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ダンジョンで『』を手に入れました。代償は体で払います  作者: とみっしぇる


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138 怒られる前に逃げよう

泣きながら別れた私とリュウ。


その場面を見ていたダリアに、『超回復』にまつわる悲しい秘密を明かした。


「マヤはいい子だよ。私なんかいなくなっても、彼女が全力でリュウを愛してくれる」


「ユリナさんは、それでいいんですね・・」


「ミール、マヤ、大切な妹達が幸せになれるなら、納得できる」


ダリアが泣きながら抱き締めてくれた。


「私には面倒を見ようと思う子がたくさんいる。魔力ゼロの人達、教会上層でしいたげられた子達、スキルに恵まれず苦しんだ子もいる」


ダリアの腕の中、心地いい。


「私に助ける力もある。励みになっているんだよ。普段は酔っ払ってばかりだけどね」


「だけど、本当に好きな人とは、どうしようもできないんですか」


「いいんだよ・・」

「・・」


「胸が苦しいときもあるけど、ダリアが聞いてくれた。内容が特殊すぎて、今まで誰にも言えなかったんだ」


「うっ、うう、うう」


「ありがとうダリア。今、幸せかって聞かれたら・・うんって言える。今回もリュウに会えてうれしくて、けどせつなくて・・。涙が出るけど、それもうれしくて」


辛くなったらまた来てと、ダリアが言ってくれた。



突然ですが、オルシマに帰ります!


なにげにマヤを騙した。


カナミール子爵にマヤに対して大きな借りを作らせ、三男をマヤの前から排除する。


2つの目的があった。


けど、深く考えず行動してしまった。


そしたら、マヤは右腕を落とすし、リュウに愛の告白までしてしまった。


私の『超回復』で腕を治し、直後にタネ明かし?


「ドッキリでした~」無理だ。マヤに間違いなく怒られる。


また「暁の光」には会える。


ダリアにマヤと顔を合わせづらいから一旦は去ると言って、マヤが寝ている部屋に行った。


ガチャ。


「・・リュウ、マヤは?」

「眠ってる」


「ダンジョンに連れて行って10日以上も緊張させたしね。心が疲れたんだね」


「どこのダンジョンか聞いてなかったな」


「え~と、2人でダルク特級ダンジョン10階から14階を適当に巡ってきたの」


「まじか・・」


「拾ったお宝、をマヤと分けたよ。それに高ランク魔物も30匹くらい持たせてる」


「一気に金持ちだな、マヤは」

「マヤはリュウ達と分けたいって言うから、きちんと応じてあげてね」


「ああ、分かった」


少し話をした。前みたいな、他愛もない内容だ。


懐かしくて、楽しい。


「また来る。そのときは、新しい仲間も連れてくると思うわ」

「ああ、いつでもこいよ」


リュウにマヤの残った左手を握らせた。


そして私はベッドの反対側に回り、眠るマヤの右肩に指先で触れた。


『超回復』ぱちっ。


マヤは大きく目を開いて、リュウの姿を見て微笑んだ。そして、また眠った。


「ユリナ、マヤの腕は?」


「見ての通り治ってるよ。眠ってるのは精神疲労のせい。これは休息でしか治せない」


「マヤが起きるまで待つ?」


「いいえ、行くわ。マヤが起きたとき、リュウと元カノの私で並んでいたら不安になるわよ」


「そんなもんか」

「そんなものよ」


こんな呼吸も嬉しい。


「また来るわ。マヤが、私が来ても不安にならないくらい、愛してあげてね。私の大切な妹になったの」


「またな」

「またね」


帰ってきていたオーグ、そしてダリアに挨拶。彼らの拠点を出た。


そして、ギルドに寄った。ギルマスに面会を求めると、幸いに時間を空けてくれた。


お礼を言った。


街から逃げた直後から、ギルマスがくれた「流星錘」には助けられた。


その後、戦うための大きなヒントにもなった。


「ギルマスが流星錘とヒントをくれたから、本当に助かってます」


「活躍は開示情報で把握してるよ。またオルシマに帰るんだな」


「はい。今はあちらが、生活拠点ですから」


「で、聞きたいのは領主三男のことか?」

「はい」


領主カナミール子爵には3人の妻、8人の子供がいる。


子爵邸で会ったのは第一婦人。


長男、次男、次女フロマージュを産んでいる。第二婦人は男子1人、女子3人を産んでいる。


問題の三男カルゴは第三婦人の子。


その第三婦人は高い魔法適正を持つ。あのアリサの実家イーサイド家から来た。


なかば、イーサイドからねじ込まれたそうだ。


「またイーサイドか。つくづく因縁がある。三男の適正は風魔法Bですね」


「ユリナとマヤでフロマージュを救って数時間だが、早くも噂になっているぞ」

「騒ぎにしちゃったからね」


「子爵家の恩人となったマヤなのに、三男が汚す目的で拘束しようとしたという話だ」


「私も証言できます。間違いないです」


「愛娘を救われた第一婦人が激怒して、三男の捕縛を命じている」


「へ~。第一婦人って力があるんだ」


「実家の力が強い。その実家にも、マヤへの恩義を速達で知らせたそうだ。そして、その妨げになりかけた三男のことも悪意を込めて報告するらしい」


「第一婦人の実家?」

「この領の北側に隣接する武闘派だらけのイツミ伯爵家だ。当主は嫁に出した長女の第一婦人、この子であるフロマージュを溺愛している」


不治といわれる病を患った孫のため、かなり力を尽くしたようだ。


危なかった。


私が本当にフロマージュを見捨てていたら、伯爵家がオルシマに攻めてくるとこだった。


「身を挺したマヤは間違いない。スキルを使って仲介役をしたユリナも伯爵家の恩人。そう扱われるだろうな」


「私は、静かに暮らしたいのに・・」


1時間程ギルマスと話し、スキルの秘密を幾つか教えた。お返しに戦いかたのアドバイスをもらった。


ギルドを出る前に、領主の長男、次男が待っていた。


三男のことがあるから警戒したが、妹のフロマージュを救われたことへの礼を言いに来ていただけだった。


礼をしたいと言うから、手を差し出した。


「小銀貨一枚、1000ゴールド。これ以上もらうと、力を貸してくれる「名もなき神」にスキルを取り上げられるの」


せめてものお礼にと、三男の情報をくれた。


イーサイド男爵家長男と結託して「子爵家の乗っ取り」を計画していたそうだ。


今回の事件をきっかけに、子爵家当主みずからが断罪に乗り出す。


ただ、三男自身がレベル70を越える風魔法使いで身体能力も高い。捜査の網を逃れていて、注意をうながされた。



そんなこんなで街を出て30分、案の定というか、待ち伏せがいた。


お約束通り、カナミール子爵家三男カルゴだ。




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