれが大変気に入ったようだ。

 協議の末、ブラキウム丘陵という木が多い山中を気に入り、そこに新たに集落を作りたいという話になっていた。

 

 魔力が高いエルフさんという種族は魔法収納(ストレージ)で元居た集落ごと持ってきていたため、その他の難民より遥かに自立しやすかった。

 そんなエルフさん達は本当に領主さんが大好きになったようで、事有る毎にやって来てはおかしな報告を入れている。

 

 その日は領主さんの気が向いたのか、今度はエルフさんの集落に視察に行くことにしたようだ。

 それに私も着いてくるように言われ、カタログで出した馬車に例のあのヒヨコと月桂冠の旗指物を付けてお出掛けだ。

 今回のお付きの者はもちろんイーナさんとママーナさん。そしてメイド長さん(名前は知らない)と、意外にも図書館の奴に、図書館研修生のアナナンカ・ホッジス侯爵令嬢だ。


「この馬車凄いですね。全く乗り物酔いしませんね」

 侯爵令嬢(身分は平民)さんもダンジョンの馬車にはご満悦だ。ふふふ。そこいらの馬車とはサスペンションが違うのだよサスペンションが!


 ブラキウム丘陵の中腹に新たに用意した魔法の門をくぐると、そこがエルフさんの集落だ。

 エルフさんの集落でもイーナさんやママーナさんが退屈する事は無い。本来子供が少ないという筈のエルフさん達だが、集落には子供がわんさか居る。

 この集落で新たに誕生した子供が多数居るのだそうだ。エルフという種族もまるっきりの赤ちゃんという時期は無く、イーナさんやママーナさんの遊び相手が出来る程度には成長した姿で産まれるらしい。


「まあまあ我らが素晴らしき領主様、この程はようこそ我々の村にお越しくださいました」

 真っ先に出迎えたのは族長の妹さんで名前はエセンカマヌアさんだ。白衣の下は既にお腹が大きい。妊娠しているのだ。

 そして相変わらず長い金髪は寝癖まみれで白衣は汚れが目立ち、挙げ句相変わらずの瓶底メガネだ。なるほどこれは……エルフさんが美男美女揃いかは分からない。

「やあエセンカマヌアさんだったかな?あれ?お腹があっという間に大きくなるんだな」

「はい。エルフですからぁ」

 半分答えになっていない。

「はて、エルフさんは子供が少ないと聞いていたのだが、子供の方が多くなってないか?」

 それに答えたのは族長のエセンカマンダルさんだ。

「はて?エルフに子供が少ないと何処でお聞きに?まあ子供達の大半が陞神(しょうしん)して神になりますからな。少ないと思うのも無理有りません」

「神様沢山居るなおい!」

 領主さんは驚いている。

「そりゃ居ますよ。なにせとある世界に『品物の数だけ神様が居る』と言い出す地域も有るのですから。総称して『ヤオヨロズ』の神々というらしいですな」

 

 それを聞いた図書館の奴が敏感に察知して動き出した。今まで奴は領主さんがエロい目を向けようと素知らぬ顔をしていた上、エルフさんの建物やら農作物やらを観察するばかりだった図書館の奴が、急にこちらの話に興味を示したのだ。

「なるほど。どこかのアミニズムの神の一柱になるのか。それは素敵ですね」

「素敵ですか?これはどうも」

 何故か妹のエセンカマヌアさんが照れている。

「家族離ればなれか。なんともな」

 領主さんが思わず口にする。領主さんの家族はちょっとぶっ飛んだ人が多い気がするが、それでも家族想いなようだ。

「あー。ちょくちょく帰って来ますので」

「うむ。里帰りとか言いながら割と好き勝手していくな」

「あー。ほらこの子、私の28番目の子供ですけど帰ってきてキャッチボールとかやって遊んでますよ」

「あれはなんだっけ?フォーシームの神様なんだっけ?」

「そんなこと手紙に書いて有りましたねぇ」


「ってか神様なのかよユルユルだなおい威厳持って構えてください神様。で?フォーシームってなんだ?」

 領主さんも困り顔だ。

「さあ。何なのかすら分かりませんねぇ」

 淡々と答えるエルフさんに領主さんも参ってしまったようだ。

 

 エルフさんは子供達も姿が奇抜だ。特に仲良しになったエルフの少年は、海賊みたいな服に三角帽子(トリコーン)を被り、それに矢が刺さった意匠にしている。

「あ。お兄ちゃん、この帽子かわいいよね。買って」

「何でも欲しがるんじゃありません」

 領主さんが珍しくお兄さんらしい制止をした。

 本当にエルフという種族は尊崇されているのではなく隔離されているのではないかと思わされる。

 で、このような陽気で奇抜なエルフさんなのだが、エセンカマンダル、マヌア兄妹は600年以上生きているのだという。ちっとも威厳無いな。

 読んでくれてありがとうございます

 もし良かったらブックマーク、評価、いいね、感想、レビューなど頂けましたら嬉しいです

 

 只今連載中

 犢端高校勇者部活動記録   https://ncode.syosetu.com/n0115ie/


 爆笑!元朝秘史

https://ncode.syosetu.com/n3161if/


完結作品

 素人集団!!国家連邦政府宇宙軍第6艦隊奮闘記

https://ncode.syosetu.com/n7603hp/


 ココチュのフェイクニュース

https://ncode.syosetu.com/n7689id/


各種短編

 伯爵閣下がホラ話で領地を盛り上げてみるようですので発表します

https://ncode.syosetu.com/n0773gs/

 

 精霊だらけインタビュー

https://ncode.syosetu.com/n9175hv


 SS 家元になろうよ

https://ncode.syosetu.com/n4840hw/


 なども書いております。宜しかったら見て行ってください


Twitterやってます。@kokochu539です。

大したことはしていませんが、フォロバは確実です。お気軽にどうぞ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