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第21話 学ぶこととは

 見つけてくれてありがとうございます


 Twitterから来てくれた皆さん、ようこそお越しくださいました

預かり保育をしている子供たちは、保育所でもコミュニティーセンターでも好きな所に居て良い事になっている。制限しても仕方がないからだ。これによりそれぞれ個性が出る。

 男の子で多少の年長者は体操のお兄さんみたいな剣士のもとに集まり身体を動かしているし、何人かの女の子は歌のお姉さんみたいな魔法使いから魔術を教わっている。女の子の大人しそうな女の子達は保育所で小さな子供たちの面倒をみている。そして思いの外人気なのがおとぎ話の語り部みたいな老学者だ。

 

 学者さんはそれぞれに本人が好むテキストを丁寧に用意し、本人のやりたい事をやらせている「好きこそ物のあわれなりけりですよ」などと言いながら、丸い眼鏡の奥にある優しそうな目を細めて子供たちの成長を見守っている。

 ある日子供の一人が遂に禁断の質問をし出した。

「で爺さん先生、学ぶとどんな良いことが有るんだ?」

 意外と言葉に詰まる質問だろう。

 学者さんはおもむろに答えだした。

「とても難しい、しかし大切な質問ですね」

 学者さんはにっこりしながら続けた。

「皆さんもしっかり聞いて欲しいですね。確かに学んでみても今ここにあるお腹が減ったなぁという事実は無くなりません。困ったものですね」

 子供たちもペーソツ溢れる話し出しに笑いがこみ上げる。間も無くお昼御飯なだけにタイムリーさもひとしおだ。

「さて皆さん。皆さんは望む望まないを別にしてこの世に産まれ出て来ました。この後は病を得て亡くなるまで続きます。皆さんは今はそうではないかも知れないけど、運悪く(いくさ)で亡くなる事も有ったかも知れません。なんと病を得る間もなく亡くなる可能性も有るのです。なんとも不平等なものですね」

 これは子供たちにもトラウマな話だ。学者さん、どうするつもりなのだろう。


「さてこうしてみると亡くなる事は平等です。さて、ここで大事な事が有ります。皆さんは亡くなるまでに皆さんの弟や妹、年少の人に何を残してあげられますか?お金、食糧?悪くは有りませんが使って食べれば無くなりますね。思い出。これも良いでしょう。しかしもっと良い物を残す事が出来るのです。それが今学んでいる学問です。皆さんの弟妹達に、そしてやがて結婚して子供が出来た時に、学問という物を残してあげる為に学ぶのです。その知識の積み重ねがやがて戦を起こしにくい世界を作るかも知れない。やがてもっと便利な世界に導くかも知れない。その礎がここにいる皆さんや、皆さんの子供や孫なのかも知れないのです」

 堂々たる言いように私は感心すらした。

 これ、ホントに私がダンジョンポイントで出した奴なのかと疑問にすら思える。

「うーん。よく分からないや」

 聞いた子供が顔をしかめて答えた。

「良いのです。今は分からなくても、その内にあの爺さんは『あ、あの時あんなこと言ってたな』と、思い出してくれたらそれで充分です。さあ、学ぶことは大事ですが、今はお腹を満たしましょう。ご飯の時間ですよ」

 お腹ペコペコな子供たちはわらわらと最近用意した食堂という名前の『トーフハウス』という建物に駆け出した。

「心に染みましたよお爺さん。でもあんなタイミングで良かったのですか?」

 私から思わず昔話の語り部みたいな学者爺さんに声をかけた。

「こんな重い話は緩い程度で丁度良いのですよ」

 爺さんはニコニコしながら食堂へと歩き出した。


「良いお爺さんだね」

 背後から突然図書館の奴が話しかけてきた。

「いきなりだな。でもそうなのか?タイミング悪すぎて心にも残らない気がするが」

「それはせっかちな意見だな。ダンジョンくん」

 私の肩をポンと叩いて図書館が続けた。

「学ぶこと『教育』とは師の教えが染み入るのが10年、20年後になる事も有るのさ。いや、忘却の彼方に消える事も有るものなのさ」

 なら消えないように言わなくてはならないのでは?という疑問を被せにきた。

「だからね。何度も伝えるんだ。例えあの中の一人にしか伝わらなかったとしてもだ」

 人間(ヒューム)は私のような魔族と違い、随分物覚えまで悪いようだ。

「物覚えの悪い種族なのだな」

「ふふふ。不都合は忘れてしまえる事も人間(ヒューム)の特典かも知れないよ。嫌な事も悲しい事もやがて忘れて楽しい思い出を連れて死ぬ。寿命が短い生命だからこそなのかもね」

 

 学ぶことは必要だ。私にもそれは分かる。忘れてしまうとは割と都合良すぎるじゃないかと、少しだけイラっとした。そんなイラっとした気持ちの脇をお昼前でお腹を空かせた子供たちがわたわたと駆け抜ける。楽しそうだ。この楽しそうな笑顔とはしゃぎ声の前に立ちはだかれる感情なんか無い。図書館も私もお昼を食べに向かった。

 読んでくれてありがとうございます

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