表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
11/188

11 やっと帰れる

私を助けてくれるソフィーは、165センチのハーフエルフ。


ハーフエルフの最大の特徴。性別が男女両方を兼ねている。


下半身にも両方付いてるらしいが、見たことはない。


冒険者には色んな人がいるから、ハンデにはならない。

むしろ男女問わずモテている。


顔も整い、私との共通点は胸の大きさが普通というだけ。生き物として、違いがありすぎる。


「今回はAランク昇格のポイントを稼ぐために、同じ目的のBランク3人と臨時パーティーを組んで、貴族の依頼を受けたの」


「それが、この特級ダンジョン8階?オークしかいないよ」


隣街の貴族の長男が、結婚3年でまだ子供ができない。


強壮剤で知られる高レベルなハイオークの睾丸を依頼された。


捕獲に適しているのが、このエリア。


依頼は4匹分、タマタマ8個。


「あと1匹が捕まらないんだよね」


「あ・・」


「どうしたの?」


臨時パーティーを組んだ4人が、一斉にこちらを向いた。


「ここまで逃げて来るとき、冒険者の遺体を見つけて収納指輪を拝借したの。これって犯罪?」


ダンジョンで見つけた遺体の遺留品は、発見者に所有権があるそうだ。


縁がなさすぎで、そんな決まりも知らなかった。


「良かった。その中にオークが何匹か入ってる。それを見て」


私が出した、一匹だけ大きなオーク。それを見たソフィーは唸り出した。


「これは・・。ガンズ、分かる?」


2メートルのムキムキさんに話を振った。


「おお、これはハイオークじゃない」


「残念」


「ハイオークの上位種のオークジェネラルだ」


「違うんだ・・」


「けど、依頼はハイオーク以上のキンタマならOKになってる。これなら依頼達成の上にボーナスが出るな」


「なら、使ってよ」


「ダメよユリナ。普通に売っても、かなりのお金になるよ」


けど、早く地上に出たい。


「じゃあさ。このオークジェネラルは、私が地上につれていってもらう依頼料代わり」


普通に考えれば、私1人でダンジョン脱出は困難。安全の対価、つまり護衛料として考えると、安いものだ。


捕まえるのは大変だけど、魔物相手なら勝てる。


「ユリナがいいのなら、そうさせてもらう。みんな、それでいい?」


「うん、双方にメリットがあるね」


私と一緒に地上まで行ってくれるのは、土魔法使いソフィー、剣士ガンズ、水魔法使いリューイ、自称忍者のマリーで4人だ。


日は暮れないエリアだが夜営をした。


「ユリナ、見張りありがとう。あと3時間休んだら出発するわ」


「うん。いつでもOKだよ」


「あなた、半月以上もダンジョンを彷徨っていた割には元気よね」


「えへへ」

「寝なくて大丈夫なの? 肌の色もピンクで艶々だし」


手を握られた。


「拾った収納指輪に食料も入ってたこ」


実は、スキルを得てから寝食は必須ではなくなった。


「超回復、等価交換コンボ」、全ての不調を治してくれる。


空腹と眠気も対象なのだ。


気持ちが疲れたときだけ、その場に座って、保存食を口にして眠った。


そして魔物に食いつかれるオリジナルの「モーニングコール」で起きていた。


私は、致命傷を負っても復活できる。


たった今、ソフィーの左手に少し異変を感じた。


彼女が私の手を握っているのは、右手なのに?


「ソフィー、左手の親指を見せて。傷がない?」


「ああ。これは料理番のときにナイフで付けた傷」


「戦闘じゃないんだ」


「戦闘では、近接型のガンズとマリーに打ち身があるかな」


「・・手を見せて」


「治せるの?」


「分からない。スキルを得たばかりだから、知らないことだらけ」


ソフィーの手を取って心の中で唱えた。


『超回復』


「あ、一瞬で傷がなくなった。ありがとう」


「良かった。効いたんだ。大した傷は治せないと思うけど、役立てるかも」


ソフィーに言って、他の3人の傷も治した。


マリーが左の耳から首にかけて青い入れ墨を入れていた。そこに変な反応があった。


「マリー、この入れ墨みたいなの消しても大丈夫?」


「・・無理だと思うけど、やれるならお願い」


『超回復』ぱちっ。


「うそ・・」


どうも入れ墨というより痣だったようだ。

消すとマリーにすごく感謝された。良かった。


ダンジョンを出る前に『超回復』を人に試せて良かった。


接触した相手の異常箇所が分かるのも収穫だ。


感謝され、もらったスープを飲んだら、暖かさが体に染み渡った。


「食」で心を満たされるとは、こういうことだった。


忘れてた。


マリーは痣が消えて、かなり喜んだ。過剰なほどに守ってくれた。


そして、わずか2日後には、地上にたどり着いた。



https://www.alphapolis.co.jp/novel/295429334/506718241


アルファポリスで先行しています

読んでいただきありがとうごさいます

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