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四人目:お客様(下)

 自業自得?悪因悪果?あんたらは、そう言いたそうな顔をしているな。

 でも俺が何をしたって言うんだ?いや、何もしなかったことが罪だっていうのか?じゃあ、見えてないあんたらには何の罪もないのか?見える俺が困ったときに一度でも助けてくれたことがあるか?無知だって一つの罪じゃないのかよ。

 ……それと似たようなことを、その時の俺は考えていたよ。

 軽く頭を下げると見える気持ちの悪いスリッパの数々、白を通り越して土気色の頬を吊り上げて笑う女子生徒。見えない奴にはそれだけなんだろうな。けど俺には、女子生徒の後ろで揺れる奇妙な存在が見えていたんだ。

 そいつは何て言うか……あまり思い出したくないくらいには奇怪な形をしていた。全体で見ると肉の筒みたいなんだけど、その表面には血管を太くしたような赤やら青やら黒やらの線がどくんどくんと脈打っていた。

 所々体に空いている小さな小さな穴を塞ぐためなのか、ストローみたいな形の何かが突如生えてきて、体のどこかを千切ってはその穴に塗り込める。その代償として出来た新しい虚を埋めるために再びストローみたいなものが出てきて、その"何か"なりに身だしなみを整え厚化粧するみたいな行動を繰り返すんだ。

 体のてっぺんから時々灰色の霧をぶしゅっと吐き出していて、それが己の体全体を覆うと嬉しそうに身震いをする。あえて言うなら、その動きだけはどこか可愛げがあったな。

 そんな奇怪な存在の中でも一番恐ろしく感じたのは、そいつの中央で隆起していた人の顔だ。それがぽこっと浮かび上がっては凹み、凹んではまた浮き上がる。その繰り返される凹凸も生理的に受け付けなかったけど何より、その表情が気味が悪くて仕方がない。目や鼻や口なんかの顔の部位がそれぞれの可動域を少しだけ越えて、あり得そうで絶対に不可能な表情を何度も作り出している。表情筋を無視した素人の絵を、もっと美しくした代わりに人間性を奪い去ったようなそれが現れては消え現れては消え……見ているだけで心底ゾッとする。

 こっちだ。こっちがヤバいんだ。

 女子生徒?……忘れかけてしまっていたよ。

 俺は一足だけあったマトモそうに見えるスリッパに素足をつっ込んだ。と、つま先が冷たくぬちょりとした不快な感触に襲われる。だがまぁ痛みはないし、得体の知れない何かは俺がスリッパを履いたのと同時に、そのブヨブヨとした体躯を一度大きく震わせただけで特に何もしてこない。

 直感的に今はこれが正解なんだと感じたよ。もっとも、他の行動なんてとれるわけがないけどな。体は自由に動かないし、女子生徒の胡乱な目が俺にじっと向けられているんだから。

 そうして得体の知れない何かと女子生徒は階段を上がっていく。俺が逃げることなんて全く考えてないみたいに。実際それは正解で、スリッパで灰色の廊下を踏みしめる度にじめっとした不快感が伝わってくるのに、足の動きを止められない。

 二階……三階……四階……階段ですれ違う生徒たちは、得体の知れない何かはともかく俺や女子生徒にも目もくれない。人間の危機察知ってのはつくづく優れていると思うぜ。俺たちと関わってはいけないって、無意識でも感じているんだろうさ。

 助けてくれ、なんて思ったわけじゃないけど。都合いいなって、なんか改めて冷めてしまったんだよな。それも結局、体が自由にならないから下らないことを考えて現状から逃避していただけでさ。だから得体の知れない化け物と女子生徒が動きを止めたところで、その思考さえも真っ白になってしまった。

 これからどうなるんだ……何が起こるんだ……!?

