つゆ
掲載日:2017/07/07
「つゆを作ろう。」
僕の一日は友人の訳がわからない発言から始まった。
休日にダラダラと寝ていたら突然電話がかかってきたのだ。
「梅雨?今は六月じゃないぞ。」
窓の外を見る。真っ青な空に積乱雲が居座っている。
「知ってるよ。そっちじゃなくて麺つゆの”つゆ”な。」
なんで得意気なんだよ。それよりも…。
「なんで急につゆなんだ?」
「そんなの素麺が食べたいからに決まってるだろう。」
決まっているのか。というか市販のやつでよくないか?こいつは牛肉食べたくなったら牛から育てるタイプなんだろうか…。
「と言うわけで来てみました。」
「と言うわけでしゃねぇよ。」
こいつ本当に来やがった。しかも手ぶらで。
「材料は?」
「え、ないの?」
何故あると思ったのか。俺の自宅で麺つゆは製造していない。
「お前は麺つゆってどうやって作るか知ってるか?」
自信満々で聞いてくる。言い出しっぺなのでちゃんと調べてきたのだろう。偉い偉い。
「知らない。どうやってつくるの?」
知識を披露する機会を作ってやった。僕はなんていいやつなんだろう。
「俺も知らない。どうやってつくるんだ?」
…………………………………。
前途多難とはまさにこのことだろう。




