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Assassins  作者: 悪町龍千
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第5話「拷問の先」

第5話ですけど時系列的には第4.5話くらいだったり。

 強力な暗殺コンビ、マッドAIバイクを退け、なんとか屋敷へと戻ることが出来たケイ達。大広間にてメドゥが帰ったコールを高らかに挙げる。


「ただいま戻ったぞ!」

「ただいま…」

「おかえりでござる!」


 出迎えてくれたのはサムだった。


「むむっ!ケイ殿。怪我をされておるな。某にお任せあれ!」

「ああ…サム…じゃあ…お言葉に甘えるとしよう…」


 傷だらけのケイを治療するサム。忍者として己の人生を捧げたサムは、他人の治療など朝飯前なのだ。


「…よし。これで大丈夫でござる。」

「ありがとう…カータはまだ戻っていないのか?」

「カータ殿はまだ戻っておらぬ。だが、そう時間は掛からんでござるよ。」

「そうか。リーダーとガイは?」

「リーダーとガイ殿は警備中でござる。某もすぐに警備に戻るでござる。」

「わかった。まだ寝るまでは時間がある。私も同行しよう。」

「おーい、サム。土産をやるからこっちにこんか?」

「ぬっ?某に土産とな。」

「これじゃ!なんでもニホンの忍者が使っていたシェリーケンと言うやつらしい!」

「おお!手裏剣でござるか!土産用に殺傷力零のものでござるな。ありがたくいただくでござる。」

「気に入ってもらえて何よりじゃ。」

「よし。では某は警備に…」


 サムが振り返る。しかし、目の前に現れたのはドアではなく、見慣れぬ黒装束を着た忍者であった。

 忍者は小太刀で横一閃にサムを斬ろうとする。

 しかし、瞬時に状況を把握したサムはこれをバク転で回避する。


「ちっ、仕留め損なったか!」

「なっ、なんじゃ!何が起こった!」

「まったく気配を感じ取れなかった…」


 メドゥとケイが驚く。屋敷の警報装置は一切作動していない。この忍者は屋敷の警報も、優秀な警備にも勘付かれることなくこの大広間に現れたのだ。


「ぬぅ…お主!何者だ!名を名乗れ!」

「名乗る名など貴様にはない!我らが敵!サム!覚悟!!」


 忍者の狙いはどうやらサムのようだ。


「何!?某を…おのれ…ケイ殿!我らが主をお守りください!」

「あっ、ああ!わかった。メドゥ、こっちだ!」

「うむ!」


 ケイとメドゥが大広間の奥に向かう。


「ケイ殿、お嬢様。こちらへ。」


 奥で控えていたスズキがデスクの下へと手招きした。


「爺やは気付いておったのか?」

「いえ…まったく…ケイ殿は?」

「私もだ…サムを通して知ってはいたが…あれが忍者か…」


 その会話間にも忍者同士による一進一退の攻防が繰り広げられていた。


「…そうだ。リーダー!聞こえるか!」

『……ああ聞こえるぞ!どうした!」

「大広間に敵だ!忍者が網をすり抜けてきた!」

『何!?ということはこいつらは囮か!』

「リーダー!?戦っているのか?」

『ああ!突如として忍者の軍勢が現れたんだ。警報も鳴っていない!今、ガイとともに交戦中だ!』

「わかった!じゃあ、目の前の敵に集中してくれ!通信を切る!」

『了解した!なるべく早く援軍に行く!』


 通信を切ったケイ。依然としてサムと忍者の攻防は続いていた。


「はー!チェイサー!!」


 忍者の掌打がサムの胸を捉える。


「なんの!」


 サムはこれを回避、逆に手裏剣で首元を狙う。


「むおっ!?…痛く…ない?」

「なぬ!?はっ!しっ、しまった!あれは先程もらったお土産の手裏剣でござった!」


 まさかの大ボケに、ケイは危機感を

持っていたが、逆にメドゥは笑ってしまった。


「あいつの天然なところはどうにかならんのか…」


 これまでもサムの天然が原因で危機に陥ったことは幾度もあり、そのことに関する天然の危険性はケイがよく知っていた。


「なんだかわからんが好都合だ!死ねェ!!」

「とおっ!そう簡単に死んでたまるか!」


 だが、天然であろうともサムは忍者。そう安々と負けることはない。忍者の攻撃を難なく躱した。


「ぬぅ…しぶとい奴め…だが、あのお方の障害になるものだ…なんとしても始末せねば…我々の目的のために…」

「む?あのお方?目的?なんだそれは!」

「教えるつもりはない!」

「ならば無理矢理にでも教えてもらおう!早々に決着をつけるでござる!!」


 サムは印を結び始める。忍者に伝わりし伝統の技、忍法を放とうとする。


「むぅ〜…はっ!忍法『炎狼遥々《えんろうはるばる》』!!」


 そう言い放つとサムの目の前に炎が現れる。

 炎は意思を持ちある物に形作る。炎は4足歩行の獣、狼へと変貌する。


「我が猛虎丸の錆となれ!」

 

