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第115話 セーラー服だよマリアさん

 見つけてくれてありがとうございます


 Twitterから来てくれた皆さん、ようこそお越しくださいました

 軍務卿もご帰還あそばされ、領主さんにやっと平穏な日々がやって来る。

 私とママーナさん、イーナさんが集めたこの領地の自警団なる組織に領主さんもご満悦だ。領主さん的には枕を高くして眠れるだろう。

 しかしそんな泰平を脅かす者は存在する。


「オットー起っっっっきなさいよぉぉぉぉぉぉ!」

 領主さんのベッドから、シーツどころか下に敷いてある式布団の類までを引っぺがしてマリアさんが襲い掛かってきた。


「何すんだオマエ」

さすがに領主さんも怒り出す。朝駆けは本気で辞めてあげて欲しい。

 しかし誰一人領主さんの傍には現れない。メイド長さんも執事のセバスチャンさんも門番のゴンザさんもだ。

 あいつらグルなのたろうか?マリアさんから金子(きんす)でも包まれたのだろうか?

「明けの明星が窓から俺を笑っている」

 領主さんの呟きは詩的で悲哀的だと何となく感じた。


「これ、どうよ!」

 と言いながらマリアさんが仁王立ちしている。

「何がどうなんだよ」

 領主さんは寝ぼけ眼でマリアさんに返した。


「セーラー服よ!」

 ああ。今日はそのいつか私が着ていた服を見せびらかしに来たようだ。そう言えばせがまれていた。

 本当ならこんなに朝早くに来ることは無いだろうって領主さんか諭すのだが、それで言う事を聞いてくれる子ではない事を私も領主さんも知っている。


「似合っていると思うよ」

 領主さんは辛うじてそう振り絞った。

「そうでしょ?女の子が着たら可愛いわよ水兵服!」

 そう言いながらくるりと横に一回転して見せた。スカート丈は非情に短く、膝上より有るニーハイソックスを履いている。

「おいあまり過激に回るな。スカートの中が見えちゃうじゃないか。あまつさえそんなに肌を出してるなんて」


 領主さんの言うことはごもっともだ。

 この世界の女の子はたいてい暑くてもロングスカートで夏の間の半袖の腕がセクシーアピールの限界なのだ。

 そんな世相のなかを幼馴染みで18のマリアさんが着ているのは、領主さんにとっては恥ずかしいのだ。しかしマリアさんはそんな事お構いなしだ。


「これでダンスを踊れば男の子なんてイ・チ・コ・ロ・よ~!」

 とか言いながらマリアさんが何故か歌い出す。

 「ドキドキしちゃうのウーンムフ。ワクワクしちゃうのキュンキュンキュン♪」

 歌の節に合わせているのに全く見合わない振り付けダンスを踊り出す。あー。どこかの民族の踊りで、戦士達の躍りだこれ。妙に蛮族さが拭えない。


 しかも脚を上げるたびにスカートの中に唯一履いてる水色と白のストライプ模様の下着がチラチラ顔を出す。

 領主さんはマリアさんを全力でとめた。


「おい分かったから。そんなに下着を見せちゃダメだ」

「まあ!何見てんのよエッチ~!」


 突き飛ばされて後ろ向きに転がった領主さんは壁にぶち当たって止まった。

 この子可愛い服を着たところで行動が何一つ可愛くない。

 「それはすまない。でも見えたものは仕方ない。で?あのダンスはなんて言うんだ?」


 「ニュージーランドのハカとトンガのシピタウに決まってるじゃないの!」

 え?決まってるんだ?ソレ(セーラー服)着て踊るのがですか?マリアさん。

 その二つの地域を何故知ってるんだろう。寄贈した本の中に『世界のダンス』という本が有ったかもしれない。

「これ、この水兵服の国で大流行らしいからやってみたのよ!」

「何故流行った?今一つ理由が分からない」

 その種明かしは私だけが知っている。やっぱり本だ。その本が出回った地域で、あのダンスの国々がめちゃくちゃ強い球技があり、その大会が有ったのだ。大変話題になっていた。

「どうも体力自慢の肉弾戦の試技が有ったらしいのよ。その時人気が出たらしいわ!」

 やっぱりそうだ。その球技は『ラグビー』という名前だ。領主さん。私達とんでもなく申し訳ない物を送ってしまったようです。


「それをお前がやるのはどうなんだぜ?」

「カッコよくて可愛いからバッチリよ!」

「どこがかわいいの?」

「私自身が可愛いわよ!」


「ああ。そうだった」

そうと言った領主さん。それこそ年貢の納め時だ。

 マリアさんはスカートの中が見える事も気にせず、縦四方固めで領主さんを押さえ込み、領主さんが「おい下着が見えてるから!見えてるから!」とか叫ぶのも気にせず固め倒した。

 そしてやっとおとなしくなった。マリアさんに一言領主さんが囁いた。

「ちゃんと更衣室で普段着に着替えてから食卓に来るんだよ」

 間もなく朝食の時間だ。領主さんは服を変えてから食卓に向かうようにお願いした。

「なんでよ!私は楽しすぎてお腹ペコペコよすぐに食べたいわよ!」

 この後の領主さんの返しは、マリアさんを感極まらせてしまう。

「そんなあられもない姿のお前を俺以外の人に晒すなよ」


 マリアさんはそれに痺れたようで、領主さんをがっちりヘッドロックしたまま放さなかった。

「痛いよマリア。メシにしようよ」

 領主さんの声掛けは虚しい。でも領主さんのお気持ちはよく伝わる。イービルアイ越しの話でもだ。

 読んでくれてありがとうございます

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