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86 素材集めの人海戦術

ダンジョンで一緒になった冒険者と、外に出た。


「ユリナさんのお陰で死なずにすみました」

「ところで謝礼は普通、幾らくらいでしょうか」


「1000ゴールド。それが名もなき神にスキルを使わせてもらう約束なの」


また中身が変わった気もするが、気にしない。



◆◆


一旦、地上に出た。


ダンジョン出張所でターキー30羽を売った。


残りは孤児院へのお土産だ。


4日か5日、寝ないで活動していたことに気付いた。


精神の休息が必要。ダンジョン横の割高ホテルを3泊取った。


男爵家の息子に狙われたりするリスクもあるが、冒険者は楽しい。


『超回復』で死ににくいという余裕が前提だけどね。


自堕落な生活を続けること3日。


誰かが監視している気もする。目立ってるし、当たり前だな。


「さあ、そろそろダンジョンに潜るかな」


ギルド出張所に行くと、2人の男女から呼ばれた。


指の欠損を治したミリー、胸の陥没を治したケイン。


それぞれの仲間もいる。


「ユリナ様、今から潜るのですか?」

「お久しぶりです、ユリナ様」


聞けば、彼らは最近交流があり、今回は合同狩猟。


32階から39階のどこかでターキー狩りだそうだ。


人数は8人。


「ただ、ターキーと必ずセットで出てくるダチョウが面倒ですね~」


「む」


閃いた!

特記するほど大したことないが・・


彼らは治した傷が大きかった。私のスキルの破格ぶりを知っている。


だけど口外してないし、普段から交流もある。信用できる。


「提案があるんだけど、38階と39階を周回しない?」


彼らなら、もう1個くらい『超回復』の秘密を見せてもいいだろう。


話をした。


「そんな条件でいいんですか。私達は助かります」

「個体の値段に差がありすぎですよ・・」


「私のスキル、魔力じゃくて食料なんかで動かしてるの、勘づいてるでしょ」


高く売れるターキーはケイン達、肉が多いダチョウは私。それで決まった。


ゴブリン残り345匹。


改めて転移装置でダンジョン40階に飛んだ。


2パーティーに私も入れた9人。私が先頭で無警戒の早め行軍。


「ユリナって、普段からこんな感じなのか?」


「感知もないし、敵に見つけてもらわないと、始まんないでしょ」


かなり呆れられている。


39階の危険地帯で9人揃って騒いでる。10分後にはダチョウ2匹、ターキー2匹に見つかった。


「どんどん回復するから攻めて」


私を除き女子3人には仇から奪ったミスリル装備で特に頭を固めさせている。


ミリーとケインが私の言葉を信じて、飛び出した。


みんなも続いた。私はダチョウに肩を突つかれ、傷を治すのにトレントの枝を使ってダチョウの顎から「等価交換」


ミリーがターキーの突進を食らって飛んできたから『超回復』。


「みんな、少しでも怪我をしたら呼んで」


「ユリナ」

『超回復』


「ぐわっ!」

『超回復』


ガンガン私の身長が縮むがゴブリンを出しては「等価交換」


「私より地力がある8人が私と同じ戦い方をすると、こうなるのか・・」


わずか10分後、計4匹の鳥を討伐した。


「全員並んで」


順番に『超回復』×8


「よし、次よ」

「え、休憩は?」

「疲れてるの?」


「ないね・・」


私はゴブリン使い放題でみんなの体を治す。9人で見晴らしがいい草原を騒ぎながら目立つから、早くて10分、空いても30分で次のエンカウント。


ほぼ直進で38階に昇る階段にたどり着くまで丸1日だけど、ダチョウとターキー62羽ずつゲット。


「すごい。わずか1日でこんなに」

「8日間でターキー50羽の予定だったのに、もう達成だよ」


私のスキルのことは、ミリーとケインが絶対に外に漏らさないと言っていたから信用する。


「なんで50羽なの?」


「どっちのパーティーも10メートル四方の収納指輪しかないんです」

「2つあれば、もっと入らない?」

「だって人数分の食料と水、武器の予備、テント、寝袋、着替えとか。嵩みますよ」


「そ、そうだよね」


私がカルナとウインから奪った収納指輪は、100メートル四方だ。それでも彼女らの服、装備、私物が山盛り。私がゲットした大量の肉もあり、かなり埋まっている。


下準備なしの私でさえそれだ。パーティー単位の必要道具は収納指輪を圧迫するだろう。



「私の収納指輪が大きいから、これからはこっちに収納するよ。数を覚えておいて」


俄然、やる気になった彼らは『超回復』効果で28時間ノンストップで38階セーフティーゾーンにたどり着いた。


ターキー57羽追加。


私の燃費は9人分のフル活動2日でゴブリンを大量消費。


ゴブリンの残数139。


彼等と合流したときは345匹のゴブリンが、200ほど減っている。


私の燃費は強烈に悪くなった。ダチョウをあと50~60匹捕まえたら、あとはダチョウ自体を燃料にすることになる。


だけど1ヶ月単位を覚悟していた作業が数日で終わる。


38階セーフティーゾーンにたどり着いたとき、臨時パーティーを組んだ8人がやばい。


「体力満タンにしてもらって、まだ動けます」

「出発しますか?」


『超回復』を得て初期の頃の私のように、おかしいことになっている。



「ダメよ。無理すると精神をやられるわ」


「精神?一体・・」

「もしかして何かヤバいことになった経験があるんですか?」


「1階からドラゴンパピー、4階からランドドラゴンが出るダンジョンで20日くらい動いたの。セーフティーゾーンも見つからず、この2日間のような動きっぱなし」


「20日間、本当のノンストップ・・。どうなったんですか?」


「心がやられかけた。中型のランドドラゴンが目の前にいるのに、地面に転がって寝ようかと思った」


「・・分かりました。丸1日はしっかり休むよ」


◆◆

結局、交代で10時間くらい寝て、同じ行程で40階まで降りてボス戦を終えて解散。


彼らは40階ダンジョンボス部屋までの復路でターキー118匹を手にした。


私はエサ用のゴブリンが尽きて、ダチョウ自体を消費したので96匹。だか、5日間で382匹のゴブリンが大型ダチョウ205匹に化けたと考えると効率はいい。



ただ、他人に「超回復ブースト」を使う危険性も分かった気がする。



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