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第36話 魔法学校

 見つけてくれてありがとうございます


 図書館が私に要求した階層は、ひたすらだだっ広い場所だった。

 階層『ただの平原』をとりあえず出す。1つ1.5リーグ(約2キロ)四方のそれを正方形に合体させて出来上がりだ。図書館も広さに満足してくれたようだ。

 で、図書館はここで魔力が高めな子供達を集めてここで魔法を教えるつもりでいるらしい。

 既に子供達の選抜・了解も得ており、後は魔法を練習する広いスペースが欲しいだけだだったようだ。

 ここで全く意外だったのは、この魔法練習場の講師として私に、初回の講習をやれと言ってきた事だ。

「魔法使いカタログから召還しようか?」

「ダンジョンくんにやって貰いたいんだ」

「それは構わないが……図書館ではダメなのか?」

「私では駄目だよ。教えられる魔法が偏ってるからね」

 図書館はその種族上、魔法の眠り(スリープ)防御魔法(プロテクト)等の補助魔法ならお手の物だが、攻撃魔法なら初歩の初歩である魔法の矢(マジックアロー)すら使えない。

 火魔法等も使うことが出来ないので種火魔法(プチファイヤー)も使えないらしい。確かに図書館で火を焚くなんてご法度だろうからな。

 仕方がないから安請け合いしてやった。



 魔法を教える生徒達は性別も年齢もそして民族すらもマチマチだった。一人顔が、と言うか身体が真っ黒な女の子も居る。

「ダンジョンお姉さん先生、よろしくお願いします」

 子供達が深々と頭を下げる。近頃は図書館が私の呼び掛けに領主さんから貰った名前『ダンジョン』を付けてくれるようになり、やっと森の学者先生のパトロン先生からダンジョンお姉さん先生になったようだ。

 

 私が真っ先に教えたのはその防御魔法(プロテクト)だ。防御がしっかりしていないとなにぶん宜しくない。ワイワイ言いながら呪文の詠唱やらやっているうち、子供達の一人が言い出した。

「先生、攻撃魔法も教えて欲しい」

 私は前以て言われるだろう事を予測していたが、それをドンピシャで言われた。

「それはまだ早いと思うわ」

 私はそう言って呪文の詠唱をした。普段の攻撃魔法なら私は無詠唱で魔法を発動させる。

「虚空の彼方に在りしアステロイドベルトを漂いし者達よ、ここに降り立ちて我に仇為す敵を屠れ」

 子供達は私に注目する。何せ普段無詠唱で魔法を発動するヒトが詠唱をしているのだ。よほどな攻撃魔法が炸裂するに違いないとは分かるのだろう。

隕石落とし(メテオストライク)!」

 遥か彼方に大量の隕石が降り注ぎ、砂塵と爆音が響き、巨大なキノコグモが発生する。

「これが災厄級攻撃魔法の一つ『メテオストライク』だ。どうだ?こんな怖い力、今の皆には不必要だろう?」

 ここまでがセットでこちらの狙い目だった。どうせ防御魔法(プロテクト)には飽きが来ようさ。しかし防御が出来ない魔法使いは近接戦闘時には紙切れのようにやられてしまう。だからこそ防御魔法は必要不可欠なのだ。

 しかもこんな子供達には過ぎたる物を見せつけられたらさすがに何も言えなくなるだろう。

 実際子供達はポカンと口を開けて棒立ちになったままだ。しかし一人だけ、身体が真っ黒な女の子が重い口を開いた。

「…………です」

 全員が女の子を振り返った。

「欲しいです!」

 女の子が力強く叫んだ。

「おや、何故欲しがる?」

 女の子は16歳。誰かの奴隷頭であり、名前はエルカザンタという名前らしい。戦争で身体の一部を失った爺さんの補助に雇われた女の子だそうだ。

「ご主人様の身体をあんなにした戦争が憎い。その力が有ればもっと多くのご主人様の家族や村人を守れたに違いない。それにその力が有れば戦争そのものを終わらせられるかも知れない」

 この女の子はヒトを憎いとか復讐したいとかではない。体制とか国家とかに向いているテロリズムでもない。ただ、目の前の家族を守りたいから欲しがるのだ。

 思わず私は何も言えなくなってただ、身体の黒い女の子、エルカザンタの肩に手を置く事しか出来なかった。

 そこに助け船が来た。図書館だ。

「守りたいか。心掛けは立派だね。でも今はまず防御魔法をしっかり覚えよう。でないと君たちの魔法を使う前にやられてしまうからね」

 図書館の言い様に子供達は再び熱心に防御魔法の訓練を再開した。

「もしかしてこの子を見せたかったのか?」

 私は図書館に耳打ちして聞いた。

「そうだね。人間(ヒューム)は恨みつらみだけでは生きていない。少しずつ前に進む生き物なんだって気付けたかい?」

「ああ、そうだな」

 その身体が真っ黒な女の子エルカザンタが一番早く防御魔法をマスターした。

 今度はこの子は自分の開拓地の皆を、そしてこの沢山の難民達を守るために力を振るうのだろう。

 人間(ヒューム)とは何とも強い生き物かと思わざるを得なかった。

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