 普通の人よりもこういったことに耐性があるつもりだったけど、違ったな。俺はこれまで決定的な瞬間をなんとか避けてこれただけで、本当にどうしようもない事態まで追い詰められたことがなかっただけだったんだ。

 割と冷静でいる風に話してたけど、必要ないから省いていただけで実際の俺は"どうしようどうしよう"とか"なんで俺がこんな目に……!"とかそんな事ばかり心の中で繰り返していた。心臓が痛いほど大きく鼓動を打つし、手足の先が痺れて、額には脂汗も滲んでいたよ。

 けれど、泣き叫ぶことも表情を絶望で染めることも体を恐ろしさで震わせることすらも許されずに化け物と女子生徒が静止したその後ろに無言で立ちつくす。それがこの得体の知れない化け物が俺に与えた役割なんだと、それ以外許す気がないのだと、言葉や威嚇で伝えられたわけでもなく分からされたんだ。

 じゃあ、わざわざ四階までひと一人(おれ)を連れてきた理由はなんだ?美術室や音楽室がある四階には、部活動に勤しんでいる生徒たちの姿がある。こんな中で俺に何をするつもりなんだ?

 そう一瞬考えていただけだった。別に顔を俯けたわけではないし、目を閉じていたわけじゃない。けどいつの間にか……俺の意識に僅かに差した一瞬の思考が築き上げたかのように、廊下の白いだけの壁の一部が赤黒く錆びた扉になっていたんだ。

 扉って言ったけど、辛うじてそう見えるだけだったけどな。スライド式の扉に必要な上下の溝はないし、ノブや引き手もない。勿論電子ロックなんて期待しちゃいけないくらいに扉の表面は古びていて、少し力を入れただけで倒れてしまいそうだ。そもそも全体的にあらゆる線が歪んでいて、絵心のない人間が物差しを使わないで模写したようにさえ見えたよ。

 で、得体の知れない化け物が、その体から赤い三本指の手のようなものを作り出して扉に手をあてたんだ。するとビチィッ...と異様なくぐもった音がして扉が開き壁に四角の空間が開け放たれた。それは化け物に比べればかなり小さかったけど、そいつはその体をぼとぼとと零しながら無理やり中へと入っていく。床や壁にこびり付いた生々しい赤をそのままにして。

 そんなもんに触れたくないけど、体が勝手に動くんだから仕方ないよな。皮肉なことに、この時だけは気持ち悪いスリッパを用意してくれた化け物に感謝したさ。元々の原因は多分そいつなのにな。

 化け物が消え女子生徒が消え、俺がその後に続いていく。もう壁の中ってだけであり得ないけど、廊下から見たら真っ暗だったその先には何故か灯りがともっていた。当然普通の光源じゃない。細長い蛍光灯を模したような赤く細い棒状のものが天井に幾つか無造作に垂れ下がっていたけど、意味を成しているとは言えなかった。

 それはどんよりと赤く光っていたけど、その他のものも同じように光っていたからな。壁、床、何なのかよく分からない大きな突起、窓みたいなの……とにかくその部屋全体が目に悪い赤黒さに満ちていた。

 その一秒たりとも居たくはない部屋の中央にある三つの突起。その中で一番奥にあるそれに女子生徒が座って、それで俺はこの突起が椅子のようなものなんだって分かったんだ。

 もしかして、真ん中のかなり大きいやつは机か何かなのか?

 一番手前の突起に座らされて、足でそれなりに大きい虫を潰してしまった時のような、グチャッとした感触を逸らすようにそう考える。

 そうして女子生徒と向かい合うことになったわけだが、先の犠牲者であるその生徒の体が前触れもなく一度大きくびくりと跳ねたんだ。虚ろな瞳は上がり、肩がかくんと垂れる。全身から力が抜けているのか、不安定な椅子のようなものでは姿勢を保てずに体がそこからずり落ちそうになって……そのすんでのところで、女子生徒の背後にいた化け物の体から何本もの手の様の形のものが伸びてきてその体を支えたんだ。

