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ダンジョンで『』を手に入れました。代償は体で払います  作者: とみっしぇる


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120/188

120 出会いは唐突に

アリサが、イーサイド男爵領で唯一会いたかった人がいた。


そのサマンサさんが、どうなっているか知りたい。


イーサイド家の長男ライナーも、私が来たのは知っている。


もちろん、目的はアリサ追放の「犯人探し」だと分かってる。


だけどサマンサさんは、監禁するほど重視していないと思う。


そもそも、犯人はライナーや両親といった実の肉親


私がそこにたどり着いた可能性を考えてる。


有能な戦闘員はアリサの両親とライナーら兄弟4人の警護に使っているはずだ。


私は120センチの幼女変身で街に入った。


領都の入り口で、口減らしのために近隣の村を出てきたと言った。親切な門番さんが、冒険者ギルドと商業ギルドの位置を教えてくれた。



街を一通り回った。


意外に聖職者が多い。ライナーとの会話では、教会勢力とも結びついている感じだった。


「大きな教会もあるし、聖魔法の使い手も多いよね、きっと。母親の病気も、そいつらに治してもらえばいいのに」


「だよね、ユリナ様」


通りを歩いていると、先に潜入したミールに手をひかれた。


幼女変身すると、妹みたく扱われるんだよね。


いつ来たかは、もちろん分かってない。


一緒に少しお高い食堂に入り、個室を取った。普段、金は使わないから多少は贅沢できる。


「ユリナ様、お目当てのサマンサさんは見つけたよ。監視は付いているけど普通に生活している。仕事は前と一緒でイーサイド家の下働き」


「サンキュー。さすがね。マルコ君たちは危ないことしていない」


「うん。ユリナ様から「命大事に」を命令されたからって、感動しながら変な気合が入っているけどね」


ミールやマルコ君たちは、教会のことも調べてくれていた。


今、司祭が1人、この街に来ている。ミールを助けるとき喧嘩した強欲騎士ベノアと同じ街からだ。


もちろん、お金が大好き。


訪れた理由は私。


ライナーと手を組み、この街を訪れる私の回復術を自分のいいように使うのが目的だ。


「ところで、その司祭の治療魔法の腕は」


「聖魔法は並。得意なのは光属性の攻撃魔法ジャッジメント。名目上は男爵夫人、つまりライナーの母親を救うために来た。なんの役にも立っていないけどね」


「そうなんだ。そんな司祭を連れてくるようじゃ、かなりグレーよね」

「ユリナ様との約束も守る気はないよ」


「ま、そもそも、亡くなってるアリサを連れて来いって言っている私も、アレなんだけどね」


「じゃあ。やっぱ、相手はユリナさまにアリサさんが見つかったって言って、騙す気だよね」


「それしかないよ」


「本当に見つかって、アリサさんがユリナ様に追放者は家族だってばらせば、やっぱり敵になるしね」


「普通はそう。それでも私の回復術をあきらめないか」


「ねえ、ユリナ様。ライナーは母親のためにリスクを負ってユリナ様に接触したんでしょ。親子の愛情って、そんなにすごいのかな」


ミールは実の親から教会に金で売られいる。


親子の絆なんて信じられないんだろう。


「別に、それは人ぞれぞれ。現にアリサは家族に虐げられた。ミールに大事なのは、これからの人間関係だよ」


「そうだね。今はユリナ様もスマトラさんもいる。マリオ達も一緒だしね」


「だね。ミールも家族を作るとき、子供や旦那さんに全力で愛を注ぐんだよ」


「ユリナ様も?」

「私はダメかな。スキルの影響で子供を産めないと思う。大切にしてくれた男も放って逃げてきたロクデナシだよ」


「・・そうなんだ」


「そんでもさ」


ミールの手を取った。


「スキルのお陰で、こんな素敵な妹もできた。次はミールの子供に会うのが、楽しみだね」


「私の子供?」


「そうだよ。私もミールの赤ちゃんだっこして、甘々に接するの」


「私の子供見たい?」

「うん、すごく見たい」


「分かった。すごく頑張る。そんでユリナ様にいっぱい見せる」


この会話のせいでミールがとんでも行動に出るのだが、今は気に止めてなかった。


◆◆◆

一度、ミールと別れて2日後に合流となった。


だけど、次の日に見逃せない光景を目の当たりにした。


正午だ。


街の広場のステージで1人の男の子がさらされていた。


お祭りのステージにもなるけど、公開処刑も行われる場所だ。


聖騎士3人に引かれていた。


教会と女神マリルートをないがしろにしたと、わざわざ司祭が罪状を読み上げている。

司祭の名はグレイ


容疑者の名前はミシェル。


「闇魔法を使うこの男は女神マリルートの教えに背き・・・」。

どうでもいいような、ささいな内容。


完全に言いがかり。

こういう人間を見捨てられない、私をおびき寄せるための罠だ。


ミールやマルコは、間違いなくいる。

ただ隠蔽中は、私には見つけられない。


「このいかにもな断罪イベント。ま、助けるの一択。ステージへのご招待を受けるか」


人混みをかき分けて歩く。


「ミール、聞こえているなら私1人に行かせて」


私はマントを頭から被り、身長を普段の160センチに戻した。


黒いフードをかぶった。人混みをかき分けて高さ1・5メートル、幅10メートルのステージに近づいた。


「何ですか、あなたは」

「その彼の罪状は何?かなり怪我をしているから、治してあげたいの」


「ほう、単刀直入ですね。もしや、あなたがユリナですか。聖属性も持たぬくせに「聖女」を名乗り女神マリルートを蔑んでいると聞いております」


すでに司祭と話す気がなくなり、ステージ上で聖騎士に拘束されている男の子に問いかけた。


「あ、え・・」


そして目を見てドキッとした。


こんな状況なのに私の方を真っ直ぐに見てくるのだ。


なぜだろう、ほんの一瞬の邂逅なのに、泣きそうになった。


「ミシェル君、よね」


「あんたは?」


「ユリナ、あなたのスキルはなに。よければ教えて」


「闇属性の適正E、目くらましの「ダーク」を1日に5回使える程度の低級冒険者だよ」


「そう、教会にいいがかりをつけられたのね」


「ああ今朝、うさぎ狩りに行こうしたら、財布を盗んだと聖騎士に言われた」


ミシェル君の顔には殴られた跡がある。



私が100倍にして返す。




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