「すてーたすおーぷんっ!」
【ではわらわの使徒に、神力の使い方を教えてやろう。わらわが直接指導するなど滅多にないことじゃからな。ありがぁぁぁたく拝聴するようーっに】
ふふんと笑うと、ソフィアは【すてーたすおーぷんっ!】と大きく叫んだ。
次の瞬間だ。
ブウン、という鈍い音と共に金色の光が走った。
ホログラムに似た技術のようで、空中に立体映像が描かれている。
そこには私の顔写真と共に、いくつかの文字列が並んでいる。
名前:ニコ・ロスコ
種族:異世界・人間
レベル:2
筋力:257
素早さ:243
知力:248
精神力:260
幸運:55
スキル:無し
神力量:25
神力消費によって得られる恩恵:
ステータスアップ(初級)……神力10消費。
特殊スキル(初級)の取得……神力20消費。
特殊武器(初級)の取得……神力30消費etc……
「おお、ジャックに聞いたことがあるぞ。ナロー系には『ステータスカード』がつきものなのだと。それは冒険者の能力を数値で表したもので、異世界においてはIDカードとして通用するものであると」
【ナロー系というのはよくわからんが、大体そんな感じじゃな】
前の項目が名前や種族、その他能力値。
後の項目がそれらを変化させ得る神力とその消費度合いを示しているのだろう。
恩恵は全部で三十段階有り、上に行くにつれ消費が激しい。
そしてその三十段階目にあるのが『神への謁見』――神力100万消費。
「今が25で、これがスタートアップボーナス分だとすると、あと4万回分か……」
【なんじゃ、臆しておるのか? 元の世界に戻れるわけがないとビビっておるのか?】
「バカを言うな」
煽り口調のソフィアに、私はあっさりと返した。
「私には約束がある。人として、ハリウッドスターとして絶対に守らなければならない大切なものがな。そのためならどんなに高い壁だろうと乗り越えるのみさ」
【おうおう、よいうの。その意気じゃ】
私の言葉を好感したのだろう、ソフィアは嬉し気に「ひひひ」と笑った。
【じゃが、精神論だけではなかなか上手くいかぬのが世の理というもの。いかな『はりうっどすたー』のそなたとて、いきなり100万まで貯めるのは無謀じゃ。そこでわらわが、初心者が最初に取るべきスキルを教授して……】
「いいや、最初のひとつはもう決めてるよ」
ズラリと並んだスキル欄の中から私が選んだのは――
【はああ? なんでじゃ? 数ある中からなんでわざわざそんな外れスキルを?】
「そうだよそうだよ。もっと他にいいるのあるじゃんっ」
ソフィアが驚き、サラもまたびっくりしてステータスカードを覗き込んできた。
【『炎の拳』でグーパンしたりとか燃えるじゃろ!? カッコよいじゃろうが!?】
カッコ良さだけで貴重な神力を消費するのはいかがなものか。
「ニコの場合初期ステータスがめっちゃ高いから、っていうか常人の十倍はあるからステータスアップしてさらに伸ばすのもアリだと思うんだけどっ!?」
それはまあまあベターだが、ベストではない。
「いいや、私はこれを選ぶ」
未取得であることを示しているのだろう、表示の薄くなっている項目を押すと、パアアッと光った。
項目がキラキラと輝き、色濃くなった。
「ほう、これがスキルを取得する感覚か」
体の内に熱い何かが溶けていくのを感じる。
自分の中の新たな細胞が目覚めたような、そんな感じがする。
ちなみに私の選んだスキルは――
「そしてなるほど、これが『天声神語(初級)』の力か」
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