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衝撃の事実

「どうしてそうなるんですか」


先輩に勉強を教えているといつも思う。

先輩に教えるというところを疑問に思ってはいけない。

僕だって毎度疑問に思っているんだから。


「私だってよく分からないんだよ。どうしてこうなったの?」

「それを僕に聞かないで下さい」


むしろ僕がそれを知りたい。


「というかそれ中学の範囲ですよね?なんで今それをしてるんですか」

「担任に渡された」


先生は先輩を中学レベルだと思っているらしい。

しかし、そんなことはない。

だって先輩は―――、


「和って、何?」


小学生レベルなのだから。

ギリギリ高学年という感じか。

流石にそんな質問をされるとは思わなかった。


「先輩ってやっぱり馬鹿なんですね」

「馬鹿なんて酷いな。これでも必死なんだよ」

「それは分かりますよ」


それでも馬鹿なのは変わりませんよ。

そんなことを言うのは酷いかなと思ったので心の中に止めておいた。


「よく高校入れましたね、そんなんで」

「これでも中学では真面目の生徒だったのだよ」


自慢のできないことをふふんと胸を張りながら言った。

かなり育っているようで。

脳に行くはずだったものがすべて胸に行ってしまったか。

しかしそれすらも信じられない。


「今日は4月1日ではありませんよ」

「?」


皮肉が通じなかったか。

これだから馬鹿な人は、やりにくい。


「嘘はやめましょうということですよ」

「嘘じゃないよ」


まだ言ってらっしゃる。

しかも顔が割と真剣だ。

どういうことだろうか?


「ちなみに先輩。どんな人がそれを言ってましたか」

「先生」

「!?」

「そんなに驚かないでよ」


いや、真面目なら今もそうだ。

ただ集中力が足りていないだけだ。

一応は真面目にやっている。


「成績も普通だったんだよ」

「!?」

「だから驚かないでよ」


だって先輩が普通の成績だぞ!

この先輩が!


「酷いこと考えてない?」


馬鹿の癖に勘は鋭いな。


「先輩の中学校どこでしたか?」


これは先輩の中学校を疑うしかないようだ。

学校のレベルが先輩と一緒なら疑問は無い。


馬鹿ばしか中だよ」


知らないけど名前からして馬鹿そうだ。

これなら納得できた。

しかし、一つ気付いたことが。


「この高校が先輩と同じレベルだったなんて!」

「それは酷すぎるよ!?」

「確かに試験は簡単だと思いましたよ、入学生も少ないなと思いましたよ。先輩のせいでしたか」

「私のせいじゃないよ!というか、なんで受ける高校のことよく知らないのかな?」

「近かったらどこでも良かったんで。それにここら辺の高校ならどこでも受かれましたからね」

「私、ここもギリギリだったのに・・・」


先輩が少し落ち込んだ。

そう言えば教師から本当にいいのかと何でも念押しされたな。

こういうことか。


「まあ、別に楽しいからいいですけどね」


ここは、なかなか気楽に過ごせる。

平和で、静かだ。

それに、


「僕ってなかなか難儀な性格してると思うんですよ」

「?」

「分からなくてもいいんですよ」


先輩がいるから。

それだけで僕はここに居て良かったと思える。


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