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第75話 隻腕の少女

 見つけてくれてありがとうございます


 Twitterから来てくれた皆さん、ようこそお越しくださいました

「患者はイリーナ・レンヌ年齢不明。B型。本人の軍隊識別ペンダントの情報です」

「切断した後の処置が酷すぎる」

「意識レベル2。血圧96の77、脈拍105。色々不味いです」

「血液パッチテスト終了。使えるのは25単位」

「移すぞイチ・ニー・サン」

「ウー」

「孤児第3小隊?」

「点滴にはエピを1単位混ぜて」

「麻酔は部分麻酔で。多分全身にしたら帰って来れないから」

「おい!あんたの腕はもう少し切り落とすぞ!この位置まで。挫滅してもはや遺す方が危険だからな!」

「あうー」

「許可も必要か。仕方ないな。幻肢痛(ファントムペイン)も有るからな」

「何故うんともすんとも言わないんだ?分かるなら首を縦に振って」

「返答なし。もう良いから術式を始めるぞ」

「意識の混濁無し。血液脈拍やや上昇」

「うるさいからだろ?」

「ウウー」

「そうだな。メスと骨ノコの用意を」

「胆力有るな。じっと見てるぞ」

「いや、何が何やら分からないだけです。続行します」

「そうだな。切られているのは分かっているようだからな」

「ナートします」

「抗生物質多めに。予後は要観察」

「イリーナさん、命は取り留めたぞ」

「ウウー」

「おい待て意識正常、CTをこの後早めに。反応おかしいだろ」

「でも脳に異常は無さそうですね」

「おい、君の名前と年齢は?」

「うー?」

「おい、話していることは分かるか?」

「ブー」

「君の所属は?」

「トアル王国第2軍団孤児第3小隊、イリーナ・レンヌ一等兵であります」

「ん?何故か良く言えてるな」

「え?何これ」

「今は良いとしよう。先ずはその生命の維持だ」

「ICU開いてます」

「暫くはそこに。大丈夫だからな」

「うえ?」

「何らかの記憶の混濁ですかね」

「ふん。経過観察が必要だな」

「そうですね。でも割と瞳孔はしっかりしています」

「精神鑑定も必要かもな」

「あーうー」

「今はゆっくり休むんだ。良いね」

「うー?」


 手術台では一時が万事こんな様子だった。後々様々な検査が行われたが、この女性は数は10までしか知らなかったばかりか「はい」は答えても「いいえ」と言う単語すら知らない様子だった。

 それでいて精神への異常など何処にもなく、ただ戦場でよく見るPTSDが有る程度だったそうだ。


 この状況を見抜いたのは私が用意したカウンセラーという医師の補佐官と、それに興味本位で着いてきた図書館の奴の2人だった。

 このイリーナという人物は知識とか常識とか、そんなものを置き去りにただ戦場で戦う為に育てられた『生き物』なのだ。私語をすることも許されず、ただ軍隊としての規律と命令に服従することのみを強制されていた『生き物』なのだそうだ。

 その為夜間には『立哨(りっしょう)』だの準待機とかの言葉は知っていて実行しようとしている。

 この戦う『生き物』をどうするのかという検討も始まってはいるのだが明確な回答が出てこない。片腕の女性を戦わせる事なんかこの地域ではしていない。だから軍隊では使えない。

 領主さんに相談しようにもこれを見せつけられても領主さんも頭を抱えるだけだろう。

 とにかく敗血症になりかけていた事と、その他の病疫の検査の為にも、病院内に置いておくしかなかった。


 経過は割と良く、壊血病や脚気の気は有ったが完治しているのだが、とにかく食べたがる。元が肉の無い痩せた姿をしていた為……以上に、明日食べる物が有るのか無いのか分からない戦場において、とにかく今ここに有る食糧を食べ尽くそうとしてしまうらしい。

 しばしば吐き戻すほど食べるようで、彼女の前に病院食どころか食糧を見せないようにしてあるそうだ。

 この『生き物』に、図書館の奴は私などより同情的だ。これを『ニンゲン』に育成するための人間(ヒューム)の教育者を探す事に専心している。

 ある程度健康が回復し、肉付きも並み居る女性に引けを取らなくなるのに約2ヶ月後、とりあえずお出かけをしてみることにしたようだ。勿論教育者など現れる訳がない。乱暴な意見としては「いっそ奴隷として販売するしか」とか言い方を替えた殺処分などの意見も有った。しかしそれで例えば私が納得しても、領主さんは納得しないだろう。もう住民台帳を送ってしまったのだから。


 私が何故自分ではなく領主さんを基準に考えているのかよく分からないが、この『生き物』がどうにか領地のお役に立てる人物にしていくのも必要な話になるだろう。

 でもコレ、どうしたら良いのだろう。

 読んでくれてありがとうございます

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 なども書いております。宜しかったら見て行ってください


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