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第113話 マリア・ビブロテカーリオ作『人間再生』より 「ワークショップを用意しよう」

 見つけてくれてありがとうございます


 Twitterから来てくれた皆さん、ようこそお越しくださいました

 実のところ私達の図書館にやって来る、軍の事以外の事を一切知らない『孤児部隊』は、両国合わせて8人も居るのだ。

 よく見るとそれぞれ性格もやってる事も違い、それぞれに個性がちゃんとある。それは児童図書室に居る子供たちに対しても同じだ。

 さすがに見た目の差なのか、殴る蹴る等を働く事は無いのだが、可愛がってるつもりが力加減が分からなくて泣かれてしまうこともある。

 アナナンカちゃんは部屋を分けた方が良いのでは?と提案してきたが、私はその意見には反対だ。子供たちとの付き合い方を実地で学んで貰うのも手の内だ。もちろん怪我とかさせてしまうと困るけど。

 

 絵本を読み聞かせする時に『お友達と仲良く』とか『思いやりの心』を訴えた絵本を多く読むようにし、孤児部隊出身者の歓心を買いながら、身体の大きさから子供たちと同じ机で何かをする事が出来ないという欠点のカバーをするために、私はオーナーであるダンジョンさんを呼び出した。

 このラビリンシア・ダンジョンさん。名前はオットーから貰った物なのらしい。本人は自分を魔族(デモナイト)とか言ってるのだが、私達に害を為す事も無いし、むしろ私達に良い影響を及ぼす事に腐心しているようだ。頭に2本の角が生えてるのはまあ、ご愛嬌という奴だろうか。

 私とアナナンカちゃんは既にこの孤児部隊出身者が遊びながら学ぶ施設作りに関して意見を戦わせて置いてあった。


 ①小さな子供たちと隔絶する事が無いようにすること。

 これは孤児部隊出身者の人たちがいつかここの子供たちのリーダーとして面白い事をしてくれる事に期待したからだ。だから普段から仲良くしておかないとね。


 ②本人達が使いやすいサイズの施設を用意すること。

 平たく言えば利便性の追及だ。子供サイズのテーブルに小さくなって粘土をこねるのはもうヤメだ。


 ③出来る限りの物を用意すること。

 かなり考えたのだが、刃物や鋸等の誤った使い方をすると怪我になる物も置いておく事にした。

 彼ら彼女らにも無限の可能性は有るのだと私は信じた。

 

 ならばダンジョンさんを呼び込んだ理由など簡単だ。

 まずは奥行きはそのままで幅を伸ばして貰う魔法を使って貰う事だけだ。

 図書館全体がダンジョンさんのダンジョンになっているから、このような改装が瞬時に出来るのがありがたい。

「テーブルや椅子を用意しないとだわ!」

 私が買い付けに行こうとしたら、それもダンジョンさんが出してくれた。

 テーブルも脚も角が丸く、柔らかいクッションが付いてるから、子供たちがやって来てもぶつかって怪我をする恐れも無い。この人はよく分かっている。

 粘土や粘土板やへら。何冊かのノート、絵本より対象年齢を上げた児童書を棚に置き、更に積み木や新しいおもちゃを用意した。

 今回用意した新作おもちゃはペグというおもちゃだ。整然と並んだ丸い穴に五色の頭が丸いペグという物を刺し、それでドット絵を描いてみるものだ。ペグを指す穴の数も小さい物から大きなものまで。

 勿論これらも怪我への配慮から角を丸く面取りしてあるのだが、これが荒んだ心を持っている筈の孤児部隊出身者が、ペグを撫でている内に穏やかになったケースも発生しだした。

 更に毎日粘土遊びをしていた人は、少しずつ腕前を上げていき、遂に鋳物工場の砂型作りに就職したケースも発生した。

 

 尤も彼ら彼女らはまだまだ色んな事が足らない。だから貰った給料をその日の内に謎のおもちゃを買うのに使い果たしたり、気分にむらっ毛が有る事も多く、無断欠勤や突然の離職もしてしまう。

 心身共に健全であるという事の道程の難しさを、この人達の育成をしていく私達がこの時はまだ知らなかった。

 しかしながら私達はこの俗に言う『寺子屋』とか『手習』或いは『私塾』無き地域にいるのだ。地域の足らない知識と教養を求め、やって来る人にそれを提供する役目を負った者なのだ。

 だから毎日やって来るこの人にも、子供たちにも、そして本館に足を運ぶ人々にも欲しい知識を取得する手伝いをしなくてはならないのだ。

  

 まあ、そんな気持ちが分かってクレナイ奴というのは現れるものだ。

 王都から来た司書の研修生だ。

「道程は遠すぎます。やはり二束三文で奴隷市場にどうですか」

 私にこっそり耳打ちしたソイツを私は軽く締め上げてやった。

「うるせえなテメー!てめえ行って戦争止めてこい!今すぐ国境橋に放り込んでやる!ダンジョンさん瞬間移動(テレポート)して!」

 ダンジョン答えは軽やかだ。

「その必要より手を放す必要がありますね。もうソイツ気を失ってますよ」

 ちょっと見たらあっという間に泡を吹きながら意識を手放しているじゃないか。

「ふん!柔な奴め!」

 倒れ行くソイツに一発蹴りをぶちこむと、ソイツは廊下を滑りながら飛んで行った。そしてまた病院に帰って行った。本当に柔な奴だ。オットーなら流血程度で治まるものを!

 読んでくれてありがとうございます

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 なども書いております。宜しかったら見て行ってください


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