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手違い

自分の人生をやり直したいと感じたのは、思えばいつだったのだろうか。

妹が病気で他界したときだっただろうか。

交通事故で両親がいなくなってしまった時だったのだろうか。

その時の怪我で下半身が麻痺してしまったからか

親戚達が遺産目当てで醜い論争をしているのをみてしまっなからだろうか。

もっと別の時かもしれない


「僕、生きてて意味あるのかな・・・・」

ゆっくりと目をつぶる。

多分これからもこの無機質な病院を天井をみて生きていくんだろうな。

死ぬ勇気がないから。

もう一度人生をやり直せるのなら・・・

「もう一度人生をやり直せるのなら?」

「え?」

突如、独り言に割り込んできた声に思わず驚きの声が出てしまった。

「あ、ごめんなさい。独り言が結構深刻だったからさ。」

僕、声に出していってたのか。ってそんなことより

「なんで真夜中の病院の個室にいるんですか!看護師さん・・・じゃないですよね。」

「違うよーこんな美人ナースいないって。まずここ病院でもないけど。」

「?なにを言ってい・・・・」

体を起こした僕の視界には様々な時計と歯車で構成された部屋が写っていた。

隣には銀と白の中間のような透明感のある髪の少女が一人。

うぁ、なんだこの某小説のような展開。

「これ、夢ですよね。それか完全に頭がおかしくなっちゃったとか。」

あぁ僕も終わったな。

「ちょ、ちょっと、何夢のないこといってんの。これだからネガティブは。」

うゎ見るからに年下の少女から「ネガティブは」とかいわれたし。

「そんなことより、謝らないといけないことがあるの。」

謝らないといけないこと?まずあったこともないはずだが。

「管理ミスであなたが生まれるべき体を間違えちゃったみたいなの。」

え?意味がわかんないんだけど。

「今からでも遅くないから魂入れ換えちゃおうと思ってつれてきたの。」

「ちょっと待って。わかるように説明してください!」

「んーわかんないか。」

そう言って指をならすと空中に液晶画面のようなものを出した。

「これは?」

画面内では僕と同じくらいの年、多分16歳くらいの貴族の格好の少年が威張り散らしてメイドらしき女性に何か言ってる映像だった。

「これが本当なら最初からあなたが過ごすはずだった『人生』だよ。」

「これが僕の『人生』?」

僕は貴族だったことなんてないぞ。ただの高校生だ。

「だからあなたにはこっちの人生を歩んでもらうよ。あなた、やり直したいんでしょ。」

「本当にやり直せるのかな」

「君がやり直したいと願うのなら。本当の意味で自分をかえることができるは自分だけだよ?」

少し、目を閉じていた。色々ありすぎて混乱した頭を落ち着かせるために。

そして床や壁の時計が時を刻むのをしばらく聞いていた。

「行きます、例えこれが夢だったとしても。」

「まだ夢をとか言ってる。」

とため息をつきながら再びこちらに目線をむけてきた。

「けどいい返事。」

その笑った表情はとても優しく美しかった。

「じゃあ目を閉じて。」

目を閉じると体が浮くような感覚に襲われた。

そして来たときと同じくらい唐突に『移動』した。

「頑張ってね」と聞こえた最後の声は気のせいだったんだろうか。

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