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おやすみなさい

「先輩笑ってください」

「いきなりどうしたの?」


昨日あんな話をしたから笑顔が見たくなった。

僕は基本的に気まぐれなのだ。

だから少し裸を見せて欲しいなともほんの少し考えたが。

僕は純粋なのでそんなことは言わない。

純粋な人はそんなことは考えないという言葉は受け付けない。


「何でもいいじゃないですか。はい、笑って」

「え、えっと、はい」


慌てたのか知らないが顔が引きつっている。

下手糞だ。


「頼んだ僕が馬鹿でした。いえ、馬鹿なのは先輩でしたね」

「勝手に振っといてそれは酷いよ!」

「もう少しましな顔はできないんですか」

「いきなりは無理だよ」

「じゃあ先輩のペースでお願いします」

「うん」


しばらく下を向いて表情を作っているらしい。

そして表情を作り終えたのか顔を上げる。


「これでどう?」


その顔を見て笑いそうになった。

どこがおかしいと聞かれれば、全ておかしいと答えることだろう。


「先輩は作り笑いはこれからずっと人に見せないでくださいね」

「そんなに下手?」

「鏡を貸しましょうか?」

「・・・・・・いい」


恥ずかしそうに顔を背けた。

もう少しいじりたくなってきた。

そうして先輩を泣かせるんだ!

と、最低なことを大きく宣誓してみた。

どうも虚しくなる。


「眠りましょうか」

「いきなり!?」


やる気が無くなってしまった。

もう何もしたくない。

自分のテンションの落差が激しいのは知っている。

無理に動いたら吐き気さえする。

極端すぎるな、はは。


「お~い」


先輩が呼びかけている気がする。

だけど僕の瞼はもう閉じられる。

その前に一言。


「おやすみなさい」


深く眠りにつける気がした。






「んあ~」


良く寝た。

どれくらい寝ただろうか?

時計を確認しようとしたが、巻いていない。

いつもは巻いているんだが。


「にゅ~」


隣からおかしな声がした。

そこを見てみると先輩が眠っていた。


「変な寝言ですね」


聞こえるとは思ってないが先輩の耳元で囁いた。

すると、くすぐったそうに体をよじる。

純粋に可愛く見える。


先輩の腕をとる。

そして先輩の腕に巻いてある時計を見ると3時間は寝ていたらしい。

先輩はいつに眠ったのだろうか。

僕の寝顔を眺めたのだろうか。

だったら僕が眺めていても問題はないはずだ。

そんな言い訳とともに先輩の腕をとり続けて、その顔を眺める。

とても綺麗で純粋だ。

僕はそれを守り続けよう。

僕の愛したこの顔を。


もちろん落書きはしたが。

お約束だよね!

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