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第31話 フリコ・リブラ伯爵弟君

 見つけてくれてありがとうございます


 Twitterから来てくれた皆さん、ようこそお越しくださいました

 フリコ・リブラ。領主さんの末の弟で、12歳も歳が離れた弟君だ。髪型は可愛らしいおかっぱ頭。貴族のお子様は割とこの髪型が多いのだそうだ。

 美人と評判の母親に似て甘い顔立ちな上に、仕草や物腰が少女っぽく、まるで美幼女が居るかのようだ。

 

 領主さんの元にイービルアイを送り込んでいたのがバレた私は、見る相手を領主さん近辺の人々に切り替えていた。で、今日は領主さんの末弟であるフリコさんを見ていたのだが、どうもやていることが独特だ。

 家族の中には母親以外に懐ける相手が居ない。領主さんは大人すぎるし、イーナさんやママーナさんは女の子だ。遊びそのものが根本的に違うし、ましてやあのお転婆なイーナさんにかかれば女装させられてお人形扱いが関の山だろう。

 従って必然的に母親のそばで独り遊びをしているか、執事さんやメイド長さん(名前は知らない)とお勉強をしたり、剣術の鍛練をして日々を過ごしている。

 割と良く出来た子だ。ただ、歳の離れた兄の事は尊敬して止まないらしく、『あにうえ』『あにうえ』と、慕っているようだ。どこか尊敬する要素なんて有るのだろうか。

 そんなフリコさんは今日珍しく兄上であるオットー・リブラ伯爵の前に居る。手にはお気に入りの木刀を持ち、意気揚々としている様子だ。

「あにうえ、ひっさつわざを おもいつきました」

「ほう、どんな必殺技を思い付いたんだい?」

 領主さんはにこやかにフリコさんに話しかける。どうやら領主さんにとっても可愛くて仕方がないといった感じだ。

 私がそんなことをぶつくさ思っている間にフリコさんはのっそりとでんぐり返しをしてその後片膝を付いて木刀を付き出す動作をした。

「やー」

 どうやら必殺技なようだ。可愛い。でもほんの少し沈黙が支配した。

「あ、なるほど。身体の小ささを更に屈めて死角に入って攻撃する技だね。うん、フリコくんは賢いな、極めれば良い必殺技になるよ!」

 兄である領主さんは手放しで誉めちぎっている。可愛い方向にしか極まってないとか、兄バカとか色々思わされるが、領主さんとお近づきになりたいならこの可愛い弟フリコさんにお土産を持って行くのが近道だろう。

「これで あにうえの ごえいが もっと うまくなります」

 フリコさんは尊敬する兄上に言われて有頂天に胸を張っている。可愛い。マジ可愛い。


 そこにそろそろ沸いてもおかしくないだろう蚊が一匹迷い込んで来た。

「あ あにうえ かです あにうえを おまもりします」

 フリコさんは懸命に木刀を構え、蚊に真向かい気を吐く。その姿もまた可愛らしい。蚊はプーンという羽音を立てて消え去った。

「ぼくに おそれを なして にげだしました」

 フリコさんが胸を張って領主さんに報告する。でも領主さんの反応は違う。

「ここに居るよ」

 と、フリコさんの首もとで血を吸っている蚊を指先で潰してやっつけた。

「あにうえかゆいー」

 フリコさんは微妙に泣き出しそうだ。

「どれどれ、掻くよりもお薬を塗ろうね」

 領主さんがそっと痒み止めを塗ってあげる。兄弟の仲は良好そのものだ。何となく微笑ましい。

 

 こんなお兄ちゃん大好きなフリコさんがなかなか領主さんのもとに遊びに行かないのは、恐らく年齢差もそうだが、領主としてのお仕事を邪魔出来ないと思っているのだろう。

 お勉強と剣術に時間を割いてる理由も、尊敬する兄を支えたいと子供心ながらに思っているようだ。ならば贈り物するなら剣術指南役とか家庭教師とかが良いかも知れない。これは魔族の打算だ。この可愛い弟君は私にとっては領主さんに取り入るにはなかなかなお相手という事になる。別段私自身が家庭教師兼剣術指南役になっても良いではないか。

 

「あにうえ おくすり ありがとうございます」

「構わないよ。またいつでもおいで」

「はい ありがとうございます」

 弟君はこう返して部屋を出た。私は魔素溜まりに産まれ、親も兄弟も居ない身の上なのだが、この可愛い弟がちょっと羨ましく思えている。と言うか私自身、どうも子供というものを可愛がる傾向に有るようだ。


 と、ここまで自分のノートに書き記した所で、やって来た図書館にチラ見された。図書館はにっこり笑いながらコメントをくれた。

「子供や赤ちゃんが可愛く思えるのは、それが不完全な生き物だからかも知れないね。単独では生きて行けない。だから庇護を求めて応じやすくする為に可愛く見えるという説も有るね」

 だそうだ。

「不完全なのか?」

「そうさ。産まれて一年位は歩く事も言語を持つ事も叶わず、暫くの間は年は体力も知性も乏しい。何と不完全で弱々しい生き物だろうね。さて人間(ヒューム)はその庇護下の時に色々教わりながら大人になるべきなんだ。悪の花道を行くのも治世の能臣になるのも教わる事次第かも知れない。出来る限り多くの子供達にダンジョンくんが始めた教育システムを享受して欲しいね」

 

 某世界の教育学者は性善説も性悪説も否定し、産まれた子供を白紙であると唱えたそうだ。なるほど白紙なのだな。

 読んでくれてありがとうございます

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