 サムは炎の狼とともに駆け出す。


「ぬおお!?」

「喰らえ!炎狼遥々!!」


 狼とサムは敵を十字に斬りつける。


「ぬわぁぁぁぁぁぁ!?」


 忍者はなんの反応もできずにやられてしまった。


「所詮は二流…いや三流でござるか。さぁ、あのお方とは!目的とはなにか!吐け!」

「ぐぐぅ…吐かぬ…絶対に吐かぬ…」

「ぬぅ…どうすれば…」

「…サム!」


 サムを呼んだのはメドゥだった。


「姫様!お怪我はござらぬか?」

「あぁ。なんともない。それよりもサム。ここは妾に任せてくれんか?」

「姫様に…ですか?それは構いませぬが…何を…?」

「ふふふ…なに、少しばかし楽しいことをな…」


 何故かはわからないがケイの背筋に悪寒が走った。




 忍者が目が覚めた時、忍者は小さくも眩しい朝日を目にし顔をしかめた。気付くと自分は拘束機能がついている椅子に座らされていた。


「ぬっ…拙者はいったい…」

「おお、目が覚めたか?それじゃあ…拷問の続きを始めようかの?」

「拷問……はっ!!」


 忍者は全てを思い出した。あの時、捕らえられ、情報を吐かせるため拷問を受け、あまりにも壮絶な拷問に耐えきれず、そのまま気を失ったということを…


「まったく…忍者は拷問に屈しないとあれだけ豪語しておきながら気絶するとわな…まぁよいか。さーて。昨日の続きと行こうか…爪穿きはもうやったし…おーそうじゃ…お主、中世にあるゲームが流行ったのを知っておるか?そのゲームはの、奴隷の骨を体の端から順に一本ずつハンマーで砕いていくのじゃ。最初は痛い、やめてくれと叫ぶのじゃが、最終的には殺してくれと叫ぶ。その殺してくれが何本目の骨で叫んでくれるのかを当てていたゲームじゃ。どうじゃ?面白そうじゃろ?なーに心配いらん…人間の骨は206本ほどあるそうじゃ、たかが10本や20本…大したことないじゃろう?」


 無邪気な笑顔を見せ、興奮するメドゥ。その姿に忍者は恐怖を覚えた。


「爺や、ハンマーは持ってきたか?」

「はい、こちらに…」

「それでは…スタートじゃ!まずはここから!!」


 メドゥはハンマーを持ち忍者の右手を叩いた。


「ぐおおおおお!?」


 忍者は叫んだ。拷問に耐える術はもちろん身につけていた、だが、彼女の拷問は常軌を逸していた。


「すまんの。一本一本やるのは手間がかかるから!右手分の骨を纏めて砕いてしもうたわ。」


 重いハンマーを振りかぶるため少女であるメドゥはすでに肩で息をしていた。


「お嬢様…変わりましょうか…?」

「いや、よい…妾のゲームじゃ…自分でやらなきゃ…意味がない!!」


 またも振るわれたそのハンマーは忍者の左手を粉砕した。


「ぐぬあああああ!?」

「まだまだゆくぞ!!」


 …ハンマーのが骨を砕く音が幾度もその部屋で響いた。頭蓋骨、肋骨、は序の口、体のあらゆる骨をハンマーは無慈悲にも砕いていった。


 そして、計147本目の骨を砕いたときだった…


「ふぅ…中々耐えるじゃないか…面白い…さーて…次は何処に…」

「あっ…あの…お方…は…」

「お待ちくださいお嬢様。何やら話しております。」

「……に…ほん…に…も…もうし…わけ…ありません…頭領…」


 その言葉を最後に忍者は絶命した。


「…にほん…ニホンか…爺や、あ奴らを集めてこい。」

「かしこまりました。」



 数十分後、お昼を過ぎた頃、邪鬼のメンバーが揃った。


「諸君、よくぞ集まってくれた。昨日、屋敷を襲った忍者たちを迎撃し、撃破したこと、改めて賛辞を贈ろう。そして、妾の拷問にかけられていたあの忍者は、先程、たった一つの情報を吐露し、亡くなった。」

「して…姫様。あの忍者はなんと…」

「あの忍者はあのお方がニホンにいることを話した。」

「ニホン…ってあの極東のー?」

「十中八九そうでござろう。」

「メドゥ。どうする?ニホンに行くのか?」

「そのことなのじゃが…爺や、妾のスケジュールはどうじゃ?」

「残念ですが、ここしばらくは空きがありません。どうされますか?無理矢理空けることも可能ではありますが…」

「いや、よい。スケジュールの穴を待とう。お主らも、妾のスケジュールが空き次第、ニホンに行くことになる。その際は追って通達する。以上じゃ。解散!」


 各々がいつもの大広間から出ていく中、サムは一人、考え込んでいた。


「サム、どうした?」


 ケイが話しかけた。


「あいや、ケイ殿。ちと考え事を…」

「何を考えていたんだ?」

「…実は、あの忍者の言うあのお方。心当たりがあるのでござる…」

「なに?本当か?」

「だが、まだ確定したわけでもないし、確証もないでござるゆえ…余計な発言で皆を混乱させたくないのでござる。」

「そうか…」

「だからケイ殿。この事はどうか内密にできないだろうか?」

「わかった。皆には黙っておく。それでいいんだな?」

「かたじけないでござる。どのみちニホンに行けばわかることゆえ…それまでは内密に…では某は行くでござる。」


 サムが去っていく。一人取り残されたケイだが…


「…何か胸騒ぎがする…いけない…私も行こう。」


 妙な胸騒ぎを感じ取るケイ。そんな不安を振り払うように彼女は大広間から歩み去った。



 

 







文字数が少なくっていますが別に書きたいことがなくなっているのではなく、書ききったらそこまで文字数が無かっただけだったり…

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