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2 『』に入れるもの

3メートルに膨れ上がったジュリアの炎。



数秒後には、私に向かって放たれる。


足首は折れている。

100メートル近い高さの崖の途中。


そして、4メートルの岩トカゲも、私を見つけて喜んでる。


「もうダメか・・あ・・」


視界に入った。


胸を土魔法で貫かれ、命綱で宙吊りのナリス。


「ごほっ、うう・・」


まだ生きてる。


その時だ。


再び、口の中から、割ったスキルオーブが呼び掛けてきた。


ピー。『』を発動せよ。ピー。


「な、な・・」

私はキレた。


「うるさい!」


ナリスがなにをした。

モナは頑張ってた。

アリサは私を励ましてくれた。


親友を助けろ!


「『』の中身がない。何を発動させるんだよ。だったら回復スキル! せめて怪我を治させてよ。ナリスを苦しませるな!」



ピー。


『超回復』


発動します。



「え、なに?」


ごうっ。その瞬間。


ジュリアの「豪炎」を頭から浴びた。




壁際で岩肌の障害物がある。


豪炎は岩肌を掠めただけ。


だけと尋常じゃない熱量。


頭が沸騰。肺に熱波が達し、息もできない。


『超回復』


両手の指先も消し炭。命綱も燃料。腹に炎がくい込む。


『超回復』


熱い。水・・


『超回復』


火が消えない。


痛い、熱い、痛い、痛い、熱い。


『超回復』


苦しい・・。


あれ・・。私は自分のことが冷静に見えてる。燃えてる。指先も火を吹いている。


なぜ?


『超回復』


なぜ、生きてるの?


ぷち。命綱が燃え尽きた。炎は勢いを弱めたけれど、今度は、私は落ちていく。


岩の出っ張りをつかんだ。指先が折れた。スピードは落ちた。


だけど確実に下に向かってる。


ナリス、ごめん、たどり着けなかった。


私も、そっちいって謝る。


ごん、ごん。「ぐあ!」


『超回復』


「いだだ、たたた」


あれれ、あれ?


「たたた・・ 痛く、ない。なんで、なんで私は生きてる?」


炎が消えた。


燃え落ちたはずの茶色のショートヘア。触ると生え揃っている。


岩をつかんだ指は砕けた。出っ張りに当たった手も足も、嫌な音立ててた。


「なにこれ・・『超回復』って何度も頭の中で響いた」


まさか、スキルオーブからもらった『』に超回復ってスキルが入ったとか・・



魔力がない私。

なぜ、豪炎プラス落下のコンボから助かったのか。


何かをもらった。それしか説明しようがない。



上を見ると、ジュリア達がこっちを見ていた。


なんで生きてるんだ。そう言っている。


火のジュリア。

土のスターシャ。

水のウイン。

氷のシクル。

風のカルナ。

光のマリリ。


奴らは、仇。

死んだはずの私が、なぜ立ち上がった。考える。


何かを手に入れたことがばれただろう。


モナとアリサがいる。トカゲに捕まったモナも、私と一緒に火炎を浴びた。


アリサは左半身、モナは全身が焼け焦げてた。


近いモナに駆け寄った。胸に手をあて『超回復』と唱えた。


何も起こらなかった。


アリサも同じ。


死んでいるから無理?

自分にしか使えない?


ただ、2人が救えなかったことだけが事実。


「モナ、アリサ、ごめん。助けられなかった」


私は、何もかも燃え落ちて裸。

ナイフの1本も持ってない。


地面が固くて、お墓も掘れない。


遺品も持っていけない。


「うっ、うっ。ごめんね、モナ、アリサ、ナリス、3人ともごめんね」


気持ちが強く励ましてくれたナリス。


優しく肩を撫でてくれたモナ。


一緒に笑ってくれたアリサ。


みんな死んだ。



一番取り柄がない私が生き残った。




ジュリアが、あの6人が憎い。


絶対に復讐する。


だけど、ここは高位ダンジョン。


崖の下から行けるのは、階段を通ってダンジョン10階。


この1本しかない。


10階への扉を開くと、もう逆戻りできない。


だけど脱出しないと始まらない。



落下地点から階段を降りた。10階。


丸裸、武器なしの私の前に、体長2メートルのオオカミが現れた。


ここも渓谷型ステージ。


幅500メートルの荒野に垂直の断崖絶壁が続いている。


どこかに9階に上に上がる道がある。絶対に。


もちろん私は知らないし、目の前にはオオカミ。


またも、逃げ場なんてない。



https://www.alphapolis.co.jp/novel/295429334/506718241


アルファポリスで先行しています

読んでいただきありがとうごさいます

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