表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
112/120

第112話 執事セバスチャンさんの闇

 見つけてくれてありがとうございます


 Twitterから来てくれた皆さん、ようこそお越しくださいました

 その日も何人もの難民がやって来る。ところがその日は様子が違っている。難民は走って逃げるように、そして怯えるようにしている。それはそうだ。剣を抜刀したまま国境橋を超えてやって来ている奴らが居る。

 要するにこれは越境行為だ。そんなのが小隊クラスで居る。そんな一人が逃げ遅れた難民を斬り捨てた。

 酷い!これはもはや領主さんの生命という名の財産だ。イービルアイからの映像は凄惨だ。

 ここに執事セバスチャンさんが現れる。どうやら定期的に国境橋を確認しているようだ。

 近頃は執事さん単身ではなく、目端と武力に長けたどこかの子供たちも連れている。

「あいつら、狂人部隊です!」

 子供の一人が越境行為をしている剣士を指差し、執事さんに紹介した。

「そのように呼ばれているのですか。なるほど狂人どもですな」

 淡々と答える馬上の執事さん。その割にかなり頭に来ているようだ。

「越境行為を赦す訳にも行きませんな」

 

 私も瞬間移動(テレポート)の魔法で現地に飛んだ。咄嗟に手に取った片手剣だけを持った。かなり血生臭い事になりそうだ。


「おやおや貴殿ら。ここがウチノ王国、リブラ伯爵領と知っての狼藉であるか」

 執事さんの誰何(すいか)に狼藉者達が答える。

「無礼者!我々はソンナ王国教主教導隊である!裏切り者共の征伐に参った」

「アイツらそう言う名前の教会から派遣された狂信者なんですよ」


 そんな名乗りの合間に私も到着した。

「執事さん、加勢に来ました」

 執事さんは私に感謝し、顔だけは『ヤベー』という顔をし、目礼をした。

「この地に来た難民は国境橋を越えたからには若旦那様の財産。それを無闇に(あや)める貴殿らを赦す訳にも行きませんな」

 執事さんは剣鉈を構え、不法侵入者の捕縛をしに向かう。

 ちなみに他の子供たちは両刃の剣や弓騎兵なので、手加減の仕方は割と痛め付ける形になる。

 で……実のところこの執事さんも強い!

 領主さんと違って剣技が凄まじい。白髪交じりの頭して執事らしいモーニングコートで、フックベントを靡かせながらまるで舞うかのように一人峰打ちに倒した。

 他の子供たちも充分に強かった。それは適度に治安維持に出向いた機動隊がポリシー高めのヘルメット共をなぎ倒すかのようだ。

 私も多少剣技は予め入力(インプット)された身だ。多少程度のこんな者共、切っ先が予測出来る。いつか来て今は私名義の奴隷になっている盗賊に毛が生えた程度の相手だ。対処するに別段困る相手ではない。敵わぬと見て逃げ出した『狂信者部隊』に鈍足(スロウ)と、その足下に掘削(ディグ)の魔法をかけてやればどうと言う事も無い。

 宗教かぶれ共なんぞここに居る領民の敵にはならなかった。あっという間に捕縛されたソイツらだが、現場は凄惨だ。

 もう何人もの共に来た仲間を喪ったのだろう。斬られて倒れた遺体に涙も流すことなく傍らに佇む子供。乳も貰えずに衰弱したままの赤子。どれも正常な反応なんかではない。

 大急ぎで救急馬車を呼び、出来る限り多くのヒトを乗せてダンジョンに有る病院に向かわせた。

「さて執事さん、ソイツらどうするのです?」

 見れば隊長は見目麗しい女性で、煌びやかな鎧に白馬に乗ってやって来た奴だ。領主さんの鼻の下が3マルク(約5メートル)伸びそうな女性だ。

「それはまあ、領土侵犯と若旦那様の領民を殺めた罪を背負っていただきます」

 執事さんは淡々と答えた。

「では領主さんにつきだしましょう」

 私の言い様に執事さんはサラリと答えた。

「全くダンジョン様はお分かりでいらっしゃらない」

 執事さんは女隊長の鼻をつまみ上げ、持っていたナイフで鼻を削ぎ落とした。切れ味の良いナイフなこと。

「若旦那様はお優し過ぎる方なのですよ。だからこのように侵犯を何度も許してしまうのです。やれやれ、どこまで美しい女性でも鼻が無ければ酷いものですな」

 鼻を斬られて泣き叫ぶ女隊長を尻目に、今度は10本の指を切り落とした。

「これで剣は握れませんな」

 執事さんは淡々と良い放ち、私に続けるように追加した。

「二度と侵犯なぞするものかと印象着けなくてはいけませんのでね」

 執事さんは女隊長の部下全員の目をナイフで突き、失明までさせていた。

「これで戦えませんでしょうな。元々見えていた目が見えなくなる恐怖を味わってくださいませ」

 ここで捕縛を隊長から解き、ひとりずつ捕縛を解き、女隊長に肩に手を乗せさせた。

「さあお前たち、故郷への帰還を許してやろうじゃないか。せいぜい道中猛獣に気をつけて帰るのですよ。ククク」

 これには随伴した子供たちもゾッとしつつも痛快に思ったようだ。どうやらかなり住民からも軍属からも嫌われた権威なようで、目を潰された誰かをいたずらに転ばせてみたり、笑い者にしたり単唾を吐きかけたり。

 それは普段にこやかに礼儀正しい執事さんの、この街における役割の一端だった。

 読んでくれてありがとうございます

 もし良かったらブックマーク、評価、いいね、感想、レビューなど頂けましたら嬉しいです

 

 只今連載中

 犢端高校勇者部活動記録   https://ncode.syosetu.com/n0115ie/


 爆笑!元朝秘史

https://ncode.syosetu.com/n3161if/


完結作品

 素人集団!!国家連邦政府宇宙軍第6艦隊奮闘記

https://ncode.syosetu.com/n7603hp/


 ココチュのフェイクニュース

https://ncode.syosetu.com/n7689id/


各種短編

 伯爵閣下がホラ話で領地を盛り上げてみるようですので発表します

https://ncode.syosetu.com/n0773gs/

 

 精霊だらけインタビュー

https://ncode.syosetu.com/n9175hv


 SS 家元になろうよ

https://ncode.syosetu.com/n4840hw/


 なども書いております。宜しかったら見て行ってください


Twitterやってます。@kokochu539です。

大したことはしていませんが、フォロバは確実です。お気軽にどうぞ

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