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第49話 説明会はまだ続く

 見つけてくれてありがとうございます


 Twitterから来てくれた皆さん、ようこそお越しくださいました

 概ね納得はして貰えたらしい。後は魔族という未知の存在が信用に値するかどうかの話だけだ。何よりちらつかせたカタログと書籍の寄贈が効果覿面だ。

「まあ、確かに魔族という角が生えた化け物を信用するのは難しいかも知れませんね。ただ、どうかこれだけは信じて欲しいのです。この見事な図書館は魔族にとっても魅力的なのですと」

 この一言に図書館の奴が加わる。

「だからこそダンジョンくんの庇護下になるべきだね。他の魔族に狙われたらひとたまりも無いからね。これほど人類に寄り添いたい魔族もなかなか居ないよ」

 領主さんの一家がほくそ笑む。寄り添う魔族というのに実感がこもるからだろう。一方の図書館員の皆さんは軽い困惑を浮かべている。

「ダンジョンさんの事がよく分からないわ!黙って図書館をダンジョンにしてもバレなさそうよね!何故そうしないの?ダンジョンって戦うことが得意な筈よね?何故奪い取ろうとしないの!」


 私の事が分からないというのはそれはそうだ。しかし奪い取る。それは参った。

「黙って図書館をダンジョンの一部に取り込む事は可能です。ですがバレたら恨まれるでしょう。そして奪い取る件ですが、皆さんと領主さんがそれで喜んでくれるならそうしますが、そうではないでしょう?」

 私は思わず一息入れた。

「恐怖とか憎しみの感情はダンジョンポイントに還元すれば高いですよ。しかしそれはやがて諦めと無視に変わります。それはポイントになりにくいのです。喜んで、楽しんで、そして納得するのはいつまでも続くので長い目で見ればそちらを重視したいのです。そして遠くない将来この図書館にはそれがぎっしり詰まります。それのエネルギーだけを私にください。見返りが足らないならまだまだ用意出来ます!」


「な。律儀だと思わないか?」

 しばらくの沈黙の後、領主さんが口を開いた。

「俺としては受ける事に何ら支障は無いんだよね。ここでお断りしても黙ってダンジョンに出来てしまうようだし。見返りが有る内じゃない?」

 領主さんはわりと澄ました顔で言った。

 領主さんが賛成に回った!後一圧しをしたいところだが咄嗟に手札がもうない。

「それならこれも提供しよう。この私が学問の指南役をするよ。それと豊穣の地を提供しよう」

 ここで図書館の奴が加わった。

 図書館がやっている奇行はまだ領主さんは知らない。ゴミを撒いて埋めることだ。


「豊穣の地か。民が潤うな」

「領主くんは自分の懐が潤う事は気にしないのかい?」

「民が先だな。民無くして何の領主かと思うぞ」


 それにちょっとだけ顔をしかめた図書館が答えた。

「私もまたこの仁厚なる領主くんを応援したくなるじゃないか」

 私もそう思わされる。何せこの人は民を愛し守る事に徹している。挙げ句私達の角を見ても何ら大騒ぎもしない。

 大物なのかどこか抜けてるのか。それとも図太いのか。はたまた警戒心が薄いのか。いかなる理由にしても私という魔族にすら領民と庇う傾向にあり、伺う事すらお構い無しときた。


「あのさダンジョンさんとそちらさん、すまないんだけど図書館の運営費一部肩代わりしちゃくれないかな?俺からの条件はそれなんだ」

 なんか微妙に現実に引き戻された気がするが仕方の無い事だ。

「オットー意地汚いわね!」

「若君様……」

 マリアさんと副館長さんが少し嫌な物を見る目をしているなか、館長さんが賛同を始めた。

「若様が仰るのも無理は有りません。何せ以前マリアの提案を叶える試算を見積りしたところ、業者は大金貨186枚かかると言うのですよ。それを軽く出せて挙げ句図書館という運営費のお化けを維持出来るなら。それはまあそう言いたくも……」

「大金貨186?みんな今すぐはいと言え!すまないが俺には……金は無い」

 明け透けだ。この領主さん明け透けだ。武士は喰わねど高楊枝とかそんな事無しに明け透けだ。

「そんな事くらい知ってるわよオットー!この甲斐性なし!」

「すまないマリア。そうさ甲斐性なしなんだよ。よく知ってたね」

 飄々と答える領主さんを何故かマリアさんがぶん殴る。

「全部叶えて貰えよマリア。丸く納めようじゃないか」

 余裕を以て答える領主さんは既に鼻血を出し、頭にいくつものたんこぶを作っている。

「オットー、分かったわ!この魔族の言い分は全て信じるわ!」

 でもその領主さんをつかんだ胸ぐらの手は外さない。

「お前に百年かけても用意して欲しいんじゃこのバカタレ!」

 そう言いながらポカポカと領主さんを叩き続けるマリアさん。ああなるほどな。女心と言うものか。

「落ち着いてください司書さん。領主さんが許認可下さったものですよ。ね?ほら」

 思わず私が宥めながらエプロンシアターを取り出して渡すと、司書マリアさんは私にではなく領主さんに頭を下げた。

「オットー、ありがとうね!」

 私は思わず『それで良いのよ』と、心で呟いた。これにより図書館の敷地そのものがダンジョンの一部と化した。周囲の人々には魔法によるリニューアルとでも言えば良いさ。

 読んでくれてありがとうございます

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大したことはしていませんが、フォロバは確実です。お気軽にどうぞ

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― 新着の感想 ―
世界の仕組みにもよりますが、おそらく、自分のダンジョンに組み込んで焼き払えば手っ取り早くエネルギー(ポイント)になりますからね。今後、そういうダンジョンから守る必要も出てくるかもしれませんね。
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