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第72話 ダンジョンマスターにだって弱点はある!

 見つけてくれてありがとうございます


 Twitterから来てくれた皆さん、ようこそお越しくださいました

 就任パーティーも無事に終わり、領主さんは私に「これで胸を張って領民を名乗ってくれるかい?」と、声をかけてきた。

 私はむしろ準男爵という思わぬ厚遇に恐縮して答えた。

「過分にすぎますよ。驚きました」

「そんなことは無いさ。有力な住民の囲い込みになるからな」

「囲い込むまでも有りませんよ。ここで産まれここでダンジョンマスターになった私は遠くに移住なんか出来ませんもの」

「そうか」

 領主さんはにこやかだ。

「そういえば貴族になったのだから家名を名乗る事になるのだが、ダンジョンって名前は元々家名っぽいな。ならどうだ。ダンジョン。迷宮……ラビリンシア・ダンジョンとか名乗るか?」

「まあ、これは素敵な名前をいただきました」

 ここで再び私の存在進化が始まった。ダンジョンマスター族エンターテイメント王種エンタメ属。ティエッラ地準男爵。フルネーム。ラビリンシア・ダンジョン。

 エンターテイメント王種とはまた恐れ入る。今回は自分が存在進化し、魔力膂力(りりょく)共に上昇したことを領主さんにお伝えし、感謝した。


 領主さんのもとを辞してダンジョンに帰ってみると、図書館の奴がいた。

「やあ。千里眼の魔法で見ていたよ。準男爵叙爵おめでとう」

 図書館の奴は笑みを浮かべて祝辞を述べ、ちゃっかり宴席を用意していた。

「まあ一杯どうだい?いけるのだろ?」


 魔族の宴席は人間(ヒューム)のそれとはかなり違う。食を必要としない場面も多い魔族の宴席は、飲み物がメインであり、つまみ程度の物も出てこない。

「ああ。ありがとう」

 グラスに注がれた赤紫の飲み物を私が一口入れた。

「ふーん葡萄ジュースか。このジュース美味いな」

「ジュース?」

「あれだなー。図書館も来れば良かったのにー。森の学者先生何か貰えたろう」

「私は構わないよ。元々この地の住民でもないし」

「そんな、かなしいこと いうなし~」

「ん?」

「ともだち じゃないか としょかん」

「友達か。嬉しいものだね。でも私の名前はセレクトだ」

「あー!それそれ りょーしゅさんからなまえ もらって いいきになりゅなよ~」

 なんとなく目の前に有った葡萄ジュースを手酌でカップに注ぎ、もう一杯飲み干した。

「まーあれらなー としょかんのおかげで なかなか たのしくしてりゅお~」

 図書館の奴はいい加減私がどうなっているのか分かって来たらしい。呆れた顔をしながら答えた。

「そうかい?それは何よりさ」

「んで~としょかん~ こんどはなにするんら~。ヘック」

 思わず再び手酌で葡萄ジュースを並々注ぎそれを一気に飲み干した。

「やあダンジョンくん。飲み過ぎは良くないよ」

「おーいしーい も~ん♪おどりらって おどっちゃう~♪」

 だーんじょんたーいそう はーじまっるーよー

 二人の間でしばらく流行ったダンジョン体操を踊って見せる。


 図書館の奴は私が歌い踊る姿を苦い笑顔を浮かべながら呟く。

「あれー。まずい物飲ませちゃったかな」

「まーずくないおー おーいすぃ~よぉ~♪」

 図書館が制止しないのを良いことにまた並々注ぎ飲み干した。ここで赤紫の飲み物のボトルは空になったので、図書館におかわりなんぞ要求した。

 図書館は割と諦めたようだ。今夜はとことん付き合う事に決めたようだ。

「まあダンジョンくん。お酒で失敗するのも経験の内さ。付き合うよ」

 図書館の奴が注いだのは葡萄ジュースではなくワインだったのだ。人間(ヒューム)によく言われる『お酒は二十歳になってから』というルールは魔属には無い。何故なら私がそうであったように産まれてこの方成人しているのだから。

 だんだん記憶が曖昧になり、翌日思い出せたのはこの辺りまでだ。

 図書館に言わせると私はその後ワインのボトルを2本振り回しながら何故か『ロッホ・ローモンド』というスコットランド民謡を歌い、図書館の肩を抱きながらスキップではしゃぎ倒し、そして一人で歌いながら行進し、そしてまるでネジが切れたかのようにバッタリと倒れ、そのまま酔いつぶれたのだそうだ。


「まあ、楽しく潰れたのは私にとっては救いだよ。暴れたりしたらもう大変だからね」

「うー。すまない」

「さ、水でも飲みなよ。酒精を薄めるんだ」

「あ……ああ」

 水を飲み込んでいる様子を見ながら図書館の奴が更に続けた。

「お酒には慣れた方が良いかもね。色んな場面で飲む事に付き合わされるだろうからさ」

「えー。嫌だなぁ」

「こればかりは仕方ない。飲めませんと断っても無理に飲ませる人も出てくるかもよ。お酒による嫌がらせ『アルハラ』なんて言葉はここには無いからね」

「そりゃ最悪だぁ」

 図書館の奴は苦笑いしながら答えた。

「そうかも知れないね」

 図書館は静かに話してくれている。大声を出されると二日酔いの頭痛が酷くなることを知っているからだ。いつの間にかダンジョンにおける私の洋館の寝室で、何故かナイトドレスまで着させられていたのだ。

 まさかなぁ。こんなにもお酒に弱かったとは。

 読んでくれてありがとうございます

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