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56 街中で対人戦

しつこい不良冒険者の勧誘を受けている。


そこに馬車が勢いよく走ってきた。


冒険Aが気付いた。


私も気付いたよ。


冒険者BとCは収納指輪とミスリル装備を持った私に集中しすぎ。馬車の接近に気付くのが遅れた。


私? 非力すぎて、冒険者Bに腕を捕まれて動けなくなった。


ホントに気付いてたよ。嘘じゃないって。


「邪魔だ、どけっ!」


ドーーーン。派手な音。


冒険者B、Cと私は、馬車の大きな車輪に引っかけられた。


派手に道脇の商店の方に弾き飛ばされた。


『超回復』


傷は瞬時に治った。


だけど起きない。


馬車の後ろから馬車を護衛するように走る馬に乗った騎士が、こちらを見ている。


被害者を助けようともしない。


貴族関係者だと面倒だから、死んだふりだ。



「うわああん、おかあさーん!」


こりゃ、無視できない。


飛ばされた冒険者Bが通行人に激突。

子連れの母親が、頭と左足から血を流している。


「ヤバい」


お母さんの首がちょっと変な方を向いてる。足首もねじれている。


ギャラリーの間を縫って走った。


「ま、いざとなれば、子供かドラゴニュートになって逃げるか」


なんだか、リュウ、ターニヤと関わったあと、自分の決まりができた。


『見捨てちゃいけない者は必ず助ける。回復スキルで儲けない』


それはやらねば、自分の居場所が作れない気がする。


漠然とだけどね。


診断はいらない。首に手を当てた。


『超回復』


ぱちっ。「おかあさ・・え?」


「マーサさんの首が治った」

「あの娘が彼女の手を取って何か唱えたぞ?」


「回復魔法か?」

「魔法にしては、効果が早すぎる」


ざわつくギャラリーから素早く退避。

・・は、失敗。


2人の男に呼び止められた。


「おい!俺の仲間も治していけ」


冒険者Aだ。もちろん却下。だが次が面倒だった。


「待て。お前は回復スキルを使えるのか。一緒に来い」

「治療を受けた女も連れて行って調べょう」


私を轢いた馬車の護衛騎士が2人、接近してきた。


イラっときた。


「馬車で轢いた怪我人に謝りもせず、いきなり拉致?」


「貴族家の役に立つ名誉を与えてやる」


「あんたなんか雇っている貴族なんて程度が知れてる。もう話しかけないで」


「何を、平民が!」


幸い、貴族家の馬車と護衛1人は、もういない。

西に見える領主邸に向かったようだ。


「2人か。ぶん殴ってやる」


前後を挟まれた。前の護衛1に無造作に向かった。


奴らの服は様式を重視した服。身体の前面にプレートもない。


護衛1にパンチ。


かわされた。腕を振った。かわされた。腕を振った。かわされた。腕を振った。殴り返してきた。


「勝った」


頬にパンチが当たるタイミングに合わせ、唱えた。


「アクティブ『超回復』」


ぐぎっ。「うがっ」


護衛1は右の拳を痛めた。


強力な新技だ。


ターニャと一緒に戦って、自分なりの対人戦を確立するヒント。これが浮かんだ。


ターニャと一緒に戦ったとき、気付いた。


普段の私、自分に向かってアクティブで『超回復』を使っていなかった。


護衛の拳が私に届くと同時に自分から『超回復』を使うと、護衛は・・



「ぐわあ、手が」


私の『超回復』は、ダメージの大小は関係ない。


その場で身体を完全に修理するため、私の体にめり込んだ物すべて、例外なく弾く。


これを意識して、やる。


『破壊的絶対領域』をアクティブで使うのだ。


殴った拳の力は私の柔らかな頬にめり込む途中。


なのに、私がスキルを発動させると、めり込んだ拳だけが、アダマンタイトよりも固い壁で弾き返される。


びきゃっ。護衛1のゲンコツの中に、拳の骨がめり込んだ。


右中指が反対に反り、拳から血が吹き出した。手首もイッている。


再び殴りかかる。かわされる。殴る。当たった。


左手で殴り返される。タイミングを見て『超回復』


ぐきっ。「ぐぅっ!」


殴る。当たる。殴る、当たる。殴る。当たる。


護衛2が殴りかかってくるけど、1秒ごとに『超回復』を唱えてる。


4回目で護衛2が左手を押さえて離れた。


護衛1は・・


「も、もう許しれくへ・・」


バキッ。


『超回復』を利用した私の滅多打ちパンチが顎に当たり、沈んだ。


攻撃でも、同じ作用が応用できる。


「謝罪もなしの命乞いかよ、馬鹿だ」


方針を変えたからには、徹底的にやる。


意地汚く生き延びる私。


だけど、今も目の前で死にかけている「罪のない人」は見捨てられない。


見捨てると、アリサ、モナ、ナリスの仇を取る資格がなくなる。


そんな気がする。


だって、このスキル、攻撃のためじゃない。


目の前で死にかけてた、友達を助けたくて望んだもの。



だから、目立つことを覚悟した。


幸いに収納指輪の特大のやつを2個もはめている。


中身は「等価交換」の材料で満たしてある。


有機物さえあれば「破壊的絶対領域」の乱用で、強者のように振る舞える。


私はルールありの模擬戦でクラスを決めるなら、Eランク間違いなし。


だけど、ガチンコの命の取り合いなら、5メートルの恐竜に勝っている。


護衛2が無事な左手で、剣を抜いている。


「貴様、大人しくしろ」


「街中で丸腰の女相手に剣なんか抜くの? 貴族家の関係者でも許されないわよ」


「う、うるさい。お前は何なんだ」

「ただの冒険者。気功武道家よ」


「武道家なら、あの回復魔法は何だ?」

「ただの気功術よ。解ったら、そこのお仲間を連れて帰って」


近付いた。


剣先が喉元に少し刺さっても、私は怯まない。


そのまま相手の目を見た。


恐れをなした護衛2は、逃げていった。



周囲の人に称賛されたけど、冒険者Aもしつこい。


仲間を治せと迫るから、みんなの前で殴りまくった。



「街中にいたら面倒そうだね・・」


テンションも変な方向に向いた。


冒険者ギルドに引き返して、ゴブリン討伐の依頼を受けに行った。


受付嬢さんは、私のステータスを知っている。


南東の森は危険だからと止められ、薬草採取の依頼に切り替えた。


善意には弱い私だ。


どうせ南東の森を越えて、草原型のペルセ中級ダンジョンに入る予定。


そこで鳥系の魔物素材を大量に手に入れて、一気にランクアップを狙うことにしたい。



https://www.alphapolis.co.jp/novel/295429334/506718241


アルファポリスで先行しています

読んでいただきありがとうごさいます

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