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22 ダンジョン五階のハプニング

リュウと一緒に過ごした。


次の日の朝、冒険者ギルドでオーグとダリアと合流した。


2人に冷やかされた。


「いろんな意味で仲直りできたみたいね」

「初夜」

「こらっ」


オーグがダリアに頭を小突かれた。


こんな何気ない光景も新鮮に感じる。


私の回復スキルの異常さ。ダリアもオーグも薄々は気付いている。


リュウには、改めて話さなくてもいいと言われた。


だけど、二人に本当の危機が訪れたときには考えて欲しい。そう頼まれた。


私は、迷わず使う。


まだ2か月程度でも、大切な仲間だ。


1ヶ月後。


森の奥にいるオーク狩りも楽勝になった。


ランクも4人そろってDに上がった。


珍しくオーグがしゃべり、中級のノイダンジョン挑戦が決定。


いきなり全40階制覇なんて、考えてない。


まず、3泊4日で10階を目標に潜る。


迷路型ダンジョン。


猿、牛、犬の魔物が出る。


10階まで行けば、エリアボスに挑戦。勝てば、11階の転移装置を使うことができる。


こんなシステムだったと、今さら知った。


私はダルクダンジョンで10階に落ちた。


11階を目指せば、あんな苦労はせず、すんだのかも。


オーク相手に貞操を守った日々は、なんだったのだろうか。



ダンジョン突入。


「小手調べは終わったし、何とかなりそうだね」


「だな、1階は楽勝だから、一気に何階か降りるか」

「5階」


「だねオーグ。ミドルバッファローが高く売れるもんね」


「よし。ユリナが素材も持ってくれるし、解体は後回しで一気に行こう」


2階オオカミ、3階猿、4階オオカミ、猿混成。


このメンバー、難なく勝った。少しフォーメーションも変わった。



「む?」

「な、なんだよ、オーグ」

「陣形変化」


「へえ~、リュウってば今までみたいにユリナさんを前にやらないんだね」


「ほら、ユリナの回復術、普通じゃない。人に見られない陣形の方がいいんだよ」


「虚位」

「本当は、あれでしょ。ユリナさんを怪我させたくないんでしょ」


「う、うるさい。ユリナは回復役で素材の運搬役だから後衛。これが本来の形なんだよ」


「ふふふ、ありがとう」


いざとなれば私が出る。


『敵を倒し生き残る』


この一点では私はモンスター相手に負けない。


そんな私の出番は少ない。みんな強い。


『超回復』は、みんなの疲労回復にしか使っていない。


私の出番がないのはいいこと。パーティーに余裕があるということだ。


しかし気が緩んでいた。


2日目に5階に降りると、バッファローが一匹ずつ出てきた。


バッファロー系の肉は美味な割に流通量が少ない。


希少価値がある。


多く捕獲できれば、カナワだけでなく近隣の街でも売れる。


つまり、大量に持ち込んでも値崩れの心配はない。


4匹目まで難なく倒して、6つ目の分岐路に来た。


ちなみにダリアが止めを刺した獲物が1番綺麗。オーグ、リュウのもまずまず。


高価取引が期待できる。


私が「超回復、等価交換コンボ」で倒したやつは、変死体。


頭部の攻撃に徹し、干からびた部分を切り落とした。


「えっと、階段までまだ遠いけど、何となくギルドで写してきた簡易見取り図と違うな」


同じ景色ばかり続く。


30分前に角を曲がったのが、失敗だったようだ。


「反省」


「まあ、あせらずいこうよ。予定は3泊だけど、食料は1か月分くらい収納指輪に入っているし」


「うん分かった。あれ、壁の色が違う」


「だめ、リュウ」


ガコン、ゴゴゴゴゴゴ。


私達4人から10メートル位置で壁が降りた。前後の退路が塞がった。



今度は通路だった壁が開いて、大きくて閉じた部屋が出来てしまった。


「ユリナさん、ここはなんでしょうか」

「私もダンジョン自体は限りなく初心者だから・・・」


「すまん、俺が失敗した」

「無問題」


中は、縦横30メートルほどの四角い部屋。


奥に鉄格子があり、中にバッファロー、オオカミ、猿で計100匹ほどいる。少しずつ、下から格子が上がってきている。


「噂に聞いたモ、モンスターハウスですかね」


状況は厳しい。


しかし、想定していなかった訳ではない。


リュウたちと仲良くなったときから考えていた。


窮地に立たされたとき、みんなで生き残る方法。


もう仲間を失わない。


絶対に。


「ここは私が仕切る。反論は受け付けない」


「なにをやるんですか」


収納指輪から、手製のバリケードを出した。


鉄の柵を組み合わせ、大きな鳥籠。


不細工だが、隙間から槍を出せるし、強度だけは高い。


「槍を10本置いておく。3人でこの中に入って。私が数を減らしてくる」


「ダメだ、ユリナ」

「否」


「ダリアを守るためよ。ダリアは弓が使えない距離から襲いかかられたら、確実に死ぬわよ」


身体強化で防御力が上がる男子2人とは条件が違う。


「陳謝」

「く、すまない、ユリナ」


リュウに本気の不細工な戦い方は見せたくなかった。けど、これが、最善。


私は「超回復、等価交換コンボ」を最大限に生かすため、ミスリルタンクトップを脱いだ。


綿の短パンとタンクトップに裸足。


裸は覚悟。


手甲をつけ、100匹のモンスターの中に飛び込んだ。



https://www.alphapolis.co.jp/novel/295429334/506718241


アルファポリスで先行しています

読んでいただきありがとうごさいます

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