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30 超回復変装術は見破れない

リュウと今度こそ離れた。


最後に「待ってる」と言ってくれた。


待つ必要はない。


これから私は、あの女と命の取り合いをする。


男爵家の馬車は、ギルドの近くに停めてあった。


ワルダー達を馬車の荷台に押し込めた。


「こんにちは、御者さん」

「へ、誰?」


いきなり御者台に座ると、御者が驚いていた。


私はあらかじめ、身長15センチ減。

「等価交換」の準備をして、御者の左足首に手に触れた。


「等価交換」ばちっ。


御者は左足の膝上まで、棒のようになった。自分の脚を呆然と見てる。


「ななっ、お前は何だ。俺の足に何をした」


黙るように言った。


未知の攻撃。顔が引きつった御者に指示し、街の出口に向かった。



すでに街の門には領主による検問。門番は2人いた。


「すみません、カスガ男爵家の御一行ですね」


「はい。なんでしょうか」


「街の中で問題が起きたため、申し訳ございませんが、中を改めさせていただきます」


若い門番が、私を見た。


「その御者台にいる少女は?」


「はい、マヤと言います」


10歳になり、男爵家の下働きとして雇ってもらう。


そんな嘘ストーリーを並べてみた。


「手配があったのは身長160センチの18歳女性。先輩、どう思います」


「聞かんでもいい。その娘は120センチ。お止めして申し訳ありませんでした。お通り下さい」


「ご、ご苦労様です」


馭者は最後に、一言だけ絞り出した。



馬車に乗り込んでから門に着くまでに、私は自分の太ももをザク切りにしまくった。


ついでに首も切って『超回復』のシステムを使って少女に変装した。


横で見ていた御者は、今も青い顔をしている。




水のウインが滞在しているキセ街まで4時間。カナワを出発して、南北街道沿いに走る。


途中から街道が川に近づき、大きな川と平行して走った。


ワルダーの馬車は、この街道でオークに襲われていた。

だけど普通なら、めったに魔物が出ない。


暗くても順調に進んだ。


「そういえば、ギルマスに道具をもらったな」


ギルマスは「魔法マニア」「スキルオタク」。その次は「武器コレクター」


私のスキルを見て、私だけが使えそうなアイテムをくれた。


武器というか、道具というか・・。


普通の冒険者なら使わなそうな物。ぶっちゃけ、死蔵品だ。


それをいじってるうちに、キセの街が見えてきた。


日も暮れた。こんな時間帯に門は開けない。


だが、ワルダーは馬鹿そうでも貴族家の長男。


通行証を提示。川沿いの門の方に向かった。そっちなら、夜間緊急用の入り口がある。


◆◆


水のウインが泊まってるのは、この街で1番の宿屋だそうだ。


街の規模は小さいから、2階建ての防衛機能も低い造り。


攻め方はシンプル。


縮んだ少女スタイルのままで挨拶に行き、油断させる。


体のどこかを触って「等価交換」で倒す。それだけだ。


というか、それしか攻撃手段がない。



しかし、いきなり誤算。


なぜか街の門の外に水のウインがいる。


水魔法適正A。164センチ、巨乳のツリ目美人。

白いブラウスに赤みがかったスカートをはいている。


「ワルダーちゃん、何があったの?」


馬車からワルダーが転げ出し、姉のウインに何か訴えている。


「あひゅ、あう、あう」


「喋れなくされたのね。どおりで魔力が乱れてると思った」


声は、少しも乱れてない。心配した風でもない。


「で、ユリナは連れてきたの?」


不味い。こっちを見た。


ジュリアの仲間は高レベル魔法使いばかり。


広範囲の魔力感知もできると言っていたが、こいつも例外ではなかった。


先手を取り損ねた。


ワルダーがこっちを指さした。


逆らったら口を元に戻さないと言っておいた。


けれど、姉への忠誠心か、それとも恐怖心か。そっちが勝っていた。


「その魔力ゼロ娘がそうなのね。ワルダーちゃん」


「はふん、はふん」


「そう。小さくなってるけどユリナなのね」


ウインは偽りの「善人」だったころに言っていた。


何でも言うこと聞いてくれる、忠犬のような弟がいると。


それが最低貴族のワルダーだったか。


10歳程度の身長で、見るからに非力。


そんな状況でウインににらまれている。


油断させて接触。


見事なまでに作戦は、失敗に終わった。


さて、どうすべきか。




https://www.alphapolis.co.jp/novel/295429334/506718241


アルファポリスで先行しています

読んでいただきありがとうごさいます

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