No.2 赤の他人
第二話「赤の他人」
朝五時のニュースだ。
都内のとある住宅で一家全員皆殺しにされた、というニュースが流れる。
テレビ画面をぼーっと見つめていると、少女――――如月霞の姉、桔梗が入ってきた。
「……おはよう、霞。
今日は何もないの? いつもならもう出てる時間じゃない」
「今日の学校午後からだもの。
ったく、片道三時間かかるのになんで寮に入れてくれないのかしら……
どんだけ大変な通学だと思ってんのよ、朝五時に出ても着くの八時なのよ?
HR十分前よ、十分前。忙しすぎるわよ」
「せっかく午前中暇なんだから寝てればいいのに」
「いいのよ、これでも遅く起きたつもりなんだから」
焼き立てのケーキを頬張りながら霞はテレビを見る。
何せ大金持ちの家なのだ、家はとんでもない広さを誇り、使用人の数も多い。
頼めばケーキの一つや二つぐらい、すぐに焼いてくれるのだ。
「桔梗姉さん、最近物騒な事件が多いわね」
現場で中継をしているアナウンサーを見つめながら、霞は話しかける。
「そうね……
菖蒲みたいな女が通り魔とかにもあってるようだしね」
菖蒲とは、如月家の長女である。
二十八歳で夫が居るが単身赴任で不在のため、如月家に帰って来ている。
十八年前から漫画とアニメが好きで、最近では腐女子と化していて、品格もなにもない、酷くいえば非常識の女。
料理もヘタクソで家事もろくに出来ず、知識もないが容姿端麗なのだ。
「……家にはああいうの一人で十分だわ」
桔梗は呆れてため息をついた。
テレビに映る、指名手配犯の顔写真。
こんなに平凡な少女が殺人犯に会うとは、誰も思ってもみなかっただろう。