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第110話 その頃の移動図書館

 見つけてくれてありがとうございます


 Twitterから来てくれた皆さん、ようこそお越しくださいました

 アナナンカ・ホッジスさんが図書館業務として行っている『移動図書館』これが実は多くの大人や若者等のダンジョンに勉強に来られない人々への学習機会になっている。文も脇に掲載された紙芝居と、簡単な絵本や軽い読み物を貸し出す。

 少しずつ字が読める大人も増えてくるし、何より遠い開拓地に住む人々にとって、愉快な娯楽にもなっている。

 

 どんな調子でやっているのかもなかなか面白い。

 揺れの少ないダンジョン謹製改造馬車を降り、装置を設置した後拍子木を鳴らす。それが移動図書館開始の合図になる。

 概ね週一でやって来るそれこそが、あちこちに有る開拓地に住む人々のお楽しみになっているのだ。

 

「さあさ皆さんお待ちかね!移動図書館のお出ましだよー!水飴小銅貨一枚うめぇ棒も同じく小銅貨一枚!その他色々あるからねー。欲しい人は並んでねー!」


 鐘の音も鳴らして開拓民に知らせる。週一だいた四半刻(30分)から半刻(一時間)で終わる楽しい催しだ。長引かないから農作業にも支障が無い。しかもお値打ち価格で甘味もやって来る。これを楽しまない手は無いのである。

 

 その日向かった22開拓地は、かつての難民が定着して連れ子だった者達同士が結婚し、世代交代も一巡した地域だ。若い村人も居れば赤子も居る。

 その様なムラになりかけた開拓地でアナナンカさんは紙芝居公演を行っているわけだ。


「さあ皆さん集まったかな?お菓子は行き渡ったかな?今日の紙芝居はなんと!領主様のほら話『じょうしょう不敗の将軍』だよー!それじゃ始まり始まり~!」

 お話が分からない赤子はその絵に魅了されているし、この領内で支持率が高い領主さんが創作した物語を演じて嫌がる者なんか居ない。

 赤毛の三つ編み。丸い眼鏡に痩せぎすのアナナンカさんの紙芝居公演。彼女もしっかりマリアさんの絵本の読み聞かせを見て真似て練習していた。

 思いの外この(ご令嬢)何でも出来る凄腕だ。私は思ったものだ「この女、使える!」と。

 まあ、私の思惑通りには動かない。それもこの女の良い所なんだけどな。

 

 公演が終わり馬車を操作しながらお菓子販売の収益を計算するアナナンカさん。

「中銅貨6枚程度か。これじゃ無理ですね」

 と、何故か肩を落とす。

 ちなみにお菓子自体がダンジョンの品物であり、販売益は全てダンジョンへと帰属する。のにも関わらずアナナンカさんは収益を気にしている。これは遠い未来に公営ではなく私営図書館等を運営するためのノウハウ造りの為なのだと語る。

 余程本というモノが世間に読まれる時代になった時、例えば本を貸し出しする『貸し本屋』。或いは美味しいご飯と共に本を楽しむ『ブックカフェ』といった業態を見据えているのだ。それはダンジョンが有ったとしても向こう100年200年先の未来に登場する業態だろう。

 それを気付いているのかいないのか。アナナンカさんはその未来の為に収益に若干こだわる。今はマリアさんとアナナンカさんの実験設備。それが移動図書館だ。

 ちなみに本の貸し出し状況は芳しくない。何故なら保護者も残っている子供たちも文字が読めないからだ。

 したがって持ってきた本に子供たちが興味を示すと、アナナンカさんが読み聞かせをしてあげるのも役目だ。

 見た目と性格の割に話すことが好きなアナナンカさんにとって、読み聞かせを行うことなど苦痛ではないらしい。

 ただ行った先で良く言う話が有るそうだ。

「お子さんが寝る前に本を読み聞かせると良いですね」

 信憑性よりも確かに良さそうな光景が目に浮かぶようで、聞いている民や爺さん婆さんも顔が綻ぶ。

「なら文字を覚えなきゃならないのう。儂でも文字が読めるまでになるじゃろうか」

 アナナンカさんの答えは力強い。

「誰でも読めるようになりますよ。そして何歳の人でも学ぶ事に遅すぎる事も早すぎる事も無いですね!思い立ったその時こそが始める時ですよね」

 彼女の名はアナナンカ・ホッジス。このヒトが口癖のように言うこの言葉こそ、後に生涯教育とか社会教育という単語をこの世界に決定付けるものになるのだ。

 読んでくれてありがとうございます

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