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俺の家の何かがどこかと繋がっているシリーズ

俺の家の引き出しが他のとこの引き出しとつながってる

作者: 仲仁へび



 俺の家の引き出しが、なぜか色んな家の引き出しとつながっている。

 たぶんこの世界には、予想外に引き出しの締め忘れをする人が多いんだろうな。

 俺の家の引き出しが繋がる先は、俺と同じように引き出しを締め忘れた人のだけ、みたいだ。

 ちなみに、引き出しが開く距離は、相手が開いた引き出しの長さ分だけ。


 数センチだけ締め忘れている引き出しとつながった時は、俺の引き出しもそれくらいしか開かない。

 けど、閉め忘れ……というより全開にしてある引き出しだと、俺の引き出しも目いっぱい開ける事ができる。


 ま、だからといって何が便利になるってわけでもないしな。


 俺にはお邪魔したい友人も、面倒をみている幼馴染もいないし。


 でも、暇つぶしにはちょうどいいから。

 たまにちょっと引いてみる。


 大抵は。


「ああっ、もっとあなたと深くつながりたいわ! ――(※文字にできないよ)で、――(※良い子は閲覧禁止)よ!」


 大人なシーン展開中だったり。


「ふははははっ、この目に宿るマガンがカオスを呼んでいるのだっ!」


 思春期の中二病練習が展開されてたりする。


 たまに、


「あんのパワハラ上司めっ、出世したてら見てろよ。私の仕事全部おしつけてやる。あの禿げデブ野郎」


 暗黒面に落ちそうになっているOLの呟きが聞こえてきたりもする。






 引き出しが他のとことつながるようになったって、大したメリットがあるわけでもない。


 しょうもない事ばっかだ。


 でも、たまには鬼気迫った場面もあるわけで……。


「おい、早く金を出せ。じゃないとこの拳銃が火を噴くぜ!」


 とか。


「きゃあああっ、おばあちゃんしっかりして。どうしよう! 急に倒れちゃうなんて!」


 とかいうのもある。


 そのたびに俺は。


「うぉぉぉぉ、おっまわりさーん。助けてー」


 スマホに向かって、他力本願したり。


「うぉぉぉぉ、救急隊員さーん、たっすけてー」


 更に他力本願したりだ。


 俺がやれ?


 いやいや。


 出来る事があるわけないじゃん。


 ただの一般人なんだから。


 というか俺の引き出し狭いから、繋がってても、何か見るか、何か聞くだけ。


 手と腕とか入るけど、体が入らないから物理的に行動しようがないし。


 なのに、そういう事考えてる時に限って、引き出しが全開で開いてたりして。


「きゃあぁぁぁ、家事よ! 誰か助けて。私動けないの!」


 頼みの綱の携帯も繋がらなかったりするので。


「うぉぉぉ! ちくしょぉぉぉ!」


 死ぬ気でホース持ってきて水流しこんだり、近くに倒れた人の腕を掴んで気絶から起こしたりしなくちゃならないんだよな。



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