パソコンで情報収集をしてみました。 2
目の前には厚焼き卵、オムレツ、親子丼と卵づくしのメニューが展開しています。
「・・これまた卵だらけですね。」
「ん。そろそろ卵がダメになるから。」
まぁそれにしても、もう少し献立を考えて欲しいところです。
顔に出ていたのでしょう。プクッと頬を膨らませて
「むぅ。食材が残り少ないからわがまま言わない。」
「すみません。でもシオンのご飯は本当に美味しいからいつも感謝してますよ。」
「っ。・・んぅ。ならいい。」
シオンは驚いた顔をしたあと顔を真っ赤にしてそっぽをむいてしまいました。
直接のお礼が照れ臭かったのかもしれません。
こうしているとせっかくの料理も覚めてしまいます。
暖かいうちに頂きましょう。
「「いただきます。」」
二人声を揃えて挨拶した後、昼食を始めます。
何からいきましょうか。
ではこちらのオムレツからいきましょう。
箸をオムレツに入れると抵抗なく卵が二つに裂けていきます。外側はしっかりと熱が通っていましたが中は半熟で身がとろりと零れてきます。一口入れると口の中に卵の風味が広がりました。どうやらこちらはプレーンオムレツで塩と胡椒だけで味付けをしたものでしょう。
「うん。柔らかくて美味しい。」
「ん。良かった。」
私もシオンもつい笑顔が零れてしまいます。
続いて、卵焼きに手をつけます。こちらも半熟で仕立ててありますが、オムレツよりかは火が通っているのか箸を入れても形が崩れることはありません。
「こちらの卵焼きもいい味が出てますね。だし巻き卵ですね。」
「ん。お醤油とみりん。料理酒で味付けした。」
「とても美味しいです。ですが、なぜこの二つにしたんですか?両方とも料理人の腕を問う登竜門的な料理なのですが。」
「・・知らなかった。たまたま。」
「あ、あぁ、そうなんですか。」
いや、無知って怖いですね。
その後食べた親子丼も絶品というのは付け加えておきましょう。
シオンはいいお嫁さんになります。
ですが、どこにもやるつもりないです。えぇ、ないですとも。
例え親馬鹿と言われようとも。きっとシオンのお父さんも許してくれるでしょう。
「ご馳走様でした。今日も美味しかったですよ。」
「ん。」
シオンのお昼を頂いて人心地つきます。
シオンは本当に料理が上手で食材もマンションに残ってたあり合わせでパパッと作ってしまいます。騒動が発生してから一週間。食べられなくなる食材も出始めている中で素晴らしいスキルだと思います。私も料理は作れますが男の一人暮らしで培ったものなので人に食べさせるには不安が残ってしまいます。
「さて、シオン。これから私は魔法について調べ物をしますが、あなたはどうしますか?」
「・・邪魔じゃなければいっしょにみる。」
「邪魔になんかしませんよ。では一緒に調べてみましょう。」
「んっ!」
シオンは嬉しそうについてきます。
この子は口数は少ないんですが、表情が豊かで見ていてるとなごみます。
今、拠点としている部屋にはデスクトップ型のパソコンが置いてあり、ネット環境も問題なかった為、午後はこうやって情報の確認をしています。
今回は魔法の使用方法を検索します。以前簡単に試した時はできませんでしたが、あれからできるようになったという人間が増えているので私達も試してみることにしました。
パソコンを立ち上げて検索サイトで魔法と検索します。
騒動が発生してから一週間。政府はライフラインと情報が断絶することを恐れて発電所、水道局に自衛隊を派遣しています。その為、まだこの近辺でも電気、水道が使えるのは非常に有り難いです。尚、ガスは事故が発生する可能性なども鑑みて対象から外されたようです。
「カイト。何から調べる?」
「まずは、ニュースから見てみましょう。」
モンスターは依然世界各国で発生しており、深刻な問題となっています。
空にはドラゴンなどの大型飛行生物、海にはシーサーペントでしょう。ウミヘビのバカでかいものが出現し、国家間での空、水上での交通が出来なくなっているようです。輸送が出来なくなると今後、深刻な食糧不足に陥る可能性が高いです。
日本国内では都心部に近い程強力なモンスターが発生しており、既に東京は壊滅しているようです。政府は本拠地を箱根に移し、町全体の要塞化をしているとのこと。電気、水道は今のところ自衛隊が駐屯し防衛に当たっていますが、状況は芳しくなく、近い将来断絶する可能性が高いでしょう。
私達が住んでいる猫見市も東京から電車で1時間ほどの距離であり関東有数のベッドタウンですので、人口もそこそこ多く都心にも近いですのでモンスター被害は甚大です。
シオンの話では西区ではオーガに襲われて避難民がバラバラに逃げていたという話です。皆さん無事だといいんですが。
「現在分かっているニュースはこれくらいですね。」
「むぅ。電気使えなくなるの?」
「今はこうして使えますが、いつまでも使えると思わないほうがいいでしょう。ですから今のうちに調べられることは調べておきましょう。」
「ん。準備は大切。」
シオンはうんうん頷きながらネットニュースを眺めています。私も必要と思われるところをよく読み、記録として残す部分にはプリンターで印字しておきます。他人の持ち物ですが気にすることなくカラーで印刷をしてやります。
