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第87話 図書館猫リブロスの1日

 ワシは図書館に住まう猫リブロス。まあワシにとって名前なぞニンゲンが付けたコードネームみたいな物じゃろう。気にかける物でもない。

 ワシの1日か?大した事はしておらんそ。

 朝は誰も居らん内から眼を覚まし、とりあえず伸びでもして準備運動から始めておくとしようかのう。それからおしゃれも大切じゃな。毛繕いは大切じゃ。

 孤高の野良猫であったワシにとって、ニンゲンが全く居なくなる時間が有るこの図書館という家は誠にやりやすい。猫の時間なんか取り放題じゃからの。

 この家に一番早くやって来るのは、近頃ワシにちょっかいをかけたがる三本脚の雌ニンゲンと、そのお付きの者じゃ。其奴は他の者が来るまで入口で直立不動のまま待っておる。

 其奴は白髪の雄か雌、ワシの飼い主であるちょっと太めな雌ニンゲンと共に入ってくる。

「イーウー!」

 三本脚の雌ニンゲンはワシを見かけるとこのように声をかけ、ひとしきり猫じゃらしで遊ぶ。この三本脚の雌ニンゲンは嫌いではない。ただ、こやつの纏う革製品には血の臭いとたくさんの怨念が居る。ソレが苦手なのだがな。

 三本脚の雌ニンゲンがワシに飽きた頃にワシの朝ごはんじゃ。

 夜中の内に三匹の野良ネズミをきっちり仕留めてある。ソレを自慢気に見せびらかす。

 誰でも美味しい方の餌はくれるのじゃが、白髪の雌ニンゲンが一番ソレをくれるので、そやつに見せびらかすのが一番じゃな。

 まあそのように昼までの時間を過ごして、そしてネズミを見張る訳じゃな。

 

 お。近頃やって来るようになった別の地域の臭いをさせた若い雄ニンゲンも今日は来ているようじゃな。

 ワシのしつけ係である雌魔族によると『王都からの研修生』なのだそうだが、そんな事はワシには関係ない。

 そしてこやつの事についてはここに来る誰よりも嫌いじゃ。纏う雰囲気も最悪じゃな!

 ま。どうせまたすぐに来なくなるじゃろう。こやつは太めな雌ニンゲンからもこっぴどく嫌われておるからの。どうせ縄張り争いの戦いに負けて骨を折って居なくなるのじゃからな。ほら。また殴られて連れて行かれた。

 猫という生き物なればネズミなぞ捕らえて見せびらかすなぞ容易い事よ。昼までに2匹程捕らえて持って行ってやったわい。ほれ。また柔らかいアレを出すのじゃ。


 この図書館という家は有難い。なんと言っても昼にもたくさんの餌が貰えるのじゃからな。

 ふむふむ食べ過ぎじゃな。野良猫の端くれとして喰える時には大いに喰らう。しかし猫としての野生を失う訳にも行くまい。てなわけで昼飯後は主人たる太めの雌ニンゲンと三本脚の雌ニンゲンが居る一角に向かう。

 三本脚の雌ニンゲンはちょくちょく主人たる太めの雌ニンゲンに腹を充ててぴったり寄り添っておる。余程序列が分かっておるのだろう。弱点である腹を多分一番攻撃力の高い後ろ脚に預けておるのだから。

 

 だがこうなるとかなり長くなるのじゃな。そこで周囲の小さなニンゲンにワシの勇姿を見せびらかす。なに、ここに集まる小さなニンゲン共など、尻尾を立ててちょいと歩けば良いだけじゃ。ほれ。どいつもこいつも群がりおる。

 撫でられるのは気に喰わんが、毛先程度なら許してやろうかの。

 これそこの小さなニンゲン、足先を掴むな!ちょいと高くジャンプしてやろうかの。

 これだけでこの小さなニンゲン共は盛り上がるのだから容易い物よな。小さなニンゲン共をちょいとからかいながら居れば適度に運動も出来る。食べ過ぎは辛いのぅ。

 

 ワシの方から飽きが来るもんじゃ。そろそろ図書館周りのパトロールをせねばなるまい。近頃は図書館内にも沢山の集会所仲間もやって来てはネズミを捕らえて連れてくる。何体かすれ違う。次はあ奴が小さなニンゲンをからかいに行くのだろうさ。

 

 ネズミというあの生き物は本当にそこいらに居る。アレを追いかける瞬間こそ我が楽しみよな。見つけたネズミは建物の外ですぐに見つけた。

 そんなお楽しみをたまに邪魔する者が現れる。

「イーウー!」

 そう言ってワシを追いかけ回すのは三本脚の雌ニンゲンだ。奴はワシがお気に入りらしい。じゃが良いところで出てくる間の悪さよな。

 ほらネズミに逃げられてしまったではないか。まあそれはそれで仕方有るまい。どれ。コイツで少し遊んでやろうかの。

 とにかく三本脚の雌ニンゲンから着かず離れずな位置に居れば良いのだ。別段難しい事なんか無い。奴めものすごく楽しげにワシを追いかけ回しよる。

 「イーウー!イーウー!」

 こやつは感情のコントロールが下手くそなのじゃろうな。楽しいという感情がむき出しになる。脚が1本足らない奴だが体力はなかなかにしてものすごい。こやつと夕暮れになるまで遊び倒してやった。

 三本脚の雌ニンゲン。何故かお付きの者も居て、そやつが声をかけるまで遊んでやった。やれやれもう夕暮れか。

そろそろ屋内に戻った方が良いじゃろうな。なにせお主の革製品は怨念を集めやすい。逢魔が時迄には大人しくしておれ。

 今宵はおやつ抜きか。仕方ない。明日に期待しようかのう。あ。カリカリした飯、しっかりだしてくれの?白髪の雌ニンゲン。

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