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第68話 盗賊団と親切過ぎたお婆さん

 見つけてくれてありがとうございます

 リブラ伯爵領は俺たちのような脱走兵から盗賊になった奴らにとって、実にやりやすい。

 なんたって領軍は弱卒揃いだし伯爵本人も実力は人並み。それを知らずに俺たちは事もあろうにモンダナエ子爵に入り込み、子爵の馬車を襲撃したところ、子爵一人にコテンパンにされて命からがら逃げてきたのだ。

 しかしこのリブラ伯爵領ならきっとそんな事は無いはずだ。


 身も心も砕け切った俺たち盗賊団にババァが馬車で近付いてきた。

「あんたたち、大丈夫かい?随分ケガしてるじゃないか」

 ババァは俺たちを馬車に案内した。脚が悪く杖をついたババァだ。

 外側から見れば小さい馬車のクセに乗ってみれば中はいくらでも大きく出来るようだ。俺たち20人がすっかり乗ってもまだ余裕があった。どういう作りの馬車なのだろう?

 ババァは御者に声をかける。

「フルタさん、病院に戻ってやってくれんかね」

 はい。そうしましょうと表の御者フルータが答えた。どうやら俺たちを病院に案内してくれるらしい。なんとも先進的な門をくぐると、そこに真四角で真っ白。上部に赤い十字を掲げた建物が見える。赤い十字の意味はババァに聞いても分からないらしいが、病院のマークなのらしい。

 

「ドクター先生、急患ですよ」

 ババァが声を掛けると中から3人の男と白衣の女性が何人か出てきて対応に当たった。俺たちは擦り傷切り傷刃物傷火傷その他結構なケガ人だらけなのは知っていたが、内何人かが奥に連れていかれた。更に検査が必要らしい。


「うむ。見立て程度で済まないが敗血症なりかけ3人、結核1名、赤痢3体、壊血病6例、ペスト2件、コレラも疑われるな。お前さんも脚気になりかかっているだろ。見事なまでの病気のデパートだな盗賊さん」

「な……俺たちを盗賊と知っているのか?」

 見れば壁のポスターに『この顔に ピンと来たら 110番』というのが有り、俺たちの顔が貼り出されている。

「なんでぇ。年貢の納め時かよ」

「そうとも限ってはいない。お前たちは今のところ単にケンカして負けただけだ」

「改心しているなら何も訴追は無いそうだぞ。そこでなんだが」

 

 ドクターたちが提案してきたのは俺たちに行き倒れ難民を出来る限り救い、病気を持っていそうな者を早急に病院に送る役割だった。しかも食事とささやかながら給料も出るらしい。

「俺たちは仕事が無いから盗賊になった。落ちこぼれだ。で?これでドクターさん方が得る報酬は何なんだい?」

「僕たちは忙しくなるでしょうね。しかしそれが僕らの上司からの依頼なんですよ」

「今日の所は病院の近くに宿舎を用意してあるからそこで休んどきな。明日から研修だ」

 研修ってのは病気の人を見分ける技能を身に付けて欲しいそうだ。熱の有無、心拍、腹部フィジカルサイン等を学ぶそうだ。で?フィジカルサインってなんだ?


「わかった。で、俺たちを救い出したあのババァに俺たちは礼を言わねばならないんだが」

「ジェシカ婆さんの事かい?お礼は言葉だけは受け取るだろうけど、物は受け取らないよ」

「ふん、欲の無いババァだな」

「あの人も欲の無い人に馬車と御者を貰っているから」

「ああ。ついでに言うがあのジェシカ婆さんを襲撃しなくて良かったな。御者のフルタは人質救助と射殺もプロ級な介護職員でもあるんだ」

 なんだそのチート?どういう奴なんだよ?

 もう良い。俺たちは最後の最後で絶望しか入っていないパンドラの箱を開けずに済んだのだ。多くの人を救い、多くの人に……そうだ恩恵も提供しよう。幸い農家の次男三男が主だった構成員だ。開拓や水利関係でお手伝いが出来るかもしれない。ドクターたちにも相談してみよう。欲の無い人に救われたこの命なら、返す相手は今困っている人たちにだ。


 しばらくして研修も終了し、俺たちは街道に出て畑を起こし速成作物を育てながら行き倒れを救助し、教わった病気が有りそうな患者さんを魔道具で通信し、馬車に乗せて搬送する。お腹を空かせた難民になら俺たちの食料と手料理も好評だ。


「お助けいただきありがとうございます。皆様方はどのような方で?」

 難民の一人が聞いてきた。俺たちは胸を張って答えてやる。

「ああ。俺たちは盗賊さ」

「盗るものなんかこの命程度の者共で申し訳ないですなぁ。しかも食事までむしろ頂いてしまうとは」

「もう、盗ってしまったさ」

「果たして何を」

「盗ったさ。みんなのハートをがっちりとな!」

 生憎このキメ台詞だけは、ウケが良くない。


ーーーーーーー


 ところでこの未来に救急救命士に近い働きをし始めたこの脱走兵崩れの盗賊団……崩れの奴らは実のところその活躍がダンジョンマスターである私と、図書館の奴、挙句の果てに領主さんにも知らされておらず、謎の親切団として半ば都市伝説になっていた。

 全く、何かするなら教えて欲しいものだ。特にみんな良い事をやっているのだから。

 読んでくれてありがとうございます

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