「さて、そろそろ魔法について調べてみましょうか。」
「ん。」
騒動発生時にも調べましたが、当初より一部の人達には【魔法】という超常の能力を行使できる人が存在しているようです。さすがに突飛な話ですのでTVでは一切報道されていませんが、ネット上では大分情報が出揃い、今まで使えなかった人も練習次第で使えるようになったという報告が相次いでいます。
モンスターという危険な生物に対しても効果が出ているという話もあり、魔法については大いに期待しています。
「ではまず、魔法とは・・という書き込みから調べましょう。」
「魔法とは・・空気中に漂っている魔素(仮)を取り込んで術者のイメージから様々な現象を発生させる能力である。魔素(仮)を取り込んだのち、魔力として体内にて変換し血液のように循環させる。循環した魔力を一か所に集め、術者のイメージにより魔法に変換させている・・と思われる。・・なんだかやたら具体的なところまで研究されてますね。」
ネットの住民恐るべしといったところです。
シオンは書き込まれた内容を必死に覚えようとうんうん唸っています。
「うぅ・・。難しい。カイト簡単に教えて」
「はいはい。えっと、簡単に言うと外の空気を体にしっかりと沁み込ませて沁み込ませた物を例えば指先とかに集めて使うものみたいですね。」
「・・ん。目からビーム出す感じ?」
「ビ、・・ビームですか。かみ砕いて言うとそんな感じだと思いますよ。」
目からビームを出してゴブリン相手に無双するシオン。
飛び交うビーム。宙に舞うゴブリン・・。
そんな場面を幻視してしまい、頬がひくついてしまいました。ですがイメージとしては大筋は間違っていないので肯定しておきます。
「ん。どんな感じかは分かった。じゃあ目からビーム出す練習する。」
「ちょっと待って下さい。目からビームもいいですが人によって得意な属性があるみたいですよ。」
「むぅ。目からビーム出せないの?」
「ビームのことは分かりませんが・・。これによると属性は分かっているのは火、風、水、土が基本属性となり、特殊属性は光と闇が確認されている。どの属性を使えるかは本人の相性にもよって異なるが今のところ複数使える人間は確認できていない・・ということです。」
「・・ん。ビームはどの属性?」
というかシオンはどれだけビームが好きなんでしょう。
何か強い思い入れがあるのでしょうか?
「ビームですか・・。光線というくらいですから光じゃないですか?」
「じゃあ光にする。・・やり方教えて?」
「やり方ですか・・。光と闇についてはまだ分かっていることが少ないみたいで練習方法は載っていませんね。特殊属性というくらいですから使える人がほとんど確認できていないみたいです。この属性の存在も使っているのを見たという書き込みだけですから。」
まぁ、光と闇なんて言ったらチート級の可能性もありますし、早々お目にかかれるものでもないのでしょう。
「むぅ。」
「ですが、基本属性であればやり方が載ってますよ。だからまずは私達は基本属性が使えるよう練習してみましょう。」
「じゃあ、それでいい。」
シオンも不承不承という感じではありますが肯定してもらいました。
基本属性の魔法は火、風、水、土ですが、最初に適正を見る方法があるサイトに載っていました。適正次第によっては全く魔法が使えない・・なんていったこともあるみたいです。
「では、基本属性を使う前に、どの属性が相性がいいのか試してみましょう。基本属性は実際に存在するものを動かすのが最初はやりやすいみたいです。それがしっかりと反映できるかで適正がある程度分かるみたいですよ?」
「むぅ。難しい・・。」
「あぁ、すいません。簡単に言うと火ならライターを点けてその火を動かせるか。水なら水を、風なら風を起こせるか。土なら土を操れるかということです。」
「それなら分かる。カイトはいつも難しく言う。」
「これでも気を付けているんですが、すいません。」
言い回しが回りくどいと昔から言われてしまうんですが、なかなか直らないんですよね。悪癖だとは分かってはいるんですが・・。
「じゃあ、試してみる。」
シオンが勢いよく立ち上がり料理に使った携帯コンロの火を点けようとしています。
って!ちょっと待ってください!
「シオンちょっと待ってください!室内で試したら火事になるかもしれません!試すのは屋上にしましょう。そうしましょう!」
「むぅ。分かった。じゃあ、カイトすぐ行こう。」
「えぇ、じゃあ屋上に行きましょうか。」
本当はもう少し調べたかったでんすが、シオンがもう待ちきれないみたいですので検索を切り上げます。かくいう私も魔法に興味がありますので早く試してみたいという気持ちは良く分かります。
シオンと共に部屋を後にします。
さてどの属性が使えるのでしょうか。
・・まさか、使えないということはないですよ?
いや、そんなことはないでしょう。多分、きっと・・ですよね?
拙い文章ですが読んでくださって感謝しております。
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