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変わらない

「アホ毛の秘密は分かりましたか、先輩」


昨日は気になって眠れなかった。

まあ、嘘なんだけど。

いきなり入る会話としてはこんなものだろう。


「ううん、全く。どうなってんだろ~ね」

「そうですか。残念です」


神経とか通ってるのかな?

少し試してみたい。


「痛いよ」


先輩の髪を引っ張ってみた。

すると少し涙が滲んでいる。

流石に軽くだが、酷いかなと少し思った。


「すみませんでした」


心から謝罪をした。

伝わるかは知らないが。


「許してやろうじゃないか。ハハハ」


悪いとは思っているのだがこういう態度を取られるとイラっとする。

なので意地悪をすることにした。


「先輩顔に何かついてますよ」

「え、本当に?」

「取ってあげましょう」


ポケットから水性ペンを取り出した。

それで先輩の額に『肉』と書いた。


「なんで書いてるのかな!」


おお、怒った。

ふふん。


「というかなんでそんな物持ってるの!」

「先輩のために色々な道具を持ってきてるんですよ」

「私のためにそこまでしてくれるなんて、・・・・・・なるか!」


先輩のノリツッコミというのは珍しい。

そして最近は僕がボケなんだなと、少し驚く。

ボケは馬鹿の役割だと思っていたのだが。


「君は他にやることがないのか!」

「ありませんね」

「即答!?」


いや、本当にないし。

最近の趣味は先輩の様子を見ることだ。

中々微笑ましくなる。


「はは、面白いですね」

「笑わないでよ」

「あははは!」

「大爆笑もしないで!」


ここまで反応をくれると、からかいたくなるものだ。

先輩はどうしてこうも僕を楽しませてくれるのだろうか。

僕は先輩といる時間が一番大切だ。


「先輩、それじゃ」


だから、それを壊したいとは思わない。

あんなことを言ったけど別に何かを変えたいわけじゃない。

少なくとも今はこのまま。


「じゃあね」


後ろから先輩の声がした。

忘れていてくれて楽に進んだ。

単純っていいな。


そんな先輩が愛おしくて、少し笑った。

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