表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
66/188

66 上級ダンジョンへ

クールな魔法使い。に見えた、オルガさんが泣き出した。


それも満員の食堂で・・


注目を浴びてる。


「おいオルガ、どうしたんだよ」


「ユリン、マリイの指が、私のせいで失くした指が生えてきた・・」


「お願いオルガさん、騒がないで。私、今度こそ、冒険者を続けたいの」


「・・ごめんなさい」


泣きながらも、言いたいことは理解してくれたようだ。


ぼそっ。

「あたいからも謝るよ、ユリナ。こんなすげえスキルが存在したんだな。人には言いふらさない。分かってるよな、マリイ、オルガ」


「もちろん」

「ちょっと驚きすぎて。お礼しなくちゃ」


私は左の手のひらを出した。


「神様との、絶対的な取り決めがあるの。初回限定サービス1000ゴールド」


「少なすぎる・・」


呟くオルガさんから1000ゴールド、小銀貨1枚をひったくった。


ぴりっ。爪先がオルガさんの手のひらに触れたとき、オルガさんの情報が流れてきた。


「なんだ、オルガさんも肘を打ってるのね。あ、ヤバ」


「分かるの?」


「えへへ、内緒ね。追加で1000ゴールド」


「あ、はい。お願いします。ユリナ様」


「また、様つけ、かよ・・」


怪我を治したあと、オルガさんに懐かれた。


何度もオルシマにいつ帰る予定かと聞かれた。


男爵家の次女との一連のトラブルの話をした。


ここのダンジョンで1ヶ月ほど過ごしてから、行き先を決めるとだけ言っておいた。


場合によっては、再び旅に出る。


◆◆◆


ホテル暮らしの3泊は、Cランク以上の冒険者から学ぶものが多かった。


治癒師について聞けたが、オルシマの街の治療院で治せるのは骨折まで。


値段の例。骨折を2日で治して40万ゴールド。


裂けた傷が塞げるレベルのポーションもあるが、価格帯は15万~50万ゴールド。


高いレベルの聖魔法の使い手は、貴族、豪商が抱え込む。


オルガさん達とは2泊重なったが、気を遣ってくれた。


ダンジョンアタック前の私のストレスにならない程度、いい酒飲み仲間になってくれた。


「普通の気功師と私、えらく違うな・・」


気功の使い方も教えてくれた。これは意外にありがたかった。


リフレッシュして、とうとうダンジョンアタックだ。


Eランク、ソロ、軽装備。突っ込みどころが満載である。


いや、突っ込むところしかない。


ギルド出張所の受付さんには止められた。中級ダンジョン踏破証明を示し、渋々通してもらった。


Dランクに上がれる素材は持っている。Cランクを見越して、12階以降の高レベル豚を捕まえたい。


例によって16時間をノンストップで走り、10階到達。10階ボスに時間を掛けず、「等価交換」でサクッとクリアした。


11階の安全地帯で6時間休んで12階。


Dランクに上がれるまでに残り25日。


この先も戦いを避ける。丸1日で20階まで降りるつもり。


狩りは22階から。


レベル45~50オークに挑む。歯ごたえ次第では、さらに10階降りる。


そこで、レベルアップを目指し、レベル50~55オークと豚を「等価交換」なしで倒す。


幸い、オークと豚よりも私の全開走法の方が速い。戦闘ゼロで23時間、20階にきた。


ボスはレベル42オークと豚。護衛が各4匹の10匹と数で押し寄せて来る。


後ろに並ぶボス待ち冒険者が4組いた。迷惑がかかるし、時間はかけられない。


「超回復、等価交換」コンボ全開。30分でクリアした。


スキルが、すごく強い。だけど、レベルを上げる必要はある。


目標のBランクは最低でもレベル60ないと、審査自体が受けられない。


「私には、そっちが面倒なんだよな・・」



21階で半日休憩。

オルガさんに作ってもらったダンジョン情報を開いた。


30階までにセーフティーゾーンは23、26、28階で3ヵ所。


鳥ダンジョンでは適当な場所で寝てた。

だけど、ここにはスケベ魔物のオークがいる。


原っぱで寝ている間に、女として取り返しがつかない状況になるのは、嫌だ。


ところで、オークが敵の半分を占めるせいか、冒険者の8割が男性。


この21階転移装置前も、20階の戦闘を終えた人は男子16人。対して女子は、私も入れて2人だ。


今、3人目の女子が降りてきた。


大変だ。ボス戦前に挨拶した女子が、頭から血を流している。


額がぱっくり割れてる。


「なにはともあれ助けよう」


近付いた。


「エイミー、しっかりしろ。転移装置で地上に帰ったら治療するからな」


「・・ごめん、足手まといになった」

「いいから、静かにしてろ」


「あの~。治療術使えます。応急処置しますね」


「え、ああソロのユリナさんだっけ・・。少しだけでも回復できるなら頼む」


「霊薬」をデカイ木の容器に準備。


手を握って患部を感じると、頭の中が血まみれ。


ヤバいやつだ!


慌てすぎて、手を滑らせた。


木の容器ごと、霊薬を怪我人女性の頭に落とした。


『超回復』ぱちっ。


ごんっ。ばしゃっ。「ぐえっ、痛たい、冷たい!」


「エイミー!」

「うん、治った。軽症だったね」


「軽症?頭蓋骨が・・」


「け、い、しょう~~~。治療費は1000ゴールド」


結局、その光景を見ていた冒険者からリクエスト。


残りの人も集めて『超回復祭り』になった。


その後、スペースの端に寄り鉄製鳥籠で万が一に備え、8時間寝た。


起きるのを待っていたと人がいた。冒険者が8人。


初回限定1000ゴールドを強調して、全員を回復した。


6人目の男性は右肩を治療した。


なぜか、自分の左手を見ながら「聖女様・・」と呟いた。


この光景、幻影だと思う。


22階でオーク2匹に遭遇した。


オークの棍棒が当たるのも構わず、ロングソードのカウンターで顔狙い。


15分で2匹を倒したが、攻撃を食らい過ぎた。


初戦なのに、木刀サイズの材木を12本も使った。


この燃費だと、地上オーク60匹、短時間で「等価交換」に使い切ってしまう。


恐らく、30階はいけても、40階は無理。



要するに、素の私って、本当に弱い。




評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