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第45話 見学会

 見つけてくれてありがとうございます


 Twitterから来てくれた皆さん、ようこそお越しくださいました

 領主さんの屋敷から帰って来てみれば、何故か子供たちを集めて図書館が説得をしていた。内容はこうだ。


「皆はお家の人が、あるいは地域が農村だから自分達も農民にならなければならないと思っている子も多いかもしれないね。勿論農家に適性が高いお友達もいるかも知れない。農家もまた大切なお仕事だよ。ただ、もし適性も無しに農家を続けるのならそれは人として不幸だ。世界にはもっと沢山のお仕事が有るのに」

「そんな色々なお仕事を見て感じてみたいと思うんだ。これは皆が適職を見つける為である以上に領主さんの為にもなるんだ」


子供たちにとって何より反応したことが、それが領主さんの為になるという事だったようだ。

「なんで領主様の為になるんだ?」

「何処で領主様が出てくるんだ?」

 子供たちの疑問も尤もだ。

「簡単だよ。適職を見付けて元気よく楽しくいっぱい稼ぐ。領主さんはその君たちの姿に喜べるし、多様な産業から税金が入れば領地も潤う。な?領主さんの為なのさ」

 それで納得する子供は半々と言ったところだろうか。

「そんなみんながこの地域の新しい特産品を作ってみなよ。高く売れて領主さんも大喜びさ」

 おお!

 子供たちの心にも何やら火が灯ったようだ。ここで図書館の奴が本題に入る。

「さてそこで皆で色んなお仕事の見学会をしに行こう。お昼も食堂を借りきって見苦しく無い程度のマナーも身に付けよう。まあ、体の良い遠足だよね」

 鍛冶屋見に行きたい!

 パン屋に行きたい!

 子供たちの食い付きも上々だ。だが口には出さないが私には不満がある。おい図書館!私のダンジョンポイントどうしてくれるんだ!

 

 思わず図書館には笑顔の奥に怨めしさをのせた顔をしてみせるが、図書館はお構い無しだ。仕方なく私から別の質問をしてやる。

「それ、各職場に対して迷惑にはならないのかな?」

「そこに抜かりなんか無いさ。各店舗やギルドには承諾済みさ。皆さん優しいよね。有難い有難い」


 多分優しいから応じたのではない。人口の急増に各物造りの職人達は受注量が増え、人手不足に弱りきっているからだ。難民の殆どは軍人でなければ農民で、なり手にならないのだ。

 見学会とか言いつつ始まる事は職人見習いの青田刈りだろう。

 だが、それで子供たちに明るい未来が少しでも広がればダンジョンに余裕をもって遊びにきてくれるかも知れない。未来への投資は仕方ないよな。

 とはいえ近々のダンジョンポイントをどうしてくれるんだ図書館め!

「引率者を用意しておこうか」

「やあ、頼めるかい?」


 このやり取りが、図書館をして『森の学者先生』と呼ばれ、私が『弟子のパトロン先生』と呼ばれる所以だ。知ってる。

 森の学者先生が提案し、私が必要な物を用意するからだ。そこは別段気にしていない。ダンジョンカタログでポイントを使う事など人間(ヒューム)への歓迎と還元だ。

 そして少し理性的に考えれば判る事だが、図書館は青田刈りという側面以上に『世間を知る』という事に重きを置いているのも透けて見えるし、その知識はダンジョンがどんなに優れた物になろうとも教えてあげる事が出来ない。ダンジョンの物造りは作物から工芸品まで、失敗などしないからだ。

 失敗してみることも貴重な経験だ。

 まあ、ダンジョンマスターとしての野性では、その日のダンジョンポイントをどうしてくれるのかとね!

 

「当日はみんなの畑の種まきが終わった頃にするからね。お家のお手伝いは大切にしましょう。その他具体的な日取りはしおりを作ってお知らせするよ」

 子供たちもピョンピョン飛んだりして喜んでいる。見学に行く施設などについては年齢別で別れているようだ。

 小さな子供たちは領内の景勝地である『水の精霊が住まう池』と、その祠へのピクニック。領内図書館への訪問もある。

 10歳前の子供たちはお店巡りがメインで、こちらも図書館訪問がある。

 二三年後に成人である15歳を迎える子供たちには衛兵詰所や冒険者ギルドの他、様々な製造に携わる場所への班別訪問が用意されている。

 案外盛りだくさんだ。

 引率者も随分用意しなくてはならないが、早くから慣れて貰えるように早めに用意しなくてはなるまい。

 しかもこの遠足、適齢年齢から外れ易い小さな子供への対応にはダンジョンの保育士の他にお家の人をを呼び、飽きさせない対応をしなくてはならないのだ。

 当日までは2週間ほど。なかなか大変ではないか図書館!

 それを苛立ち紛れに私から図書館に抗議はしてやった。しかし図書館の回答は軽やかだ。

「ふふ。ダンジョンくんも子供たちも。それから先程出してくれた引率者くん達も心配なんかする事は無いさ。人間(ヒューム)の言う所の神は越えられない壁なんか用意しないものさ」

 その壁を貴様が用意するのかよ。納得いかねーわ!

 とは思いつつもやってることはとても大切な事なのだから文句も言うまいさ。さて当日のダンジョンポイントをどうしてくれるんだ。

 読んでくれてありがとうございます

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