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ダンジョンで『』を手に入れました。代償は体で払います  作者: とみっしぇる


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174 毒を飲む令嬢

私ことユリナは、私そっくりな伯爵令嬢アンジュに扮装している。


今から、フルン男爵のお宅訪問をします。


そしてお茶会をする。


毒茶使ってね。


アマク伯爵家の次女アンジュが毒殺されかけた。


ノエルも魔法を通じて師弟関係にある。私達の妹に認定した。



ノエルの敵は「アイリス(仮)」4人の敵。


伯爵家の正式な兵士が男爵の元に向かうのは2日後。


その前に、私達が暴れておく。

◆◆


帰ったら、ごちそうが待っている。


アマク伯爵家のロクサーさんに、特級ダンジョン30階のミノタウロス2匹、ほかの肉を渡した。


これが約束の分。

プラスして、私達や家の使用人と食べる分も預けた。


ついでに、当主様に、フルンの情報をもらった。


私達は、迅速に心配ごとを減らす。


そうでないとノエルが、30階ミノタウロスの実食を心から楽しめない。


半日後、100キロ離れたフルン叔父さんのお城に到着した。


ここに籠城している。


自前の兵士100、ドルン伯爵家から借りた兵士200。計300人。


「10人生かしとけばいいよね」

「いやいや、20は残そうよ」


ミール、ノエルで物騒な会話をしている。


崖を背にした城塞型の男爵邸前は、深い堀が作ってある。


出入口は1本の石の橋のみ。


ノエルからしたら、閉じた狩り場だ。


私達のアマク家到着から4時間程度。


敵に私達の情報は漏れていない。



私はアンジュに変身している。


彼女のオレンジのドレスに着替え、先頭で歩いている。


残念な顔のアンジュは、同じく残念な私とそっくり。


青いカツラを被ってメイクして、アンジュのドレスを着た。


胸がぶかぶかなとこ以外は、よく似てる。


私の後ろに仮面を被ったミシェル、ミール、ノエルが並んで歩いている。


一番大きいミシェルが細身の170センチ。


気を抑えれば、誰も強そうに見えない。


敵地に着くと、堀の向こうには兵士がひしめき合っている。


橋のとこにいる門番に、貴族風に言ってみた。


「アマク伯爵家、次女のアンジュでございます。フルン男爵に会いに来ました」


「何の用でしょうか」


「2日前、渋みが効いたお茶を頂きました。そのお返しに、取っておきのお茶を持ってまいりました」


伝令が走って、門が開けられた。相手は兵士合計300。


こちらは4人。


応接間、中途半端に武装した太った叔父さんが迎えてくれた。


こいつがフルン男爵だ。


「何をしにきた」


警戒どころか、テーブルに足を乗せている。


私達を捕らえて人質にする気だ。ま、普通の感覚だね。


「叔父様にもらったお茶で私が倒れてしまい、まるで叔父様が私に毒を盛ったかのような状況です」


「で?」


「同じお茶をここで2人で飲んで、叔父様の疑いも晴らそうかと思いまして」


無茶な理論。


ま、斬りかからせるの前提だもんね。


「それで、後ろの3人は」


「冒険者ギルドから呼んだ立会人です。叔父様の無実、アマク伯爵家に伝えてもらいます」


どん、と毒茶の瓶を置いた。


お湯を注いで、たっぷりの毒茶葉。


青緑に紫混じりのコントラスト。茶器についで、私とフルンの前に置いた。


「・・これを飲めと言うのか」


「ご心配なく。私が先にいただきますわ」


「ななっ」


一気に飲んだ。不味い。すげえ不味いよ、これ。


口の中から喉まで焼かれるような不快感。ヤバっ。


『超回復』ばちっ。


反則スキル発動の私は、無傷。ただ、味のまずさが嫌になった。


「おいしくいただきました。さあ叔父様も、温かいうちにどうぞ」


フルンは困っている。


『超回復』で解毒できる私は、堂々と飲んだ。


叔父だけに毒茶を飲ませるとか、小細工が必要ないのだ。


「さあ、どうぞ。疑いを晴らさなければ、2日後にはこの城が火に包まれますわ」


「くっ」。フルンが茶器を持った。


そして、匂いをかいだ。


「・・あ、はぐ、ぐああああ」


いきなり倒れ、そして顔に斑点が浮かんだ。


「男爵様!」

「一体何が」


どうせ飲まないと思った。


だから、叔父が残した毒茶に、アンソニーが持って来た「ポイズンシクラメン」をブレンドした。


湯気だけで効果があったようだ。


猛毒の解毒剤の材料。大抵が猛毒でできている。


今回はポイズンシクラメンを無処理の猛毒のまんま、毒茶に混ぜた。


「あら、叔父様。アンソニーに飲ませようとしたお茶は、やっぱり毒だったのかしら」


宣言した。アウトです。


フルン男爵は兵士に担がれて、寝室に運ばれた。


私達は、兵士20人に囲まれた。


「こっから、本番ね」


「ミール、じゃあ打ち合わせ通りに」


「うん。ミシェルとユリナ様は、邸内でお宝探し。私とノエルは誰も逃がさないように、出入り口を塞ぐね」


「なめているのか。この包囲網を4人でどうできる」


相手が言い終わらないうちに、ミールが土のつぶてを投げて窓を割った。


風の精霊を呼び出したノエルと一緒に外に飛び出した。


私とミシェルは長い革紐で繋がっている。動きはフリー。


20人の敵に包囲されている。


「ミシェル、大した人はいない。訓練がわりに好きなだけ倒して。残った雑魚を私が倒す」


私の正直な気持ちを言った。なのに、敵が私に殺到した。


ざく、どす、ざく、ざく!『超回復』ばちっ。


せっかく貴族令嬢のドレスを着たのに、いきなり穴だらけだ。


「ユリナ!」

「大丈夫よ」


ミシェルが2人を斬り倒した。私は1人を等価交換で無力化した。


ドレスを着ている今日だけど、やっぱり私が盾役だ。


斬られてはクロスカンターで絶対的破壊領域。


ミシェルは剣士をひとりずつ倒して、15分で20人の敵を倒した。


私がアンジュにもらったドレスは、右肩で辛うじてぶら下がっている状態。


完全に、襲われたあとのような姿になった。





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