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ダンジョンで『』を手に入れました。代償は体で払います  作者: とみっしぇる


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163/188

163 喧嘩は止めて・・

『超回復』『超回復』『超回復』


私の肋骨が折れて回復を繰り返す。


そんなことに構わず、ミールは再び私を抱き締めている。


2人で激しくスライディングしたせいで、地面が剥き出しで荒れた草地。


まるで猛獣同士の戦闘があった直後のような光景。


ノエルも初心者冒険者達も目を丸くしている。


「ミール。私が悪かった。もう逃げない」

「本当?」

「うん、絶対に。そのために帰ってきたの」


騒ぎを聞きつけた他の冒険者も集まってきたけど、気にしていられない。


それにミールの顔を見ていたら、涙も出てきた。



「ミール、ごめんよ。本当にごめんよ。ミシェルのこと大好きだよね」

「・・うん。ユリナ様と同じくらい好きになれた」


「だけど、私が変な行動をしたせいで・・」


そうなんだ、ミールは私に優しくて、私が最優先なんだ。


「ミシェルと一緒にいたいのに、別れる方を選んだんだよね」


「そのことでユリナ様に話があるんだ。いや、あのユリナ様が走り去った日に、話そうとしてたことがあるの」



「それって・・」

「待ってユリナ様」


「?」


いきなりミールの雰囲気が変わった。


私の前では出したことがない、黒い空気が漏れている。視線も私の方ではない。


「ユリナ様、あいつは?」


ぶわっ、と黒いオーラが吹き出した。


ちっとどころじゃないくらい、危ない空気を醸し出している。


闇属性の戦闘エリート候補が本気になっている。


なぜた。


ミールの視線の先は、私でなくノエルだ。


「あいつ、私より強い。だけど許せない」


「は?」


ミールは私を離して立った。


そしてノエルの方を向いて、ナイフを抜いた。


「ミール、やめようよ。彼女は新しい友達のノエルだよ」


「ダメだよ、ユリナ様」


「いきなりどうしたのさ。ただの友達だって」

「ただの友達?」


ミールが纏う黒い空気が。ゆらゆらと動きだした。


「ただの友達なら、なんで・・」


「・・・・だよ」


「なんで、ハーフエルフの匂いが、ユリナ様の体からぷんぷんするんだよ!」


うげげげ、なにそれ。


「私達、そんな関係じゃないない・・・・あ・・」


そういえば、1度だけ交わった。


高度1000メートルからダイブして、地上に触れて私とノエルは骨盤ごと溶け合った。


そして2人が『超回復』で再生したとき・・


ノエルのアレが私のアソコに、根元までズッポリで復元された。


「私、迎え入れたつもりはないんだよ」


「それなら、あいつ、無理やりユリナ様とヤッたんだね」


ミールの脳内がとんでもないことになっているようだ。


そのストレスを与えた原因は私なんだけど・・


ミールの再び姿がぶれた。


ギインって、何の音?


なんと、右斜め前10メートルで甲高い音が鳴り、ミールとノエルのナイフがぶつかり合っていた。


「私はミール。ユリナ様とシたの?」


「ノ、ノ、ノ、ノエルよ。え、え、え~と、シたというか、一瞬だけ、1回だけ、事故なの!」


「だからあんたから、ユリナ様の匂いがするんだ。ずるい!」


ノエルが余計なことを言う。ミールが吠えた。


今度は2人の姿がぶれて、私や初心者冒険者がいない後方で、ナイフがぶつかり合う音がした。


ギンギン、キキキギン!音しかわからない。



ミールとノエルの顔合わせ。

まあ、確かに2人は自己紹介したな。


どことなく似ている切れ長の目。闇属性美少女とハーフエルフ美女。だけど、こんなんじゃない。


なぜ、いきなり戦闘勃発なんだろうか。


恐怖の表情で子供冒険者が寄ってきて、私にしがみついている。



ちょっと驚いたけど、2人とも冷静。


子供達に戦闘の影響が飛び火していない。火属性の技も使っていない。


ミールの水遁とノエルの風の精霊魔法がつぶかる。土遁で目くらましをして刺しに行ったミールに対し、ノエルは水の壁を作って防ぐ。


紛争地帯みたいだ。


ナイフをぶつけ合う音も響く。

ただ、ミールが劣勢だ。


私は底力がなくても、Aランク冒険者、ハイクラスオーガ、ワイバーンの攻撃を受けて生き残っている。


目の前で強烈な攻撃を凝視して、見る目だけは養われている。


体術は五分だと思う。だけど精霊魔法と忍法比べで、本人たちのレベル差がありすぎた。だけどミールはあきらめない。


攻防は20分も続いている。



「無理やりにユリナ様を押さえ込んだんだ」


「違うの。ワイバーンにがしっつてされて、地上1000メートルからびゅーんってして、地上にどーんってなって、ずぼってなったの」


「2人だけでランデブーを楽しんでるじゃん」


「楽しんでない。ユリナに助けられたけど、死ぬとこだったの!」



「嘘だ! 嫌がるユリナ様を押さえ込んで、エッチしたくせに」


「してない。ちゅっちゅはしたけど、押さえて、あっは~んとか言わせてない」


「じゃあなんで、ユリナ様の股間に、あんたの気配が残ってるんだよ」


「事故で入っちゃっの。1回も動かしていない」


「私はまだ、ユリナ様の小ぶりなおっぱいさえ、もんでないのに!」


「私も、まだもんでないってば」


ちょっと待てと言いたい。


あの2人、変に息が合ってないか?


このまま2人の言い合いが続いたら、精神に大ダメージを受けるのは私だ。


公開処刑だ。


子供冒険者も顔見知りの薬草採取者も私に変な目を向けている。


止めたかったが、ミールもノエルも高位の戦闘職。


魔法と体術を駆使しながら、「私を巡って?」戦う2人の動きを阻止できない。


私が無敵なのは、敵が至近距離まで来てくれるからだ。


さらに20分が経った。


体力、魔力が先に尽きたミールがへたり込んだ。


今度は私の方から近づいて、ミールを抱き締めた。


「私とノエルは友達だから。それは本当。ワイバーンと戦ったとき、色々あっただけ」

「みたいだね。戦いながら話をして理解した。納得はできないけど」


「とにかく、ただいま」

「おかえりなさい」



今度こそ落ち着いて、きっちり自己紹介をした。




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