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勇者一家の長男は暗殺者に職業転換したようで!?  作者: 黒嶺 夜
第2章〜地炎龍討伐〜
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第17話 : 2種職

急激に増える魔力量、突如できるクレーターに呪闇樹は反応し、レイへの攻撃を止める。


ナイルがまたあんな姿になっている。

...私のせいで。あれは私が止めなければ。

でもあれは一体なんなんだろう。

ナイルの特性と関係があるのだろうか...。


魔力量が膨大に増えた時、一緒に起こった爆風でガスが消える。

新鮮な空気を吸って回復するのに数分...。それで動ける!

逃げるより...まずナイルを助けなきゃ...。

レイはそう決意する。



⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅ ◌ ⑅


「あー...アーーー??」


ナイルにまだ自我はない。

あるのは『魔王殲滅』の四文字の端的かつ的確なコマンドのみ。

ナイルの目の前には木の化物。あれは魔物。魔王の派閥。ならやる事は1つ。


「こロ...ス...!!!」


ナイルは投げナイフを1本取り出す。

力を込め魔力をそそいでいく。


けたたましい魔力を帯びた投げナイフをナイルは構え、そして投げる。ナイフは2、3本の根を同時に斬り落とす。投げる。投げる。

〝ただの投げナイフ〟は呪闇樹の根を、いとも簡単に斬り落としていく。

呪闇樹は根を残り2本まで追い詰められる。

呪闇樹は根を地に潜らせ、ナイルの正面と背面から挟み撃ちを狙う。

ーーが。


「あーーー...!!」


ナイルは器用に体をねじらせて飛んで避ける

根は互いを攻撃し砕ける。


「あーー。アー。。」


ナイルにまだ自我はない。まだ完全に支配され、動きはコマンド通りになっている。

殺す事しか考えてない動き。その事に関しては無駄のない動きである。


呪闇樹は目の前の天敵が自分を本気で倒しに来たのだと感じ、そして実力、力の差を感じると自分のコアを逃がす事に専念する。


コア

それは魔物の全てであり、人間でいう心臓である。破壊されると生命活動が〝必ず〟止まる。

が、しかし核さえ、守れれば身体がどれだけ傷ついていても時間をかけ、年月をかけ、治せるのだ。


呪闇樹はそれを知っている。コアさえ守れれば何とかなることを。そしてナイルは範囲攻撃がない。故に地中に根を通して色んなところを行き来させておけば投げナイフがどれだけ強くなろうと根を通して動き回るコアを破壊する事は不可能だと分かっている。

ーーーいや。思っている。


しかしそれは呪闇樹の憶測にすぎない。

影狼から奪った情報で形成されたほぼ確定でもある情報だったのだがーーー。


今のナイルは違う。

今のナイルは勇者一家の血、〝魔王殲滅〟のコマンドが流れているのだ。

その情報はまだ呪闇樹は知らない。レイでさえも。


呪闇樹はコアを根を伝って移動させる。地中の根は投げナイフ如きでは確かに無理だ。

範囲攻撃で根をすべて吹き飛ばさなければ。


〝魔王殲滅〟コマンドはコアが地中を行き来していて、それを破壊しないと相手は倒れない、そしてその破壊の仕方は範囲攻撃だと。

範囲攻撃がないのは〝暗殺職〟のナイルである。

しかし今は〝2種職ドゥメティエ〟の特性で発動した〝勇者職〟なのだ。

この世の理を覆し、職を2つ持てる特性。


ナイルは魔力を練る。魔方陣を展開する。

それも特大の。普通では撃てない様な。


「ナ.......イ.....ル.......?」


レイはスキを見てナイルを助けようとして近づいた時に見てしまった。


魔方陣を練り、魔法を撃とうとするナイルの姿を。

ナイルは嘘をついていたの?範囲攻撃...。魔法を使えたの?あの力は何?ナイル...あなたはなんなの!!?レイは混乱する。


そんな葛藤があるのもつゆしらず、ナイルは勇者職の魔法を使う。魔方陣を展開し魔力を練る。


呪闇樹は困惑する。今までの情報を掻き集めてもナイルが魔法を使うという形跡は出なかった。

困惑するが対処ができない。呪闇樹は固まる。


ナイルの魔方陣は完成する。


「コろス。魔オうの仲マ。」


呪闇樹はコアをなるべく遠くにまわすが意味はない。ナイルは魔法を展開する


魔法は勇者職の物。五大属性の光の中での最上級、聖光の魔法。魔を討ち滅ぼす聖なる魔法。


眩しい光と、けたたましい爆音とともに地面がえぐれる。範囲は呪闇樹周辺だけとやや小さめだが威力が絞られており、地中まで光の属性が爆発する。呪闇樹のコアは破壊される。たった一撃の魔法で沈んだのだ。


こうして呪闇樹の討伐の依頼はおわった。時間を固定された人は戻った事だろう。

ーーーーが。ナイルはでコマンドに操作されているナイルは止まらない。何故なら近くにまだ〝魔王〟に関係のある者がいるのを察知したからだ。


「ナイ.....ル...。」


レイだ。レイは信じられないような物を見た。という言葉がしっくり当てはまる顔をしている


「魔法...使えたの?.....あの光魔法はなに...!?」


レイの聞きたい事がありすぎる。どうしても分かっていたい。パーティなのだから。


しかしナイルの自我はない。ただただ操作されているだけ。そして目の前には魔王に最も近い者。コマンドは正常に稼働する。


レイがナイルに近づこうとした瞬間。

ナイルは手に持っていた投げナイフを投げる。レイに向かって。レイは武器を持っていない。止められない。動けもしない。飛んでくるナイフに抵抗ができn.........


キィイン!!!


ナイフがレイに当たる前に金属音が鳴り響く。


「あーーー.....アー??」


ナイフは盾で止められていた。王族の印が付き、〝勇者の紋章〟が付いた盾で。その縦の持ち主はーーーー


「何やってるんだよ兄さん。あなたは同じパーティの女の人を殺そうとする様な人なのか!!」


それはナイルが勇者を辞退した際、急遽やる羽目になったーーー


ナイルの弟、〝神時 クルス〟だった。

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