表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
43/188

モヤモヤの中で

シクルが言ったことは多分本当だ。


あいつの氷魔法には手も足も出なかった。


私を拘束して連れ去れた。殺すのも簡単だった。なのに何もせず去った。


いや、足は凍りつかされた。


ターニャに迫っている危機を知らせにきた。


ナリスの生前に見せていた好意は本物だった。


だけと・・


「どう納得しろってんだよ!」


間違いない。ナリスとアリサ、モナが殺されたあの日。


シクルは殺した側にいた。




借りた家の中で悶々としていると、ターニャが来た。


「ユリナさん、いいですか?」

「・・うん」


「あのあと、どうなったんですか?」


「歯が立たなかった。動きを止められ、戦いにもならなかった。ナリスの仇を撃てなかった・・」


「・・シクルさん。自分が犯人だって言いましたけど、最後まで優しい目をしてました」


「犯人なのは間違いなく、シクルもナリスを死に追いやった」


思い出すだけで、頭がおかしくなりそうだ。


シクルが言ったこと、ターニャにも伝えた。


ターニャは半信半疑。


悔しいけど、あいつはその気なら簡単に私を殺せた。


ナリスは、私と同じ、劣等人。シクルは氷魔法適正Aの、優等種。

だけど強く生きるナリスに、シクルの方が好意を寄せていた。


「なのに、騙してお姉ちゃんを殺したんですよね」


「今日のシクルは、弁解していたよ。自分の仲間から聞かされた計画と、違ってたって」


「ユリナさんは信じますが」

「分からなくなった」

「・・」


だけど許せる訳がない。


ナリスだけじゃない。


モナもアリサも、一生懸命生きてきたのに、虫けらのように殺された。


あいつらの顔は絶対に忘れない。


ナリス達が喜んでくれなくても、絶対に復讐してやる。


いつの間に、そんなこと繰り返しながら、泣いていた。


「お、お姉ちゃんのために苦しまないでユリナさん・・」


「うう、あああぁぁ」


◆◆


ムカつくけど、シクルは情報屋を使って、私の能力もかなり解明している。


でなければ、あんな危険な魔法は使わない。


アイスフィールドは強力で、足からお腹まで凍った。


普通なら死んでいる。


なのにシクルは、ターニャを守れと言った。


これが『超回復』に、そこから復活できるスペックがある。そう把握していた証拠だ。


高位魔法の威力を体感させたかったんだ。


そして思い返せば、アイスフィールドを出すのを「火炎気功術」を使うまで待っていた。


そして完封して見せた。


シクルは言いたかったんだ。


ドラゴンパピーの強化外骨格程度では、氷魔法適正Aの自分に通じないこと。これを教えた。


これを把握せず、火魔法のジュリア、光魔法のマリリと対戦していたら、悲惨な結果だったろう。


共に適正A。奴らには、ドラゴンパピーの強化外骨格など、服を着るか、裸かの違いしかない。



そこまでは考えて、ヒントをくれたのがシクルだと思うと腹が立った。


納得した自分には、本当に腹が立った。



納得できないけど、ターニャを守ることは大切。


素直にボディーガードをやる。


負けた者が勝者に従う。これ常識。


シクルはターニャの禍根を取り除くために、カスガ男爵家の息子達、盗賊団幹部を殺すと言っていた。


ドラゴンダンジョンの5階以下の挑戦も、何もかも保留。


ターニャの安全を確保するのが最優先だ。




https://www.alphapolis.co.jp/novel/295429334/506718241


アルファポリスで先行しています

読んでいただきありがとうごさいます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