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テーマ詩集:酒場

幕末の人斬り

作者: 歌川 詩季

 侍、好きです。

 あたしが 幕末の人斬りだったら

 なんのために 刀をふるうんだろう


 木がまっすぐにそだつために

 いらない枝を きりおとすみたいに


 あたしは 今宵も人を斬る

 ごめんね べつに あなたのことは嫌いじゃないよ



 ざばらんっ ばたんっ

 あたしの刀の名前は「高枝切鋏(たかえだきりばさみ)


 擬人化したら 葉っぱみたいな緑のアフロをしたやつだ

 世界観があわないから あんまり呼び出さないけど

 サングラスをはずすと 意外と可愛いめをしてる


 え? ()のかたちと こしらえ?

 よくわかんないけど ここにシールがはってあるじゃん

 ステンレス製だって!

 棒のところはアルミだから 軽くって

 あたしでも ぶんぶか ふりまわせるよ



 ざばらんっ ばたんっ

 きょうも たいへんなものを斬ってしまった


 人と そのきもちと その人へのきもち

 あたしは すごくたいへんなものを斬ってしまった



 きりおとされた枝が 木のねもとにころがって

 いつか つちにかえった そのときは

 また 木のいちぶに もどってこれるんだよ

 そんなの なぐさめにもなんないかもしれないけど


 いまはまだ

 きりおとされた枝が 木のねもとにころがって

 その葉っぱは 秋でもないのに真っ赤だったから

 あたしは 木のねもとをみるのを

 もう やめちゃった


 木のてっぺん そだっていく そのさきだけをみよう

 いくつも 真っ赤な()がなってたのに


 木のねもとにころがっていた

 きりおとされた枝の その葉っぱと

 なんだか おなじ色をしてたから

 あたしは くちにしなかった

 のどはかわいてるけど えんりょしとく


 ()の色を

 ちゃんと知ってて かじってるやつらも

 ()の色に

 ぜんぜんきづかないで かじってるやつらも


 真っ赤なくちびるして

 にかって わらってればいいよ

 あたしは そのために今宵も人を斬るんだから

 きょうも たいへんなものを斬ってしまった



 あたしが 幕末の人斬りだったら

 なんのために 刀をふるうんだろう

 ある日 それがわかっても

 あたしは 刀をふるいつづけられるんだろうか


 枝をきりおとしてまで

 まっすぐそだてようとしていた木が

 いつのまにか ゆがんでのびていたのだとしても

 あたしは それでも 人を斬りつづけていたのだろうか


 そのさきに 真っ赤なくちびるして

 にかって わらってる顔が たくさんあるなら


 あたしは そのために今宵も人を斬る

 きょうも たいへんなものを斬ってしまうのだろう

 それができる強さを

 あたしは はたして もっているのだろうか

 それができる強さを

 あたしは ほんとに ほしいのだろうか



 なに幕府かも よくわかんないけど

 あたしが 幕末の人斬りだったら

 そのために 刀をふるうんだってば

 ゆがんでのびた木をそだてて

 真っ赤なくちびるが 真っ赤な()をかじるために


 ざばらんっ ばたんっ


 あたしは そのために今宵も人を斬る

 ああ そして きょうも

 あたしは たいへんなものを斬ってしまった

 時代劇や、時代劇コミック。

 そんなにみないけど、けっこうおもしろい!


☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★☆★


 これ、即興で、歌ってみたら歌えた!

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あたしの妖刀

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制作:冬野ほたる先生

挿絵(By みてみん) 制作:あき伽耶先生
― 新着の感想 ―
[一言] なんだか、面白いですね。歌なんですねえ。 時代劇じゃないけれど、十三代目石川五ェ門も混じっているかもしれない。
[良い点] 人斬りの主義主張を 剪定の一般論に上手く置き換えている点 「きりおとされた枝が 木のねもとにころがって  いつか つちにかえった そのときは  また 木のいちぶに もどってこれるんだよ」…
[良い点] 幕末の「人斬り以蔵」と、「高枝切鋏たかえだきりばさみ」とのコラボが、大変に面白いです。 [気になる点] 無 [一言] 無
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