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24 尋問2

「え? あの、お姉様、何で服を破る必要が?」


 もしもお姉様が女性でなかったらそっち方面の尋問を疑ってしまう展開だわ。


「GA」


 任せろとばかりに頷くお姉様。一方上半身裸にさせられたロネンサは目に見えて余裕を取り戻し始めた。正体を表した先生もそうだったけど、吸血鬼がそっち方面に強いって話は本当みたい。


「そう言うことに興味があるとは意外ですわね。でも貴方に私を満足させることができるかしら?」

「GA?」


 お姉様のあの何言ってんだこいつ? と言わんばかりの顔。どうやら私とロネンサが想像してるような展開ではないみたいね。


 お姉様は色紙に文字を書く。


『質問に答えるなら、今が超オススメ』

「お断りしますわ。偽王風情が誇り高き吸血鬼に命令するのは止めてくださるかしら」

「ちょっといい、ずっと気になってたのだけど、その偽王というのは何のことを言っているの?」


 確か先生もお姉様のことをそう呼んでた気がする。


「ふん。この人間は事もあろうに我らが偉大なる王を喰らってしまったのですわ」

「え!? お姉様魔族を食べたんですか?」

「GA、GA」


 嫌そうに首を左右に振るお姉様。私はどういうことかとロネンサに視線を向けた。


「我ら魔族が従うのは純粋なる魔の力、すなわち龍ですわ。ああ、偉大なる邪龍バルダード様。下等な人間風情に封じられるとはおいたわしい。今この私がその女の腹をカッさばいてお助けいたしますわ」


 暴れるロネンサの動きに合わせて鎖が激しく音を立てる。


「と、言ってますけど?」

『ドラゴン、いっぱい倒したからどれのこと言ってるのか分かんない。マジすまぬ』

「き、貴様ぁああ!!」


 ロネンサが鬼と呼ぶに相応しい形相をして見せる。


「と、とにかく、お姉様の中に信仰の対象がいるのなら、お姉様に従った方が得じゃないの?」

「下等な人間を相手に? ふん。あり得ませんわね」


 そうは言うけど、長年潜伏していたのに今回のような無謀な襲撃事件を起こしたあたり、複雑な心境が垣間見える気がするわ。


「私たちもロイとクルス君を取り戻すのに必死なの。協力を拒むなら相応の覚悟はあるのね?」

「小娘共が偉そうに」

「……協力はしないのね?」

「くどいですわ」


 お姉様がズイッと前に出る。


『ファイナルアンサー?』

「だからくどいと言ってますわ」

『ファイナルアンサー?』

「しつこーー」

『ファイナルアンサー?』

「ファ……ファイナルアンサーですわ」


 ……その程度で屈するくせに何で尋問に耐えられると思ってるのかしら?


 今からでも素直に協力してくれないかなと思っていると、お姉様がロサンヌの顔の前に掌を広げて見せた。


「? 何ですの?」


 私とロサンヌが訝しみながらもお姉様の手に注視していると……ニョキリ、とお姉様の掌から小さな足が生えた。あれは……蜘蛛? 緑色の二匹の蜘蛛がお姉様の掌から生えた。


「なっ!? ま、まさかそれは……傀儡蜘蛛!? こ、この化け物!! なんてものまで取り込んでますの!?」


 血相を変えたロサンヌの胸に蜘蛛が飛び乗る。蜘蛛は衣服を剥ぎ取られたロサンヌの胸にくっつくと、水の中に潜るように皮膚の中に入り始めた。


「ヒィイイイ!? ヤダヤダ! 止めさない! 止めさないですわ!!」


 尋常ではなく暴れるロサンヌ。そんな彼女の口の中にもう一匹の蜘蛛が飛び込む。


「~~~~!?」


 吸血鬼の体がビクン! ビクン! と振るえて、やがて白目を向いて動かなくなった。


「お姉様、ロサンヌはその、だ、大丈夫なんですか?」

『命に別状はナッシング。後は一日放置しておけば何でも喋ってくれるようになるよ』

「そ、そうですか。それじゃあ一先ず……上に戻りましょうか」

「GA」


 私とお姉様は気絶したロネンサを放置して、地下室を後にした。

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