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17 天才設定

「そんなわけでお姉様は魔法の天才ということになってしまいました」

『照れる』


 今の会話のどの部分に照れる要素があったのかしら? 聞いてみたい気もするけれど、クラスの皆が遠巻きにこちらを伺っているし、早いところ本題を片付けた方がいいわね。


「でも実際ヘレナは魔法得意だったよね? 昔よく一緒に遊んでた時はそれで僕達をその、お、驚かせてたし」

『あの時は泣かせてごめん』


 お姉様はよく魔法で水の玉とか火の玉とかを作って私達を驚かせた。別にこちらに向かって放つとか、そういうのは無かったんだけど、昔の気弱なロイは魔法の迫力を前に簡単に泣いていた。


「い、いや、あれは別に泣いてたわけじゃないよ? ただ少し驚いたからそれで、その、何というか……」

『超反省してる』

「いや、だから泣いてないからね? シルビィ、君からも何か言ってくれよ」

「え? そ、そうよお姉様。ロイは泣いてなかったわよ」


 視線でそういうことにしておいてとお姉様に訴える。お姉様はーー


『了』


 と応えた。


「ほら、お姉様も分かってくれたみたいだし、話を戻しましょう。ね?」

「そ、そうだね」


 ロイはまだ少し納得してない感じだ。久しぶりに戻ってきてからずっと別人みたいに大人びてたからちょっと可愛く見えちゃう。


「……シルビィ? 何で僕の顔を見て笑っているのかな?」

「え? やだ、私ったら。ごめんなさい。深い意味はないのよ」

「そうかい? なら、いいんだけど」

「それよりも、今はお姉様よ。お姉様……」


 一応、周りを確認して声を顰める。


「実際今のお姉様の魔法のレベルはどれくらいですか?」

『ドラゴンの丸焼きが作れます』

「そ、それは凄いね」


 ロイの顔が軽く引き攣る。ドラゴンの鱗は硬く鋼は通さないことは勿論、炎や冷気にも強いことが知られている。そのドラゴンを丸焼きにできる火力。一体どれ程のものなのかしら。


「いいですか、お姉様。お姉様は授業では絶対に本気を出さないでくださいね」

『天才設定は?』

「本気を出さなくても十分ですから」


 家で予想以上にうまく生活出来ていたからか、ちょっと油断していたかもしれないわ。今更になって、戦闘訓練も行わなければいけない学校生活はまだ早すぎた気がしてきた。


「はい、皆さん。授業を始めますよ。席についてください」


 先生が着席を求める。不安はあるけれど最初は座学の授業。ここはお姉様を信じるしかないわ。


「お姉様、多分先生もお姉様の事を気遣って下さるので、寝るくらいなら何も言わないと思います。だから眠くなったら寝ちゃってください」

『いや、授業受けるし~』


 お姉様は自身満々に色紙にそう書いているけど、多分寝ると思う。私はそんな確信と共に席についたのだけれどもーー


「あ、あれ?」


 意外なことにお姉様は座学の授業を寝ることなく真面目に受けきった。

  

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