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第107話 恐縮するしか無いだろうが

 見つけてくれてありがとうございます


 Twitterから来てくれた皆さん、ようこそお越しくださいました

 翌日私は領主さんの洋館客間で目を覚ました。ジンジャーエールではなくエールというお酒は酒精が弱いのか、先日みたいな頭痛は無く、ちょっと。いや、気持ち悪い程度の目覚めだった。

「あら~。お目覚めですかぁ~」

 のっそりとした声で私に声をかけて来たのはメイド長さんだ。

「え……ええ」

 私の答えを聞く前にメイド長さんはお母上さんを呼びに部屋を出た。

「奥方さま~」

 なんて呼び掛けながら出て行ったからすぐに分かった。

 そして比較的早くにお母上さんとメイド長さんが揃って入ってきた。私の着衣に乱れは無い。昨夜酔って倒れた後そのままベットに入れられたのだろう。

 お母上さんはメイド長さんと共にすぐにやって来た。

「おはようシアちゃん。水飲むかしら?」

「あ。あ。恐縮ですお母上さん」

 シアちゃんって私の事のようだ。ラビリンシアのシアちゃんだ。恥ずかしい!

 コップの水を飲み干した私を見てお母上さんが私に優しく話しかけてきた。

「私で良かったらお母さんと呼んでくれても良いのよ」

 飲み干した後で本当に良かった。飲み途中ならびっくりして吹き出していただろう。

「いえそんな。恐れ多い」

「気にしなくても良いのよ。今後ともリブラ家とオットーの力になってちょうだい。それと……シアちゃんが私に孫を作ってちょうだい!」

 結局そこかよ!とは思ったが、もしこんな素敵な『母親』という家族を作る為なら悪くは無い気もしてしまう。


「お母上さん。答えに窮してしまいます」

「あら。オットーの事お嫌いかしら?」

「いいえ。むしろ好きな殿方ですよ。まあ、あまり年頃なヒトにも会っていませんけど」

 本当の事だ。この領内には年頃の男女は少ない。年寄りと子供が難民としてやって来るからだ。

「それもそうね。シアちゃんがどうするのかはお二人にお任せするわ。でも私はオットーの母。領主の母なの。あの子は領主として領民の兄弟姉妹、その母である私は領民の母なのよ。この私はだからシアちゃんの母なの」

 なるほどこれが貴族の心意気なのかな。まあ、こんな貴族も少ないだろうけど。

「お母上さんから貴族の偉大さを見た気がします」

 お母上さんはにっこり笑顔を見せて、それから朝食に誘ってきた。

 ここはダンジョンではなく領主さんの洋館だ。ダンジョン内なら私は食糧も睡眠も要らないが、ダンジョンの外だから私はお腹が減るのだ。

「ありがとうございます」

「今日はマリアちゃんも来てるのよ。楽しい朝食になるわね」

 あー。あのヒトも来るのか。そりゃ賑やかになりそうだとは思ったが、色々気恥ずかしい。帰りますと言いかけた時、お母上さんは私の手をぐいぐい引っ張り、朝ごはん~朝ごはん~とか歌いながら連れ出してしまった。

 余談だがこのヒトめっちゃくちゃ力が強い!なんだろうこれ?あの領主さんの母親だからなのだろうか?それともこの領地の女性は強くなくてはならない法律でも有るのだろうか。

 いや、一応領内法は目を通してそんな法律無いのは知ってるけどね。


 さして大きくも無い洋館だ。食堂なんかほんのすぐだ。

 お母上さんは食堂のドアを蹴破り叫ぶ。

「みんな!シアちゃんも来たわよ」

 家族と使用人の皆さんが何故か私を拍手で迎える。心苦しい。昨夜あんな醜態さらしている自分が恥ずかしい!

「やあダンジョンさん。二日酔いとか大丈夫かい?俺の初めての二日酔いはさ……」

「おかわり!」

「ダンジョンお姉さまおはようございます。わたくし、長女第一子なのでお姉ちゃんとか欲しかったんですのよ」

「おかわり!」

「お姉ちゃん。お姉ちゃん。わーい」

 領主さん、ママーナさん、イーナさんが私をもてなす。何故か私の酔った姿をバカにしている訳でも慰めてる訳でもなく、ただ昨夜は大いに楽しかったとか、新しくお姉さんが出来たとかみんな大喜びだ。

「おかわり!」

 そんな中、図書館司書のマリアさんだけは違う事を言ってきた。

「ダンジョンさんならオットーの妾になってもオッケーよ!ついでにおかわり!」

 だそうだ。

 自分でも判るのだが頬とか顔とかだけじゃない。耳まで真っ赤になってしまっている。

 自分でも判るのだが思いの外領主さんを私自身が好いているのだ。

 そんな私が領主さんをチラリと見ると、領主さんも顔を真っ赤にして俯いている。

「あらまあ、相思相愛ですわね。でも第一婦人はわたくしですことよ」

「孫よ孫ー」

「すごーい!わたしおばさんになるのね」

 領主さん一家がワイワイと盛り上がる。

「あら!もうこんな時間!イリーナも門に張り付いてるわ!もう行かなきゃ!」

 慌ただしくマリアさんが図書館に出掛けていった。

 領主さんがこちらにこっそり聞いてきた。

「あの、母上からお妾さんになれって言われてないか?」

「ええ。前々から言われてますよ。領主さん的にはどう思っているんですか?」

「あー。こんな物凄い美人さんの隣に立てる自信無いよ」

 私も領主さんも、顔を赤くしたまんまだった。

 読んでくれてありがとうございます

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