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16 挨拶

「今日からこの学校に編入することになったロイ•ガルーダです。よろしくお願いします」

『ヘレナです。よろしく~』


 クラスの皆の前で編入の挨拶を行うロイとお姉様。二人が同じ教室なのは偶然ではなくてお父様が何かしたのだろう。


「見ての通りヘレナさんは事故の後遺症でうまく話せません。皆さんはその辺りの事情を汲んで、何か困ったことがあれば彼女に手を差し伸べるように」

『よろしく~』


 担任のターニャ先生の言葉に合わせてお姉様が色紙に新たな文字を書く。それにしてもこうして見ると、お姉様文字を書くのが凄まじく早いわね。


「それでは二人の席はーー」

「すみません。ターニャ先生、質問があるのですが」

「あら、何かしら?」

「ヘレナさんが十歳の頃から六年間も魔の森で過ごしたというのは本当でしょうか」


 いきなり突っ込んだ質問をしてきたのは、真っ赤な髪をツインテールにしたロネンサ。ロロド王子を好いてる変わり者で、お姉様についてもあることないことロロド王子に吹き込まれているに違いないわ。お姉様、ここは彼女の相手はせずにーー


『本当だよ~』


 ……お姉様ならそう応えますよね。


 ザワリ、と教室が騒がしくなる。


「貴方達、静かにしなさい」

「でも先生、十歳の子供が魔の森で六年も生活できるなんて絶対におかしいと思います。ひょっとしてヘレナさん。魔物に育てられた人間の敵なんじゃないですか?」

「「「ええっ!?」」」


 そこいらでそんなの怖いわ。と言った内容の声が上がる。


 皆、勝手なことばかり言って。二人の編入初日に波風立てたくはなかったけれど、ここは私がーー


「ヘレナが人類の敵でないことは僕の父であるガルーダ辺境伯が確認済みだ。それとも君は僕の父まで魔物の仲間と言うつもりなのかな?」


 ガルーダ辺境伯は日々成長する魔の森の進行を精力的に阻止することで民衆からは英雄視されている。また、王都から離れた場所に広大な領地と精強な兵を持つガルーダ辺境伯には国王である陛下も強く出られないともっぱらの噂だ。


 そんな人物の名前を出され、さすがのロネンサも怯んでいる。


「それは……そんなつもりはありませんわ。ただ私は魔物が蔓延る森の中で十歳の子供がどうやって生き残ったのか、それが知りたいだけですの」

『弱肉強食のサバイバルを勝ち残りました』


 お姉様ったら、もっと他に言いようはないのかしら?


「だからそれが不可能だと言っているんですわ。それとも貴方には何か特別な力でもありますの? もしもあると仰るのでしたら、それをこの場で証明してくださいな」


 ロネンサの言葉にお姉様は一度考えるように首を傾げると、おもむろに右手を持ち上げた。


「って!? お、お姉様!?」


 まさかここで右手をドラゴンに変えるつもり? それは悪手だ。それもとんでもない。


「ヘレナ、ここで力を見せる必要はないよ」


 ロイがそっとお姉様の右手を降ろさせる。それにホッとしたのも束の間、気付けばクラスの皆の視線が私に向けられていた。


 なんで……って、急に大声上げながら立ち上がったからよね。


「えっと、その、お、お姉様は小さい頃から魔法の天才なの。お姉様の実力を知れば皆もきっと納得すると思うわ」


 言うことを言って席に座る。ちょっぴり頬が熱い気もするけど、きっと気のせいね。


「GA」


 何やってるの? と言わんばかりのお姉様の視線がちょっと納得いかない。というか、ロイはいつまでお姉様の手を握っているつもりなのかしら?


 ほんと、納得いかないわ。


 

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