 ……あんたら、幼児の人形遊びって見たことあるか?俺はあれ、ちょっと不気味に感じるんだ。だって何かが必ずずれている。まだ経験の浅い子供が、親の動きを真似て人形を動かすとき。例えば料理を作る動きを人形で再現するとき、肩や腕を必要以上に回すし、あり得ない角度に曲げる時もある。頭はあらぬ方向を向いているし、足は大股に開かれたりする。しまいには癇癪を起して人形を壁に投げつけたりするしな……それはあんま関係ないか。

 なにが言いたいかって言うと、それと同じように見えたんだ。化け物が幾つもの赤く小さな手を使って女子生徒の姿勢を安定させる。それからその小さな手を何本か更に伸ばして、女子生徒の唇の両端に当ててそこを斜め上に引っ張った。

 半開きの焦点の合っていない目で、涎を垂れ流す口から軽く舌を突き出しながら、唇の両端だけが顔全体の筋肉の動きに合わない不自然な持ち上がり方をした悍ましい表情。

 きっと笑顔に見えるようにしたかったんだと思う。俺には化け物の姿が見えているけど、普通の奴には見えないからな。女子生徒が独りでに笑ったように見せたかったんだと、そう思う。それは笑顔どころかその他のあらゆる人間的な表情のどれにも見えなかったけどな。

 けどそれは始まりに過ぎなかった。赤黒い化け物の赤い手が女子生徒の口の中に侵入したかと思うと、不気味な音がそこから漏れて来たんだ。

「こぎぃん……ぢぢ……ぐぉ」

 ただの音なのか不明瞭な言葉なのか分からなくて、俺は眉を顰めた。そう、顰めることが出来たんだ。全身の殆どはやはり思う様に動かないけど、顔から上だけは自由に動く様になっていた。

 まぁでも、だからってどうなる?この化け物の前で"誰か助けて!"って叫べばいいのか?いや実際そうしかけたよ。けど化け物がその体を突如大きく二、三度バウンドさせたから、叫びは小さな悲鳴になってしまったんだ。

 ひいぃっ……!ってな。

 なんだ?なにちょっと笑ってんだ?この話が作り話だと思ってんのか?それとも俺が情けない声を出したのがそんなに可笑しいか?大げさなって言いたいのか?見えるくせに、って馬鹿にしてんのか?

 言っとくけどこれは本当にあったことで、あんたらにとっても他人事じゃないんだぞ。ああ特に、今ここで俺の話を聞いて笑っているあんたらにとってはな。

 ……悲鳴を上げてしまったから、化け物を見えていることがバレてしまったって思ったけど、そいつは俺が女子生徒の声に驚いたと思ったのかどうか、特にそれらしい動きは見せない。と言うか俺じゃなくて女子生徒に集中しているようだった。

 そうしている間に女子生徒の口に侵入する手は増え、奥へ奥へと進んでいるのか彼女の白い喉が少しずつ下に向かって膨らんでいく。

「こじぃん……にじぃぃ……わあぁ」「ごんんじぃぃ……ああ」「こんじじ……わぁ」「こん……にじぃ、ああ」

 だんだん、その化け物が女子生徒を操って何を言わせたいのか分かって来た。

 こんにちは。化け物は俺にそう伝えたいんじゃないか?伝えて……どうする気だ?

 迷っている時間はあまりなさそうだった。化け物は怒りやもどかしさを露わにするように体をますます上下に激しく打ちつけ、女子生徒(にんぎょう)の構造を無視し始めている。

 俺にはもう、自分が一秒でも長く生きられるように、正気を保てるように保身に走るしかなかった。だから、化け物が今欲しがっていそうなものをくれてやったんだ。

「……こ、こ……こんにちは……」

 ぴたり、と化け物の動きが止まった。かと思うと次の瞬間には、そいつは無数の手で女子生徒の頭を何度も何度も上下に振り回し始めた。

 うんうんうんうんうんうん、って感じに。顎を強かに胸上に打ち付け、髪が抜けそうな勢いで激しく宙を舞っている女子生徒のその姿は、化け物が操っていると知らなければただただ狂気に満ちた光景だっただろうけどな。

