ゴブリンを罠に嵌めて武器、防具を手に入れます。
「ふむ・・」
掲示板を調べていくうちに段々と状況が分かってきました。
どうやら世界的にモンスターが発生し人間の中でも魔法を使えるようになっている者がいるようです。
魔法はイメージが重要なようで、イメージ不足な者は使うことが難しいとのこと。
魔法については後で確認したほうがいいでしょう。
他にも考えるべきことは多々ありますが、そろそろ現実に戻りましょう。
現在進行中で「ドンッ!ドンッ!」とドアドンされている現実に対処しないとBADENDになりそうですし。
先程、ドアの覗き窓から見た限りではゴブリンは2匹いるようです。
もしからしたら見えない範囲にそれ以上いるのかもしれませんので最低2匹と認識しておきます。
ここでできる選択肢は2つ。このままやり過ごすか戦うかの2択ですが
ゴブリンはこの部屋に人間がいることは理解しているようで、一向に諦める気配はありません。恐らく先程目が合ったゴブリンさんなのでしょう。
よってやり過ごすという案は論外。戦う1点となります。
ゴブリンを倒すことにしましたが、未知の敵に対し、正攻法で立ち向かうことはできません。こちとらただの一般人ですし、2匹同時に相手どるのはリスクが高すぎます。
そこで倒すのは準備が終わってからとなります。
まずは時間稼ぎが必要なので入口まで家具を移動させてバリケードを作ります。
これでいくらか時間が稼げるはずです。
次にネットでゴブリンの情報を探します。
騒動が発生してから1日経過しているだけあって情報は豊富です。
--ゴブリン--
身長は1m前後。
知能は低く、人語は理解できていない模様。群れで活動しており数は膨大。
知能は低いものの力は強く成人男性であっても摑まれると容易に振りほどくことは不可能な程。個体によって違うが剣や斧などを持っていることもあり油断はできない。今のところ、遠距離武器を持っている個体は確認されていないが、
別種族のコボルト(犬獣人)が弓を持っていたので遠距離武器を持っている個体がいると考えたほうがよい。
尚、群れには体長2m近くのホブゴブリンがボスとして君臨していることが多いので近づかないほうが無難。
ネットで情報を調べたところ、ゴブリンは力が強いようなので近づかないほうが無難なようですが残念ながら遠距離武器は持っていないので危険を冒すしかないようです。
方向性は決まったので次にどうやって倒すかを考えます。
部屋を探し、武器になるものを探します。探すこと5分。大体のアイテムは見つかりました。
ここからは急いで準備をします。入口を見ると今にも崩れそうですし。
準備を終えて約10分後、とうとうドアが破られてゴブリンが侵入してきました。
ゴブリン達はギャア、ギャア叫びながら部屋の中をうろつき私を探しています。
部屋は1K6畳なので探せばすぐに見つかってしまうでしょう。
彼らはいるはずの私をひたすら探しますが、見つかりません。
いらだっているようで物にあたりながらトイレ、風呂場、洗濯機なども探しますが見つかっていません。
それもそのはず、隣の山田さんの部屋にお邪魔しているのですから。
山田さんは留守だったようで不在でしたが、鍵が開いていたので不用心に感謝しつつ部屋に入りこんだ後、敵が罠に嵌るのをそっと隣のベランダから確認します。
ゴブリンはやはり見えない位置にもいたようで合計4匹でしたが、問題ありません。部屋に入った時点で彼らの運命は決まっているのです。
ゴブリン達は部屋に誰もいないのを確認すると居座ることに決めたのか部屋の物色を始めます。部屋を好き勝手にいじられると殺意を覚えます。
刺すような視線で観察していることしばらく。本棚を物色していたゴブリンが唐突に吐瀉物を床にぶちまけて倒れます。
それを皮切りに残りのゴブリンも同じように倒れ、四肢を痙攣させたのち、2度と動かなくなりました。
それを確認した後、息を吸わないように自分の部屋の窓を全開にします。
「・・ふー」
山田さんの部屋に戻り大きく息をします。
ぶっつけ本番ですがなんとかうまくいきました。
隣の部屋では物言わぬゴブリンが4体いますが何をしたかというと「混ぜるな危険」をしてみたわけです。
次亜塩素酸カリという化学物質があります。これは第1次世界大戦でドイツ軍が毒ガス兵器としても使用していたものですが、これ家庭で使われているもので作ることができるので非常に危険なわけだったりします。
塩素系漂白剤と酸性洗剤等を混ぜると非常に強力な毒ガスである次亜塩素酸カリといういわゆる塩素ガスを発生させます。
今回はこれを部屋に充満させ撃退したわけです。
1歩間違えれば自分に返ってくる諸刃の剣ですが、結果的にうまくいきました。
後は充満しているガスを除去しないと部屋に入ることができないので換気を十分に行いましょう。
--2時間後
山田さん宅にあった推理漫画を発見して解決編まで読んで時間をつぶした後、換気ができた自室に戻りました。
部屋自体には用がないですし、ゴブリンの吐瀉物付き死体なんてものを見ないといけないのは苦痛でしたが、どうしても用があった為、再度戻りました。
塩素ガスが残っている可能性は十分あり危険は残ってましたがそれ以上に必要なものがあったのでそれを確保した後に山田さん宅に戻ります。
「よし。随分と集まりましたね」
床に並んでいるのは直刃の剣が二降りと丸盾が一つ、更に大振りのナイフが一本。
剣は長さは50cm前後といったものなので所謂ショートソードですね。
丸盾は木製で表面に鞣した皮のようなものが張り付けてあり、強度はそこそこありそうです。嬉しいことに腕に装着できるので片手を開けることができます。
ナイフは反りがあるナイフで刃渡り15cm程度でダガーナイフといったところでしょうか。
これからの世界武器がなければ生きていくことはできないのでなんとか武器を手に入れる必要があったのですが、思いがけず武器、防具を手に入れたのは僥倖でした。ただ、鞘はなく抜き身なので持ち運びに苦労しますが必要な犠牲と割り切りましょう。
拙い文章ですが読んでくださって感謝しております。
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