「VSオデール①」
『生命感知』を起動した瞬間ホログラムの中央へ、つまりは私たちの方に向かって迫る光点があった。
数は二つ。
ひとつは『人間(女)、エイダ』。
もう一つは『魔物、オデール』。
「エイダ! エイダだ!」
その表示を見た瞬間、サラが大きな声を上げて驚いた。
「ってもニコは知らないよね? あのね、エイダってのはね、新聞社の社長の娘なのっ。美人で、超がつくほどのお金持ちで、魔法使いとしても優秀でっ。クラスでも階級上位って感じでさっ。まああたしとしては正直ウマが合わない感じはあるんだけど……っ」
頭の脇で手をパタパタさせる謎の動きをはともかく、言いたいことは伝わった。
サラのクラスメイトの女の子が、魔物から単独で逃げていると。
その上で、もうすぐここにやって来ると。
「ちなみにこの、トロールというのは?」
「えっとね、どおーんと大木みたいにデカくて筋肉もりもりでっ」
「形は? 人型かい?」
「うんっ、灰色の肌で、なんか腰ミノとか巻いててっ。さっきも言ったみたいに力が強くておまけに少々の傷なら再生しちゃって……っ」
「怪奇伝承に出てくるトロルと同じものか? 頑丈な上に再生能力ありと、なるほどそれは厄介だな」
「あとはねあとはねっ、『食人鬼』って異名もあるぐらいに人間を食べるのが大好きなのっ!」
「……!?」
ぐっと唇を噛みしめたかと思うと、サラはまっすぐな瞳で私を見上げた。
「助けなきゃ!」
「うむ、もちろんだ」
エリートに属するエイダとサラとの間には、階級という壁がある。
ましてやこれまでのサラの扱われ方を見るに、およそ良好な関係を築けていたとは思えない。
自身でも口にしていたように、ウマが合わないのは間違いない。
それでもサラは、エイダを助ける道を選んだのだ。
この緊急事態なら見殺しにしても責められはしないのに、一切迷うことなく。
まさに善性。
物語を引っ張るに足る、かけがえのない素質だろう。
今『天声神語』を開けば多量のコメントと共に神力が与えられているだろうが、確認している暇はない。
「行くぞ、サラ。向こうが気づく前に奇襲をかけて、一気に仕留める」
ちょいとお疲れモードで投稿遅れました。
すんまそん(;´Д`)
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