 化け物はすっかり機嫌を良くしたのか、興奮した子供が人形を振り回すみたいな勢いで女子生徒を立たせて、部屋の右隅へと移動させた。そしてそこで何かを拾わせたかと思うと、それが机のようなものの上に置かれた。

 あえて、あえてその何かを形容するならティーカップだ。液体を入れられるような窪みがあるし、取手のような指を引っかけられる場所もある。全体が部屋と同じようなぶよぶよした肉のようなもので形作られていて、赤黒く軽く脈打っていて、手を近づけると仄かに生温かさを感じるそれを、無理やり形容するならそれだ。

 こんな怖気のするものを持ってきて……どうしようって言うんだ?

 もう予感じゃないよな。机があって、ティーカップがあって、椅子に座った人間が二人いる。実際は一つたりとも正常なところがないけれど、このお茶会の主催者様は人間の道理の埒外に居る存在だ。そんな奴がなんでこんなことをって理由を探っても無駄だからな。

 ただ一つ間違いないのは、俺は招待状を受け取ってしまった憐れな客ってことだ。

 生肉をくっつけたようなティーカップがその身を震わせた。化け物がその体で細い管を作って、湯気の沸き立つ黒い液体をトクトクと注ぎ始めたんだ。何から生まれた液体なのか想像したくもない。肉のティーカップの中で回転する黒い霧みたいなそれは、人知を越えた何かだ。

 俺は思ったね。刺激臭や苦味ってのは救いなんだって。平常口に含んじゃいけないものは人間の五感が拒否するんだ。知識の上でも、本能でも。子供が間違って飲まないようにわざと苦味を付けている薬なんかもあるだろ?色、匂い、味、触感……そのどれか一つでも危険信号を放てば、人の体は食べたり飲んだりすることを拒絶するんだ。

 それが目の前の黒い液体には一切なかった。俺が目の前の液体を飲みたくないと感じるのは化け物の体から出てきたのを見たからで。こんな赤黒い部屋から今すぐ逃げ出したいからで。何も知らない状況でこの液体を出されたらきっと躊躇いなく飲んでしまっていただろう。

「もぉ……むぅ……でぇ」

 化け物が再び女子生徒の口の中に手をつっ込んで、奇怪な音を生み出した。恐らく三文字。化け物がコツを掴んだのか、俺の聴覚が慣れてしまったのか、何と言っているのか理解できてしまった。

 あんたらも分かるだろ?目の前に飲み物をお出しされているんだ。分からない方がおかしいよな。

 俺は眼を逸らした。出来るだけティーカップと化け物を見ないように。それが俺がギリギリ出来る抵抗だったんだ。

 のんでのんでのんでのんでのんでのんでのんで。言葉が鮮明になっても。のんでのんでのんでのんでのんでのんでのんで。化け物が体を打ち付け始めても。のんでのんでのんでのんでのんでのんでのんで。俺は堪え切れずに眼を瞑って分からないふりをした。のんでのんでのんでのんでのんでのんでのんで。


 のんで!!



 すっと音が消えた。いや一瞬、体中の神経が麻痺してしまったように思えた。触覚が働かなくなって、体の境界がなくなって、自分があの赤黒い何かと同化してしまうような恐怖を覚える。

 自分が生み出した暗闇の中は安心できたけど、その中に浸り続けることは出来なかった。静寂がもたらした一縷の望みからをも目を瞑ることが出来なかったんだ。

 ゆっくりと、瞼を開く。

 目の前には化け物はいない。けど、赤黒い部屋に変わりはない。女子生徒は肉の床に倒れ込んでいる。黒い液体はまだ湯気を立てている。俺に飽きたのか?いやそれは、そうであってくれと言う願望に過ぎない。

 ……体が動く。

 もう今しかないと思った。例えこれが罠だとしても、何もしないまま座し続けてもどうにもならない。そう決意して立ち上がった。

 息を一度大きく吸い込んで、体を素早く回転させる。その先に、赤黒い部屋にぽっかりと開いた穴があった。唯一の出入り口だ。

 幸いにしてどこにも化け物の姿はない。俺が何の反応もしなくなってつまらなくなって、新しい獲物を探しに行ったのかもしれない。とにかく今の内だ。スリッパ越しにぶよぶよとした感触を足裏で感じながら、走り難くて仕方がない床を進んでいく。

 あと少し……あともう二歩……あと、一歩!

