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19 授業

「あら、魔法の天才さん。随分遅かったですわね。怖気ついたのかと思いましたわ」


 授業に遅れた私達、というかお姉様にロネンサが挑発的な笑みを投げかけてくる。……やけにお姉様を敵視しているわね? 一体どんな話を王子に吹き込まれたのかしら?


「GA?」

「ふふ。まともに喋れない貴方がどんな魔法を使えるのか、興味ぶか……きゃああ!?」

「お、お姉様!? 何しているんですか?」


 ロネンサに顔を近付けて何やら匂いを嗅ぎだすお姉様。私はそんなお姉様の首根っこを掴んでロネンサから引き離した。


「まったくなんなんですの?」

「すみません、いつもはこんなことしないんですが」

「ちゃんと躾けておいて貰わないと困りますわ」


 なによ、お姉様を犬みたいに言ってくれちゃって。


 私が一言文句を言ってやろうとしたらロイが間に入ってきた。


「ほら、二人とも先生達が怖い目で睨んでるよ」


 本当だ。ターニャ先生だけならまだしも、いつもはおっとりしているミララ先生まで、妙に怖い顔でこちらを睨んでいるわ。


「ふん。精々メッキが剥がれないように気を付けることですわね」


 そう言って私達に背を向けるロネンサ。格好つけてるけど、多分怒られるのが嫌で引き下がったわね。


「ほら、お姉様もこっちですよ」

「GA、GA」


 お姉様は何か言いたそうにしてたけど、色紙に文字を書かないので、それほど重要なことじゃないのだと思う。


 私達生徒は先生二人の前に整列した。


「さて、皆さんもご存知の通り、魔物が跋扈するこの世界において人間は力を求められます。力なき者に民は決してついて来ません。貴族は強くなければならないのです。今日の訓練ですが、模擬戦闘を行います。いつものようにミララ先生がリングに防御魔法と身代わり魔法を掛けてくださるので、それを付けて陣の上で戦うように。では最初は……」

「先生。転入生の実力が見てみたいですわ」


 ロネンサがまた余計なことを言う。


「そうですね。ロイ君は良いとしても……ヘレナさん? 無理はしなくて良いのですよ?」

『ここから始まる私の伝説』

「あっ、大丈夫そうですね。それならまずは……」

「では、先生僕から」

「分かりました。では相手ですが立候補はいますか?」

「俺がやるぜ」


 手を挙げたのは鍛えられた鋼の体に整った顔立ちの男子。格闘魔法の使い手であるクルス君だ。クルス君はこの教室で一番体術の成績が良い。あと、ちょっとバトルマニアっぽいところがある。


「噂に名高いガルーダ辺境伯の息子。どんなもんか興味があるぜ」


 鉄甲をはめた拳をぶつけてニヤリと笑うクルス君。一方のロイは普通の両刃の剣とは違う反りのある細身の剣を腰に下げた。あの剣は確かーー


「刀か、そんなもん使えんのか?」

「大丈夫。そんな心配はすぐに出来なくなるから」


 ロイったら凄い自信。でも大丈夫かしら? クルス君は本当に強いのだけど。


「お姉様、ロイは大丈夫ですよね? ……お姉様?」


 ヘレナお姉様はジッとロマンサを見つめてる。どうしてそんなに彼女が気になるのかしら? 私が不思議に思っていると、


「始め!!」


 二人の試合が始まった。

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