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ダンジョンで『』を手に入れました。代償は体で払います  作者: とみっしぇる


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159/188

159 VS土魔法使い×2

イーサイド男爵家の長男ライナーと決着を付けるときが来たようだ。


ノエルが障壁で守るフランソワ夫人、フロマージュちゃんと10人から約30メートル。


私はライナーと妹ちゃんに、10メートルの間隔ではさまれている。


どんな魔法を練っているのか不明。確かなことは、片方は適正Aの土魔法使い。


「魔法を受けてあげる。言い訳させたくないから、これ以上ないくらいのやつで来てよ」


エールを出して、あおった。


「舐めてるな。奴隷にしてやる」

「平民女にエリートの魔法を見せてやるわ」


見下されていた方がいい。


その方が、大魔法を破られたショックは大きいだろう。


ただ、雰囲気がヤバい。死ぬかも。



それはそれで、仕方ない。


勝ったら殺す。なら逆も覚悟しないとね。


「大地に潜む龍よ、顕現し生ける者をのみ込め「マッドドラゴン」!」×2


兄妹でハモると、土の最上位魔法が発動した。


ライナーの左側地面から直径5メートルの龍が飛び出した。


上空にそびえ立ち、首をもたげると私に向かって降りてきた。


「魔力が2人分こもった龍か・・。耐えられるかな」


違った。


呑気なことを言っていると、足元がせり上がった。


妹も同じ龍を発動させていた。狙いは分かった。


2匹の龍は1匹が下から、1匹は上から攻めてきた。


挟む気だ。


「おいおい、捕獲目的にしては強烈すぎ。ミンチになるんじゃない、私」


舐めすぎた。


下から龍の顎に捕らえられながら持ち上げられた。そこに上からもう一匹のぶつかってくる。


私を捕まえられたらよし。ダメでも殺して、恨みを晴らす気だ。


「ユリナ、それは食らっちゃダメ!」


ノエルが叫んでいる。


あんなに強くて剛胆なノエルが、私のことであせっている。


根がお調子者の私は、ノエルに向かって格好良く言ってみた。


「ノエル、安心して。魔物、大召喚!」  


・・だたし死骸。どさどさどさどさ。


収納指輪から、ちょこちょこ集めたノーマルオーク50匹。

肉が多いダチョウ30匹。

耐久性が高いランドドラゴン15匹。


愉快な仲間たち、の死骸の中に私は埋もれた。


ゴンッ。ゴゴガゴガゴゴガガガガガ!


高密度の、鉄以上に固くなった土の塊に上下から潰された。


「『超回復』「等価交換」『超回復』「等価交換」『超回復』「等価交換」」ばちばちばちばち。


ゴゴゴゴゴゴガガガゴゴゴ!


「『超回復』「等価交換」『超回復』「等価交換」『超回復』「等価交換」」ばちばちばちばち。


注ぎ込まれる膨大な魔力と、私の物量の勝負。と思わせている。


「いでで、けど、私の、いで、方が、余裕が・いででで」


余裕がある。こいつらは怖くない。


所詮は、大まかに狙いをつけた魔法攻撃のみ。


私は、「氷のシクル」が怖かった。


『超回復』を応用しても、的確に拘束される氷魔法。


「火のジュリア」が怖かった。


正面から戦っていれば、「等価交換」の材料を出しても、それごと焼かれていた。



ジュリアを倒しに行く前、アルバさんに本気で闘ってもらった。


「スライムパンチ」ありの本気。瞬間的にアルバさんを半身不随にしてもいい。


そう言われて戦った。


結果は予想通り。流星錘もトレントの枝も何も通じなかった。


収納指輪から出した有機物も、使う前に弾かれた。


なすすべがなかった。


「負け」と決まっていた80センチまで、私は縮んだ。


最近はノエルまで現れた。反則スキルのフルコンボでも、私が敵わない人間が10人以上に増えている。


だけど、ライナーと妹ちゃんは、そっち側じゃない。


彼らの魔法は派手。


だけどミンチになろうが、私の周りにはランドドラゴンと愉快な仲間たちがいる。


痛みを感じた瞬間に『超回復』を唱える。


「破壊的絶対領域」


とてつもない固さの土の龍を私の細い手足が砕く。

土の龍は、ライナー兄妹から魔力を吸い上げて、体を修復する。



3分間の膠着状態に持ち込んだ。それが私の戦い方だ。


「追加のスライムパンチ」


上下から、攻撃してくる龍の顎が四散し、外が見えた。


龍は復活。


破損した龍を修復するために、さらに魔力を注ぎ込まれるだろう。


体に当たる肉がつぶれ、もはやオークなのかダチョウなのか分からない。


魔法使いが操る土の龍は、万全なら30分は動けるらしい。


万全なら、だ・・


今、1秒ごとに多くの魔力を注がせ、龍を修復させている。


例えライナーのMP総量が1200あったとしても、限界は近い。


案の定、龍の固さが変質した。固いけど緩くなった。


「ここだ。スライムパンチ×10」


ごっ、ごっ、ごっ、ごっ。ぼこんっ!。


周りの肉を「等価交換」で使いながら、土の龍の体内を内側から崩していった。


最後のスライムパンチを使ったとき、外に出ることができた。



「う、うそだろう。魔法適正Aの2人で力を合わせた大技だぞ」


「いや大したもんだよ。無防備で食らってたら、かなりやばかった。だけどね・・」


私は魔力が欠乏し始めた妹ちゃんに近付いた。


「私の倒しかたとしては、間違ってたんだよね」


話してる間も悪あがきのストーンバレットが飛んできた。


『超回復』『超回復』『超回復』ぱーーーん。


ビシビシ。「ぎゃあっ!」


弾き返したバレットが妹ちゃんに当たった。腹と胸にも食らっている。


腹から血が吹き出した。もう放っておいていい。



「さてライナー、まだやる?」


「く、くそう。あれだけの魔法を防ぐとは・・」


「防いでないわ。食らっても、死ななかっただけ」


お決まりのように、ライナーが背を向けて逃げようとした。


だけど、それはノエルが許さない。素早くライナーの退路を防いでいた。


挟み撃ちだ。


「ユリナ、こいつは拘束するのも危険よ」


「どうする?」


「仲良しのフランソワ夫人、可愛がっているフロマージュ。その2人に害をなすものを放置できない」


そうだ。見た目は若くてもノエルは80歳。フランソワ夫人との付き合いも長い。


静かに怒っている。


ノエルは、魔力切れが近いライナーを殺そうとしている。


「じゃあ、とどめはノエルがお願い」


私はライナーにナイフを振りかざして走った。



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