 ……肩を人間の手に掴まれた感触がして、俺は飛び上がった。せめて覚悟していた化け物に掴まれたのなら振り切ることが出来たかもしれないのに、まさかの五本の指にしっかりと込められた力に意表を突かれて、俺は出口まであと一歩のところで振り返ってしまった。

「……あの時、私が見えていたのに……助けてって……お願いだから助けてって!喋れないから精一杯そんな顔をしたのに!私を無視したでしょ!!」

 知らねぇよ、そんなこと。第一俺に何が出来たって言うんだよ。

 振り向いてそう返そうとした俺の背中がふっと弾力のあるものに押された。今度は覚悟できているはずだった感触なのに、それが上体から何本も伸ばしてきた赤く小さな手を見て俺はたまらず叫んでしまったんだ。

「うわあぁぁぁっ!!」

 今度の悲鳴は俺が化け物が見えているってことを暴露するには十分だった。ほんの束の間化け物が静止して、それからそいつは嬉しそうに体を震わせたんだ。

 俺を赤い手で拘束し、声を荒げる女子生徒を跳ね飛ばし、明らかにサイズ不足な椅子のような突起に自ら座って、肉のティーカップに黒い液体を入れ直す。

 そうして俺をもう一つの椅子のような何かに無理やり座らせると、胴体の人の顔のような隆起を俺に向けて見せて来たんだ。あの無理やり人のように繕った顔を。

 自分自身で思いのままにお客様を接待できて、心底嬉しそうに。



 はははっ。結局あの黒い液体は飲まされたよ。味はしなかったけど、喉が軽く焼けて、腹の中がぐつぐつして、反射的に吐き出しそうになりながらも必死に堪えたよ。化け物に吐く姿を見せるより、そっちの方が何ぼかましでしょ、きっと。二日間高熱が出たけど、今のとこ後遺症みたいなものはないしな。

 女子生徒?大丈夫だったぜ。化け物は完全に興味を失くしたようだったし、黒い液体を飲んで少ししてあの部屋から解放された時、廊下に転がっていたしな。今も入院してるらしいけど、命に別条はないって聞いたよ。

 ……そうそう。これ、何でしょう?ああそうだ、いま俺がポケットから取り出した紙だ。赤いしみのついた、紙だ。あの化け物に随分気に入られちまったのか、これを何枚かお土産にくれたんだよ。

 そう、招待状だ。

 あんたら俺が霊感があるって言ったとき、散々胡散臭いものを見るような目をしていたよな。話している最中も、疑わしそうにしているやつも居れば、俺を非難するみたいに視線を尖らせる奴もいたよな。

 俺はさ、たまたま霊感を持っていて化け物がお客様として扱ってくれたから辛うじて無事で済んだけど、霊感を持っていない奴はどうなるんだろうな?あの女子生徒は俺に感謝すべきだよ。化け物が俺で満足したから、どうでもいいやって解放してくれたんだぜ、多分。

 ……あれから少し経つから、そろそろあの化け物も新しいお客様に飢えて来る頃かもしれないなぁ。どなたか、お客様として出迎えられたい奴はいませんか?この話を聞いても霊感や化け物の存在を疑っている奴には良い機会じゃないですか?

 いつでも、この招待状をお渡ししますよ。

 …………何だ、以外に根性ないな。ならみんな、俺の霊感や化け物の存在を信じてくれたってことだな。

 やっぱお客様はこうでないとな。どうもご清聴ありがとうございました。

 』

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