甘さ
短めです
そいつはこの状況を全く気にせずに話し始めた
「君が僕のクマ殺したんでしょ?」
「...」
圧倒的な力を前にして話すことが出来なかった
以前の世界では、強さには限界値みたいなものがあった
負けないボクサー。最強の武将。そんなものとは全くの別物
それはまるでコミックだ
「あれ、固まっちゃってる」
「僕は今気分が良いんだよ(笑)」
気分がいい?
コイツがそう言うのならそうなんだろうか。
確かに泣き叫ぶエリーザ嬢を殺してもおかしくない雰囲気はある
「良いことが多いんだ。クマを殺したのも別に怒っているわけじゃないんだよ。嬉しくて誰が殺したのか見に来たんだ(笑)」
「最初は勇者の末裔が十戒の動きを気にしてもう一回立ち上がったのかと思ったけど君はルーツが違うようだ」
「十戒?」
物語で聞いたことがあったワードに反応して反射的に言葉が出た
「そう、知らない?十戒は魔王様の直属的なあれだよ。で今回復活したのが、魔王様の命令でみんな最低1人直属を作れって言われていたその1人。ちなみに僕もその1人だよ(笑)」
「は?え?」
今度はペンが反応した
「そんなに驚くこと?もう7人今回の復活で8人目だね。と言っても僕らの感覚では最近だけど、50年前くらいの話かな?そろそろ本格的に動き出すんじゃない?彼は積極的だから」
「っ」
ペンはまた何か言おうとしたように見えた
しかし目の前にいる男の威圧がそうはさせなかった
「まぁちょっと会いに来ただけだよ。じゃあ僕を楽しましてね(笑)」
ドアのきしむ音とエリーザの叫び声がこだました。
その後衛兵が駆け付け事態は収拾した
十戒の情報は冒険者ギルドに伝えられ各地へ伝達されるだろうが今現在対応できるような組織はないらしい
ただ候補はいるようでそれにあたるそうだ
俺は衛兵たちが作業をしているうちに少し落ち着きを取り戻し考えていた
今やるべきことを考えていたのだ
当然労働者組合は多くの人を助けるだろう
しかし今自分が本当に力を入れるべきはそこじゃない
Bランク冒険者なんてわけない
自分は強いと思っていた
実際強いと思う。だからこそ俺が動かなければならないんだ
また力のる良さと心の強さは違うということを改めて認識した
『恐怖』忘れていた感覚だ。
一度死んで生き返ったことによって生への執着が芽生えてしまったのだ
こんなことでは駄目だ
この世界での死線をくぐっていく必要がある
また1からの勝負だゆっくり生きていこうと思った
でもやっぱりこういう世界に足を踏み入れるのだ
「嫌いじゃない」
領地拡大編は終了です。
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