第114話 ダンジョンらしいダンジョンを作ろう!
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この仕事は本当に気が向かない。何故こんなにも楽しくて有意義な施設を用意して皆様の訪問をお待ちしているこの素晴らしきダンジョンに冒険者が冒険をする為のダンジョンなんか用意してやらないといけないのか。
仕方ないよな。予算会議で領主さんに言われたのだから。
全く本当に忌々しい。しかしやることは簡単だ。冒険者を仕留める設備を作れば良いのだろ?チョー簡単だな。
まあダンジョンの別入口を用意して、そこで冒険者が攻略するダンジョンを用意してやれば良いわけだ。
てなわけで入口に巨大で深い落とし穴を用意してやった。
「これで冒険者なんぞ一網打尽だな。完成っと」
私がウキウキしながら冒険者ギルドに報告を入れに行こうとしたところを呼び止める奴がいた。
「おいダンジョンくん?」
図書館の奴だ。
「なんだい?私は忙しいんだ」
「忙しいじゃないよダンジョンくん。なんだい?その殺戮の罠。君らしくも無い」
「えー?でもさあ。要するにダンジョンってこういう物だろ?」
「君はダンジョンマスター族としてダンジョンを何だと思ってるんだい」
「……冒険者殺戮機?」
「それは酷いな。普段余程の事がない限り人間を害する事もない君らしくもない」
私は確かに人間を歓迎したことは有っても、殺戮したことは一度きりだ。いつか来た盗賊団だけだ。
「すると何か?お前は私に私の家に軍靴で踏み込む奴らを野放しにしろと言うのか」
「ダンジョンくん。そこはやりようじゃないかな。滞在時間を増やしてみたり死亡相当のダメージが有ったら送り返すシステムとかさ」
あー。と、私は思わされた。なるほどな。ダンジョンカタログには『帰還の腕輪』という冒険者を殺さない為のアイテムも有るからな。
そこで私は帰還の腕輪を販売する掘っ建て小屋を用意し、そこにゴーレムを置いて販売対応させた。滞在時間を稼ぐ為にも落とし穴は辞めて12舎のただの通路を用意してやった。
「ふ……出来たぞ。さて知らせに」
「なあ君はどうしてそんなバカなんだ?」
図書館が私に酷い事を言いやがる。
「バカとはなんだ俳句みたいに」
「下の句を詠まずとも良いよダンジョンくん。君はこのハイキング廊下に遊びに来たいのかい?敵とか宝箱とかドロップアイテムとか無いのかい?これは冒険じゃないよ。死の行進だよ」
「2階層にも同じのをな」
「やめ!」
図書館の奴やたらと今日はツッコミが厳しい。
「あー。確かに非効率だな」
今度は通路に2つ部屋を用意した。一枚目の部屋の扉を開けると反対側にまた扉。それをくぐり抜けると暫く通路が続きまた部屋。そこを開けたらまた反対側に扉。
この扉を開けるとポータルになっていて一枚目の部屋前に送られる。無限ループだ。
「安上がりだな」
私は図書館にサムズアップして見せ笑顔を見せた。
「ちげーわ!」
図書館のツッコミが荒くなっていく。
「死の行進から何も変わってないじゃないか」
「全く仕方ないなぁ」
一つ目の部屋を縦横高さを5倍にし、そこにドラゴンを放った。
「ほれ倒せ」
「ほれじゃねー!」
「何を怒るのだ?一体でめちゃくちゃ沢山のドロップアイテムが有るご褒美だぞ」
「楽しませろよ!冒険者をさ。いきなりドラゴンっておまえさまや!」
「えー?アトラクション置く?」
「あー。ダメだなこれは。仕方ないから監修してくれそうな人間連れてくるよ」
図書館の奴はツッコミをガンガンにやりながら瞬間移動の魔法で出掛けて、すぐに帰ってきた。
傍らに冒険者ギルドのマスター、タイラーを連れて来ていた。
「ああお前か」
個人的に歓迎の意向ではない。何せコイツは私のダンジョンを軍靴で踏みつけ(二回目)
「あー。ダンジョン卿ご機嫌……宜しくも無いし歓迎してくれてないのはよく分かります。でもどうか冒険者殺しの罠を仕掛けないでください。それでは冒険者からそのあの。ダンジョンポイント?ってのが貰えないじゃないですか」
ん?コイツダンジョンポイントを知っているだと?なるほど図書館の奴がペラペラ話したらしい。酷いな。
「で?どうして欲しいんだよ」
「1階層に半刻程度の歩き回りと、そこに魔物をスポーンして貰えれば。例えばゴブリンとか」
「ソイツは嫌!スケルトンならどう?」
「おお?やる気を見せてくれるのですか?」
「仕方ないわ。だって領主さんからも頼まれてしまったもの!」
魔物のドロップアイテムは1階層なら薬草とか毒消し草程度で良いとか、階層ボスはスケルトンリーダーとかちょっと強くしたら良いとか。
更には階層おきに公衆トイレを用意して欲しいとか。思いの外トイレ事情は大変なようなのだ冒険者って。
『帰還の腕輪』は大銅貨5枚で貸出にして、無事帰還した人から回収返金とか、なかなか面白いアイデアを貰えた。
そう言えば私は本来こう言ったダンジョンを作るべき魔族なのだと再認識させられたが、タイラーに監修させれば更に良いダンジョンが出来上がるに違いない。
ちなみに3階層のセーフティゾーンにはトイレや宿、買い取り施設に酒場まで用意してやった。至れり尽くせりだな。これも奴からの着想だ。
「なるほどな。これなら冒険者を殺す事なく沢山のダンジョンポイントが得られそうだな。来てくれてありがとうマスターさん」
ここで図書館の奴が本日最後のツッコミを入れた。
「いや、これ本来ならキミの領分の話しだからね?」
いやー。全く以て……
「それな!」
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