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第15話 野戦病院のフロア

 見つけてくれてありがとうございます


 Twitterから来てくれた皆さん、ようこそお越しくださいました

 野戦病院の階層を『キャセリング』機能で二階層と入れ換えた。農園と牧場はこのダンジョンの密かなバックボーンだ。人間(ヒューム)にはまだ見せられない。

 一番不味いのはここが食糧生産地だと認識されて、開拓地の民がダンジョンに寄りかかってしまうことだ。拙くとも自分たちで食糧を生産してくれなくては救いがいも無い。

 

 さて先程図書館が連れてきた患者という名前の寝ている開拓民だが、寝ながら医者の問診に受け答えしている姿はシュール極まりない。

「うむ。肺結核患者は隔離しなくてはならないな。他に伝染するぞ」

「それは勘弁してください。孫を食わせなくてはならないのじゃ」


「脚気の症状だが、割と酷いな。お薬は毎日きちんと服用なさい」

「薬なんてダメだわ。お金なんか無いもの」

「心配は要らない。無償で診察するよう言われているから」


 医師達が目覚ましく立ち回り、看護師達が医薬品の配布や検査の助手をしている。たった10人程度の患者の前に、そこはなるほど野戦病院のような忙しさだ。

  一人緊急手術が必要な者が居た。義足の爺さんだ。義足の付け根に起こした炎症はかなり酷く、組織が挫滅し、壊死していて挙げ句敗血症手前だったとかで、それを処置しているそうだ。

 生憎私はダンジョンマスターであり、医学の心得など何一つ無い。よって医師の言ってる事なんかちんぷんかんぷんだ。

「何か必要な物は有るか?」

 せいぜいそう聞く事しか出来ない。

「うむ。義肢のコーディネーターを急ぎで。それから肺結核患者は仕方なく送り返すが、薬をちゃんと服用する為の見守り要員は必要だと思う。薬を服用すれば調子が良くなるのだが、肺結核は完治までしつこくしっかり服用しなくてはならないんだ。それから緊急入院患者にはお孫さんが居るそうだ。お孫さんの面倒をこちらで見るか人を送るか決めてくれるか?」

 

 それは咄嗟には決められない。何故なら図書館の奴が患者だけ連れて来てしまったからだ。家族もへったくれもここには居ない。

「明日の朝からそれは始めるしかないな。図書館の奴め。夜中に集めやがって」

「その分明日の仕事には影響しない。悪くない考えだな」

 いちいちやることが過激なのに評価を受ける図書館にはちょっと年期の差を感じるが、嫉妬とかやっかみよりも何故か呆れてしまうのが、また巧みだ。


「皆さん忙しいとは思うのですが、いずれ大規模な健康診断をした方がよろしいと思いますな」

 手開きになったもう一人のドクターも私に話して来た。

「割と自分たちの健康管理が出来ていない地域なようなので。出来れば早い内にお願いしたいですな」

 言いたい気持ちは分かるが、それと地域住民との熱量の格差はどうにもならない。

「更なる信頼関係の構築が必要そうだね」

 図書館の言うことが一番正しかった。


 翌日子供達が大量にやって来た。なにせ今日から38開拓地の子供達も受け入れているからだ。相変わらず保育所の滑り台を滑ってははしゃぐを繰り返しているが、アスレチックにも子供達が流れている。楽しくもスリルも有るアスレチックで遊ぶ子供達からは更なるダンジョンポイントが手に入る。ちょっと大きな子供達はそこでキャーキャー言いながら遊んでいる。用意した甲斐もあるものだ。

 ここで私は瞬間移動(テレポート)の魔法で52開拓地に向かった。ドクター達に言われた話をしに行く為だ。


 薬を共に服用する為の薬師を紹介し、定期的に来て欲しいと告げ、義足の爺さんの子供達を預かる旨を話した。

 人を派遣する手は私が却下した。

 少なくてもダンジョンポイントになるから呼び込む事にしたのだ。

 健康診断の話をすると、住民はきょとんとした。

「病気の予防とは何です?」

「石鹸くださるのですか?」

「学者先生方に如何なる得が?」

 最後の質問には一瞬解答に躊躇した。まさかダンジョンポイントの為だなんて言えないからだ。

「学者陣としては皆さんとの友好と絆を大切にしたいのですよ」

 私はやっと答えを出した。嘘は言っていない。そこを大切にしながらダンジョンポイントを欲しいとは思っている。

 『そんなものかねぇ』そんな顔をしながら了承してくれた。

 開拓民達に理論派がいないことこそ救いだった。ちょっと反論があればあっという間に裏を勘繰られてしまう。まあ尤も裏に有るのは『来て来て遊んで!』しか無いのだけどな。

 

 私としてはまだ単なる学者でいたいのだ。多分私が魔族でダンジョンマスターだと明かす相手は多くなくて良いはずだから。

 さてさて、いつその方にごあいさつ出来るのやら。

 ただ、私自身が意外な事に巻き込まれてしまうのだ。

 読んでくれてありがとうございます

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